銀座での所用があったため、せっかくなので心の潤いを求めて(笑)立ち寄った展覧会。


駒井哲郎作品展 福原コレクション 生誕90周年-闇と光のあわいに 色への憧憬


中央通りと花椿通りが交差する角のビル。その地下1Fがギャラリーだ。

そしてその1Fは、今は資生堂パーラー 銀座本店ショップになっているが、記憶が間違っていなければ、かつてはTHE GINZAというブティックだったような気がする。そこにある洋服や小物類はいつもとても素敵で、通りかかると必ず立ち寄って5回に1回くらいは何かしら買い求めていたのを懐かしく思い出した。


「資生堂ギャラリーは1919年にオープンした、現存する日本で最古の画廊といわれています。」と、HPにある。

しかし、当時はそこにギャラリーがあることすら気付いておらず今回初めての訪問となった。

1Fの扉から入るとすぐにギャラリーへ降りていく薄暗い階段がある。

この階段の足元のランプがものすごく素敵。

何段かおきに、階段面から少しだけ上がった壁面にB5サイズ位で厚さ1cmあまりの半透明のガラス板が貼り付けてあり、それが薄暗く燈されている。それが、人が通るとひときわ明るくなるのだ。

センサー付きのライトは珍しくもなんともないのだが、その美しさにいきなり感動してしまった。


階段の途中にも作品が展示してある。

実際の作品とそのモチーフ現物が一緒に展示してあり興味深い。


さらに階段を降りると受付があり、そこにも関連書籍が置いてあり、展示を見終わった後楽しんで見せていただいた。

展示作品が掲載された高校の教科書もあり、最近の美術の教科書は結構素敵なものだと感心してしまった。

話がそれるが、スケッチの例でジョン・レノンの作品が数点取り上げられていたり、建築物もアートとしてその社会的意義などにも触れられており思わず、高校生の甥に今度見せてもらおうなどと思った。(笑)


駒井哲郎氏の作品は、国内の美術展のコレクションでは必ず見かけるので頭の隅に認識はしていたが、こうして集中的に観るのは初めて。

こうして1個人による1作家のコレクションを一堂に鑑賞できるのはとても貴重であり、全体を通して観ることで単に作品を観る以上に心に訴えかけてくるものがあった。


そして、本展覧会を観た後に企業による文化活動で有名な資生堂名誉会長の福原義春さんが、初めて購入したアート作品が駒井氏のものであり、その出会いは慶応幼稚舎時代にさかのぼるということを、雑誌クロワッサンのインタビューで詳しく読んだ。

金にあかして、と言うのではなく個人の思い入れのあるしかも長期間にわたるコレクションの持つ力を感じることができた。


心があたたかくなるような、そして静謐な素敵な展覧会である。

私が鑑賞している間は、5人程度の方々が来場し足早に去っていったのみ。残念である。

この時代に、無料でこういう事業をやれるのはやはりオーナー企業であるが故だとつくづく思うし、福原氏を尊敬する気持ちが更に強まった。本当のメセナがここにも息づいているとうれしくなってギャラリーを出ると、クリスマスのイルミネーションで華やかな夜の銀座に。

色々あるけど、とりあえず平和でいい国だと思えた。(笑)



資生堂ギャラリー
駒井哲郎作品展 福原コレクション 生誕90周年-闇と光のあわいに 色への憧憬

会期: 2010年10月26日(火)~12月19日(日)
場所: 〒104-0061
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
tel.03-3572-3901 URL: www.shiseido.co.jp/gallery/html/ (資生堂ギャラリー)
定員: 60名  無料
開館時間: 平日 11:00~19:00  日・祝 11:00~18:00 
毎週月曜休  入場無料