その2「龍馬伝」フィクション×ノンフィクション@銀座アップルストア メモ

のつづきです。

伊東潤氏(以下、I):岡田以蔵について、今までは陰惨なイメージだったが。

大友啓史氏(以下、O):勝新太郎さんの以蔵(『人斬り』(ひときり)、1969年8月9日公開の五社英雄監督による時代劇映画)が好きなんですよね。
佐藤健をキャスティングしたのは、プロデューサー。このキャスティングに関しては、最後まで争ったんですけどね。(←ってことは、福山雅治のアミューズバーター?とすると平岡祐太もそうか?)
佐藤健を使うことで、ピュアで今までの以蔵にはなかった部分が出せた。永山 則夫さんの無知の涙 をやりたかった。新しいことに特化した。(←メモはこうなっているが、若干意味不明デス)
無知の涙 (河出文庫―BUNGEI Collection)/永山 則夫
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(↑私自身読んだことがないのですが・・・)

I:(以蔵の)最期の句(参考:「君が為め 尽くす心は水の泡 、消えにし後は 澄み渡る空」・・・ドラマでも使ってほしかった・・・)からもピュアさが窺がえる。(ので、いいキャスティングだったと褒めていたように記憶している。)

O:彼(佐藤健)は人気が高かった。(笑)無知であることをわかっていた。(←語尾は記憶が不確かだが、いわゆるソクラテスの「無知の知」の意味で使われたように受け止めた。細かいところはメモしていないが、次の質問からもわかるように予想外にハマったキャスティングだと評価していた模様。現に、私も最初はええ~?と思ったが、彼の素晴らしい演技にどれほど心動かされたことか・・・)

I:他に予想以上にハマったキャスティングは?

O:高杉ですね。ハマるとは思っていたけど、あそこまでとは。散切り頭があんなに似合うヒトはいない。(笑)龍馬伝チームは本番前までヘラヘラしてる。特に伊勢谷(友介)君は、本番になるまでしょうもない話しばかりしている。(笑)そうじゃないと、もたないからだが。高杉は(伊勢谷君に憑依して)ひょうひょうとして楽しんでいた。(高杉晋作が亡くなる前の龍馬とのシーンについてもお話があったが、龍馬伝のHPに詳細があったので省略)福山(雅治)さんにしても、(ヘラヘラしてても)信じられないほどの量(のセリフ?)がちゃんと入ってる。

亀山社中は、ちっぽけな商社。でも若い彼ら(役者のこと)にとって、(商売という本来の目的とは)違う目的があるのが芝居の上でよかった。「世の中を変える!」という目的が。
(リアルなセットなどの話をして)長回ししていると、彼らも幕末に生きている錯覚に陥ると言っていた。刀にしても、実際ずっと持っていたら重たい。人の命を殺める道具を持っていることを実感することで、意識が変わってくる。

(リアルなセットを作りこんで、カメラマンが自在に動き回って撮影するスタイルについて)
カメラマンについて。僕が「撮れ」と言う画と、自分で撮る画は違う。
こういうことこそ、デジタル時代のポイントなのでは?

司会:デジタルとのかかわりについて。セット図面とかに使っているのか?

O:Macとか使っていると思う。土佐だったらこんな(スクリーン上に、コラージュ写真)コラージュを作ったりしている。
あと、iPhon。これないと死んじゃう!(←「若い女子みたいなこと言いますねぇ」と言う私に、「小学生がよく言う」と同行のtsumireさん。大友さん、小学生並みに若いのかぁ。)
音声メモは多用しているし、死ぬほど忙しいのでスケジュールもこれで。

司会:オランダのIBCで・・・。(ここからは専門的な機材やソフトの話になったので、メモがほとんど残っていない。因みに調べたら IBCというのは放送関係・機材の展示会らしい)
(ここで意味のわかる唯一のメモ)⇒CMの8割はキャノンのデジタル一眼カメラで撮影している。


♯撮影方法の製作現場―ハリウッドでの経験など

O:「ハリウッド」って言葉が独り歩きしている。ハリウッドはあくまで第一次産業(地場産業)が映画だというところ。第一次産業が栄えているところには、教育も含めて情報も人も集まるのでものすごく層が厚い。
例えば、平面である映像に奥行きを出すためのツール、手法を文法的に習うことができる。ちゃんと、そのあたりが定義化されている。
ビジュアル的に豊かにするのはお金があれば誰でもできる。それは、ハリウッドではそれを突き詰めているからだ。そしてスケールをどんどん追っていく。3Dはその到達点だ。
映像を立体的に突き詰めて表現することはお金を持っている人にしか許されないことになる。
でも、学生が自分たちで作っているのは、ハードに頼るのではなく、人間の心情を描いて奥行きを出す映画。

ハリウッドに行ったことで一番良かったことは、ハリウッドを絶対視ではなく、客観視できること。例えば、150億円あれば俺にもできる、と思えた。(笑)

人間を内面的に、奥行きを深く出すにはどうするか?を、この何年か考えている。(←「ハゲタカ」の鷲津の内面的な奥行きは十分伝わりましたよ~と、心の中で叫ぶワタクシ)

ハリウッドをどう咀嚼するかということだ。
例えば、クロサワ(黒澤明氏)がやっていた手法=マスターショット・カバレッジ(←念のため調べたが、大雑把に言うと大友さんが龍馬伝で使った手法。カメラ5台で同時に撮るなど)なんかだと、フィルムでそれをするにはバジェットが必要。マーケットでペイしなくては成立しない。(←つまり、コストが膨大にかかるフィルム時代に、それができていた日本人はクロサワくらいだったということか?)
だから、考え方を学ぶ必要がある。応用できる考え方のツールがいっぱいある。女性の美しさとか、atmosphere(ある場所が醸し出す好ましい / 特定の場所や状況に漂う 空気・雰囲気)をどう作るとか。
そのあたりを、ほんのちょっとテレビドラマの中に応用している。
奥行きを出そうと思ったら、後方に人物なんかを入れればいいとか。今まではフラットに作っていたが、光にしてもすごい明るさのライトではなくて、ろうそくの灯火を使うとか。(←このくだりを聞いて、「龍馬伝」では何気ないシーンでも、ストーリーに全く意味のないところでやたらと通行人などエキストラが多くて奥の方までリアルに動いているので、いつも不思議だったのだが納得!)

「考え方」で、いい映像は作れる。

横浜のセミナーでみなさん驚かれていたが、弥太郎の家(もちろん、きれいになる前の)のセットの方が、あの船のセットよりもコストがかかっている。ゴージャスな映像=コストがかかるわけではない。


♯最終回に向けて

O:福山さんが「殺されたくない」というのがすごく出ている。(笑)龍馬の暗殺については、歴史の無情(無常?)さを感じる。一年かけて龍馬の思いを追いかけてきている。背筋を伸ばすような、ずっしりとした何かを感じてもらえると思っている。

本編は以上です。
あとは、このイベントを教えてくださったハゲタカ廃人某嬢も質問したQ&Aのコーナーと個人的に大友さんに質問した件ですが、解読不明&記憶が曖昧なので整理して後日書きます。お許しを。。。


補足です。文体が口語体になったり、文語体になったりしているのは、確実に話し手のセリフをメモできたところは、雰囲気を伝えたくてそのまま書いているためです。読みづらくて申し訳ありません。