分かってたじゃないか。いつかは彼が彼女の元へ戻ると。Hも下手だしロマンチックではないし自分勝手だった。
でもありえないくらいかっこよかったのさ。

彼はJoeというアメリカはワシントン州出身の32歳白人。英語の先生だ。日本語は全く話せない。
新宿の紀伊国屋で本を立ち読みしていたら「英語読めるんだ」と言われ、うるっせーなと見上げると
倒れそうになるくらいかっこよかった。185センチはあるその身長、肌の感じ、やさしそうな眼差し。
最初は不機嫌な顔を見せていたが、すぐに笑顔で答えそのままディナーに行こうという話しになった。
話がおもしろい、始終笑いっぱなしだし、気も合う。そして真面目だ。
彼は、3年付き合った彼女と別れたばかりだと言っていた。
Tvの話や、恋愛の話などして楽しい突然のデートだった。

しばらくして彼が真実を打ち明けた。
「実は別れた彼女とは複雑で、彼女が妊娠してしまったんだ。彼女から別れると言われた。」

なぜ?

「分からない。多分彼女は俺が妊娠したのを受け入れないと思ってると思う」

そんな事?

じゃあ彼女んちに押しかけて結婚しようと言えばいい。
と私は言ったが、この時の私の気持ち分かるか?自分で自分の心に傷をつけるようなものだ。

でも一方では、ホントに幸せになってもらいたいのかも。
子供には父親が必要。生まれた時から父親がいないなんて、彼女にそんな子供を生んで欲しくない。
同じ女性として。
あたしは、頑張れと言ったがとても悲しかった。

なぜか。

分かってたじゃない。他の女を見ている男と一緒にいたって楽しくないじゃない。それも分かっていた。
でも、なぜか悲しかった。
まぁ、それもあたしが出会った男の一人。
でもちょっと5月に色々起きすぎじゃない?もうちょっとまばらにして欲しいんだけど。