ニンジンから木片発見!? | 異物検査員のブログ

ニンジンから木片発見!?

植物の木化現象

こんにちは、異物検査員です。

今回は、ゴボウや人参の調理品や冷凍食品から、よく検出される異物のご紹介です。

 ← こういうやつ。 これは、にんじんから検出されたもの。


パッと見た目、木片っぽいんですけど、
これ実は木片じゃないんです。



異物と木片はどう違うの?
以前、木片と竹片の違いについてお話したとおり、木片(材)には特徴的な組織があります。
それは、放射組織っていう名前の組織。
木片には、縦方向の組織だけじゃなくて、垂直方向に走ってる組織があるんですよね。

← 木片の顕微鏡写真。

でも、異物を見てみると、この放射組織がまったく見えません。
これが大きく違う点。

← 木化したニンジンの顕微鏡写真。


その他には、触ってみた時に木片よりも若干軟らかかったり、
水に浸すと野菜みたいに軟らかくなったりするなどの違いもあります。



異物は何?

これねー、何かというと、ゴボウとか人参とか、
原料そのものが乾燥したものなんですよね。

でも、ゴボウなら木っぽく見えることもあるかもしれないから、分からないでもないけど、
まさか人参でそんなことが起こるわけないじゃん? 色もオレンジだしさー・・・

・・・と思った方もいらっしゃると思うのですが、人参でもそうなることがあるんです。

で、それが知られていないから、人参の木化したものは異物になりやすい!



人参が木のように見えやすい場所

人参でなりやすい場所は、ここ!
 ←色がちょっと薄い、スジに見えるところ。

写真の矢印の部分って、その周りの組織とはちょこっと形態が違うんです。
もちろん色も薄いから、その部分だけ取り出すと人参っぽくないんです。

この部分、時間が経つにつれて、だんだん木みたいに硬く茶色になっていきます。
こういう現象の事を、木化現象っていいます。



木化現象って?
細胞が細胞壁を発達させてどんどん厚くなって、
とっても硬くなることを木化または木質化と言います。

野菜が木化すると、木のように硬くなっちゃうんですけど、
前述したとおり、木には特有の細胞があるから、顕微鏡で見ると一目瞭然。

この現象は、ゴボウや人参に多く見られるんですけど、異物で多いのは人参です。
でも、異物検査員はかつて 「木のように見えるキャベツの芯」 を見たことがありますから、
いろんな食材で起こりうることかもしれないですね~。

ちなみに、木化の原因は野菜のヒビ割れによる乾燥や、野菜の老化によるものです。



木化した野菜の除去は大変・・・
見た目が木片に見えると、「うわー木が入ってた~!」 っていうクレームになるし、
食べると、「わっ、硬い! なんじゃこりゃー!」 っていうクレームになるから、
加工品での除去は必須作業です。

でもこの除去作業ね、実はとてもやっかいなんです。
なぜなら、一部だけ木化している場合が多いから。

大部分が木化していたり、見た目かなり古くなっていたりすると、全部をポイって捨てることができるけど、
野菜の大部分は正常で、もちろん美味しく食べられることが多いんです。

あと、乾燥させてみないと、すごーく硬くなるかどうかはわからなかったりします。
それは、異物を水に浸すと、とても軟らかくなることからもわかります。
最初は軟らかかったのが、時間が経ったり乾燥したりして硬くなって、まるで木のように見えるわけです。

だから、製造時には、ひび割れた部分はなるべく多く取り除くとか、
少しでも硬そうな部分は除くとか、
新鮮な野菜しか使わないとか、
加工時間を短縮するとか・・・そういう基本的なことを徹底するしかないのかな~?って思います。





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★マメ知識★

木化

木化とは、植物組織の細胞壁が厚く硬くなって木のようになることで、木質化とも言います。
野菜ではゴボウやニンジンが木化することが知られています。

木化すると、見た目は木材のように見えますが、木材とは異なり放射組織が観察されないため、
顕微鏡で観察すると野菜と木材の違いは明らかに区別できます。


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