前売り券を買っていたのに、色々あってなかなか行けず、会期終了間際にやっと行けたワシントン・ナショナル・ギャラリー展
http://www.ntv.co.jp/washington/index.html


いつも通り、比較的空いている金曜日の夜に出かけた。

みんなが大好きな印象派なので、激混みかと覚悟していたのだがここ1年くらいの印象派系では一番空いていた。

しかし、前宣伝に比べて大したことのなかったここ最近の展覧会に比べてとても充実した展示だったのに不思議。

台風の影響かも。。。

もちろん、混んではいたが許容範囲だったし何故か来場者のマナーがよかったのでみんなで譲り合って気分よく鑑賞できた。


最近の激混み展覧会って、そんなに美術が好きなわけでもない人が話のネタに来ている感じで。。。

もちろんそれでも足を運ぶのはいいことだと思うけれど、本当に絵を鑑賞したい人の気持ちがわからないのか鑑賞マナーが非常に悪い人が多くて辟易していた。

今日はそんなストレスが無くて、昔の展覧会に戻ったような秩序があってうれしい驚きだった。


最近の展覧会は誇大広告かと思うようなものが多いのだが、今回は非常によいセレクトで大満足。

たとえば、セザンヌなんてかなり大きな作品も来ていたがそれらが、年代ごとに変化していった作風が一覧できるような展示だったのだ。

もちろん、激混みだとそれらを一度に見較べることはできないのだが、今回は配置もよかったし閉館間際だと大分人も減ってきたのでかなり距離を置いてそれらを眺める贅沢を味わえた。


作品も印象派のメジャーどころが勢ぞろいで、そこまでメジャーではなくとも全て知っている画家だったのも驚き。最近は展示数を稼ぐためとしか思えない画家の作品も多く紛れこんでいる展覧会が多かったので。(笑)


もちろん、モネも作品もたくさんあった。

ただ、今回来ていたもので私の心が震えるようなものは無くて残念。

しかし、マネは個人的にはかなり充実していたと思う。

特に興味深かったのは、まるで日本画のようなきゅうりの水彩画。

日本特有の空白をも生かしきる構図だったのだ。

まるで墨絵。

キャンバスを埋め尽くす西洋画の国の人とは思えない、わびさびを感じる構図。

当然だが、抜群のバランス。やはり稀代の芸術家はその審美眼で異なる文化圏の芸術でもその真髄をつかみ取ることができるのだと妙に感動した。(笑)


ルノワールも大充実。

世間のイメージ通り美しい夫人の絵が多かったが、パリのポン・ヌフの往来を描いたものがすごくよかった。風景なのにルノワールカラーのブルーが支配しているのだ。もちろん露骨ではないのだが、そこはまさにルノワールワールド。

かなり長時間、絵の端っこの方でかぶりついて見ることができる程度の空き具合で満足だったのだが、傍で「新橋だよ」と何度も何度も大声で自慢げにつぶやくオヤジがいて不愉快だった。(笑)

ポン・ヌフの意味くらいみんな知ってるんだけど・・・。

ま、この手のヒトは最近の展覧会では珍しくないんだけど、やっぱりわきまえてほしい。。。


ドガも思いの外充実。

去年末のドガ展でも来ていなかった作品がたくさん来ていた。

こんなに色々来ているのになんて謙虚な宣伝だったのだろう?と思ったほどだ。

女子高生がささやき合っていた。

「放射能とかあるのによくこれだけ貸してくれたね」と。


ま、私達は諦観気味にこうして普通の生活を送っているんだけど彼女たちの感想ももっともだと思う。

さすがワシントンである。(←意味不明)


大好きなゴッホの油彩は3点だけだったが 自画像もあったしエメラルドグリーンの背景の白薔薇の絵が来ていた。

初めて見る作品だったが、なぜだか泣けてきた。

だって、白いバラという華やかなテーマなのに、色彩だって明るいのにその背景がうねうねしているのだ。敢えてうねうねさせてしまうゴッホの衝動?というか心情を思わざるを得なくてこみ上げてくるものがあったのだ。

と、まぁ、相変わらず勝手に感動しまくったのだが本当に出かけてよかったし総合的に気分の良い素敵な展覧会だった。