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上級者には「消去力」がある

 私事の話なのだが、私は現在県内大手予備校のチューターというアルバイトをしている。チューターというのは基本的には生徒の自習室で待機して、生徒の自主学習での質問に対応したり、あるいは塾の授業にちょっとついていけていない生徒のために1対1で個別授業をしたりするのが仕事である。しかし、たまに塾講師の先生が急病などで休んでしまい人手が足らなくなると、代講として授業をすることがある。

 この間もその代講で中学生に数学を教えることがあった。解の公式’(x=2aぶんの~というやつである)を使って二次方程式を解きましょうというあたりの範囲だったのだが、私としてはただ丸暗記でこの解の公式を使わせているのが何となく嫌で、なんで解の公式が二次方程式の解を表しているのかを少し説明したくてウズウズしたわけである。誘惑に負けて、生徒に対してその証明をやってあげたのだが案の定ちょっと難しかったみたいで、結局講義の時間が足らなくなり不完全燃焼で授業が終わってしまったことがあった。

 授業が終わった後、別の数学講師からちょっと話しかけられて「授業はどうでしたか?」と答えられて、「ちょっと不完全燃焼でした(汗)、いい授業の仕方って何かコツとかあるんでしょうか…。」と聞いてみた。するとその講師から「本当に教えるのが上手い人というのは、捨てるのが上手いんですよ。授業中というのは色々しゃべりたくなるのですが、時間が足りない。だからその限られた中では、本当に伝えたいことに焦点を当てるんです。そうしないと生徒は何を重点的にやったらいいか分らなくなる。」と言われて、ちょっとなるほどと思ったことがある。


 まぁ今回の話はそれとは関係があるようでないのだが(笑)、長かった前置きは終了で本題に移るとしよう。


 上級者の野鯖や試合を見たことがあるだろうか?そのPOVを見るとたまにこう思うことがあるだろう。

 「なんかすごい強引に行動するなぁ…」


 なぜそんなに強引なのか。その人がスキルに自信があるからだろうか?それもあるが、一番大きいのは、

 「ここにはいるはずがない。ここには絶対にいる。」

がわかっているからである。

 CSを始めたての初級者というのはマップの構造だとか、どういった駆け引きをしたらいいかだとかが分からないので、突っ込みすぎてすぐ死んでしまう。ある程度CSに慣れてきた中級者というのは、そういった無駄死には少なくて逆に「ここでは敵がよく現れる」というのを分かっているから引っ込みがちになるのだ。

 しかし上級者は違う。ありとあらゆる情報、敵の人数や仲間からの報告、経験的な知識で敵のいる場所をしぼっているので、中級者のように引っ込みがちになることが少ない。いらない可能性はすぐに捨て切れて、だから強引に進める。

例を少し引いてみる。あいにくxrayN氏の講義のように動画を作成する技術と、あとまともにCSが動くマシンがないので読者の想像力をお借りするとしよう。

 状況はこうである。
 Mapはdust2で5対5の試合形式、あなたはテロリストで作戦は取りあえず全体に分散し、あなたはBのトンネルを進む役割だ。あなたがトンネルに入ったころ、センター側の仲間がAWPで死んだとしよう。

 あなたが初心者だったら、その情報を気にせず勝手にBトンネルからBの方へ顔を出したり、不用意にセンターまで言って扉から出たりして死んでしまうかもしれない。
 あなたが中級者だったら、チームメイトがAWPで死んでいるということはBにAWPがいると考えて、顔を出さずに状況が変わるのを待つかもしれない。

 上級者の場合はこうだ。センターで仲間が死んだということはBにいるのは90%M4役のCTだけである。Bで守っているM4で一番怖いのはトンネル出口付近ですぐ構えているCTなので、それをHEやFBを駆使して顔を出し、近距離にいるCTと対峙する。もしいなければボムサイドか奥のスナイパーポイント周辺の箱の裏などに多いので、その辺りにいるのならば対等に戦えると考える。センターにいるAWPは今頃せいぜいBのダブルドアから覗いている程度なので、そこまで進まなければAWPで撃たれることはない、と考えるのだ。

 まぁ今回の例は考え方の1例なのでもっと色々パターンはあると思うが、少し言いたいことを理解していただけただろうか?つまり敵が潜んでいる可能性というのはいくらでも考えることが出来るのだが、それを排除できるというのはそれもまたスキルの1つなのである。それを「消去力」と言っているのだ。

 まだこの辺りまで至っていない人は、次からこのことを頭に入れて「果たしてここにはいるだろうか?」と常に頭をフル回転させながら行動していくと、普通にプレイするよりずっと上達も早くなると思うので、是非実践してほしい。


上級者の人たちはみんな反射神経がよい?


 まず断言しよう。そんなことは決してない。仮にプロのプレイヤーに反射神経テストを行わせたとしても、一般人とほぼ変わらない結果になるであろう。もしプロのプレイヤーの方が良かったとしても、それは実際のプレイ上で同じような高い結果を常に出せるわけではない。この議論自体無意味なのである。「バカの壁」ではないが、せっかくの能力を自分で抑える以外の何物でもない。

 その理由は簡単、反射神経が速いから相手を狙うのが速いわけではないからである。

 人間の脳には体の部位の運動をつかさどる「運動野」と呼ばれる領域があるが、それとは別に「補足運動野」と呼ばれる領域がある。この「補足運動野」を上級者は非常にうまく使えていると思うのだ。この「補足運動野」は何をしているのかというと、「運動野」が素早く適切に働けるようにその準備を担っているといわれている。例えば、100m競争をするときに突然スターターが鳴ったとしても、いきなり走り出すことは出来ない。実際には、「もうすぐスターターの合図があって、それが走り出す合図だ」という準備が脳の中で出来ているから、ランナーは音と同時に走り出すことが出来るのである。

 つまりそれは反射神経ではなくて、「すぐに動かすための頭の中の準備」が出来ているだけなのだ。

 それではゲーム中での頭の中の準備とは何だろうか。それは100m走の例のように簡単には説明できない(当然のことだが、100m走が頭を使わないだとかいう意味ではない)。一番わかりやすいのは「敵が来るかもしれない」という感覚である。足音がする、敵がこの間も隠れていた、味方が先で死んだ、などなど。これらは別に上級者じゃなくても初心者でも何となく意識していることだと思う。こういった準備が出来ているから、敵が来ても慌てることなく対処が出来るのだ。

 上級者の場合、このパターンを何百と持っていると私は思う。私の場合はこのパターンを相手のプレイヤーごとに持っていて、「あ、あのプレイヤーならここでこうしてくる」とかを常に考えていた。もちろんそれは経験だとか、その試合中の相手のプレイスタイルだとかで判断していたわけだが、そういった準備をしていると不意を突かれることがない。「うまくなる」というのが何を指すのかは漠然としているが、このパターンを増やすことも一つに含まれるのではないか私は思う。

デバイスについて

 ゲームをプレイする上で欠かせないマウス・マウスパッドなどのデバイスについてちょっと考察してみようと思う。まぁこの辺は賛否両論あるが…個人的な意見を述べてみる。

 私は無名だったころから、4dNに入り今にいたるまでのデバイスはずっと同じものを使い続けている。マウスはIntelli Mouse Optical、マウスパッドはDKT Pad、キーボードはよく分らない英語のキーボード。キーボードにいたっては家にずいぶん昔からあったものだ。マウスパッドも1回しか買ったことがない(実はCPLでアメリカに行ったときに盗まれたので、友人に同じものを譲ってもらった)。またソール等は使っていない。使うたびに感覚が変わりそうだし、私はマウスがあまり滑らないと思ったらセンシをあげるだけのことだからだ。

 それで自分は満足しているのだが、たまに色々とマウスやマウスパッドをころころ変える人がいる。その理由がよく分らない。大御所あたりのデバイスをすでに持っているのだったら、あとは技術の問題が大きいと思うのだが…。マウスをわざわざ変えるのは、コレクション的な面以外で利点を感じることができない。

 相手を発見してそこに照準を合わせる、その時に一番影響してくるファクターは「どのくらいマウスを動かせば、そこに到達できるかを体が覚えているか」だと私は思っている。それをBOTや野鯖で練習している(少なくとも私はそうだった)。そういう能力は可塑的だから、デバイスを変えた所でその環境に体が適応するだけだと思うのだ。
 

 ちなみにヘッドホンにはお金をかけていいと個人的には思う。技術云々じゃなくて、耳から入る情報の質がよくなるのは重要だからだ。


 あと、今回の話とあんまり関係ないのだが、よく聞かれるので(過去のことだけども笑)ちょっと追加。

 私は基本的に「高めのSensitivity」で「手首を固定して」動かしている。理由は高めのセンシは色々な状況でも対応しやすく、練習次第で安定させることが出来るので。また手首を固定するのは長時間のプレイ時間でも安定するからである。