加熱されているかどうかを調べる方法
カタラーゼ試験とは・・・
生き物が加熱されているかどうかを調べる簡易的な方法です。多くの生き物には、カタラーゼという酵素があります。
酵素というのはそのほとんどがタンパク質の仲間。タンパク質の中で、分解したり合成したり、というようなお仕事をしてくれるタンパク質を、特別に酵素と呼んでいます。
そして、タンパク質は熱で形が変わってしまいます。形が変わると、お仕事ができなくなっちゃいます。
カタラーゼという酵素は、過酸化水素を酸素と水に分解するお仕事をしてくれます。
たとえば、オキシドールで怪我をした部分を消毒すると泡が出ますよね。(今はオキシドールという消毒液はあまり使わないから、知らない人も多いかな?) それは、人がカタラーゼという酵素を持っていて、そのカタラーゼが過酸化水素を酸素と水に分解しているからなのです。酸素は気体だから、泡となって現れます。
このカタラーゼ、多くの生物に含まれています。だから、肉、魚、爬虫類、両生類、昆虫、カビ、酵母、細菌などの多くの生物に過酸化水素水を加えると、勢いよく気泡が出てきます。

すごい勢いで、ボコボコと泡が発生してきます。
生物が加熱されていると、カタラーゼという酵素が働かなくなっちゃってますから、泡が出てきません。そこで、生物が加熱されているかどうかを簡易的に調べる方法として、カタラーゼ試験という方法がよく使われています。
カタラーゼ試験とは、過酸化水素水を生物、生物の破片、生物をすり潰したもの、などに加えて気泡の発生を確認する試験のこと。
弊社では、生物をなるべく元の形のままお客様の元に返却したいので、一部を切って内臓を露出させてこの試験を行います。また、気泡を分かりやすくするために、+αを加えています。
加熱されているかどうかを調べるためには、このカタラーゼ試験の他にも、ATPが残っているかどうかを調べる、とか、別の酵素で調べる、とか、様々な方法があるのですが、カタラーゼ試験が一番簡単なので一般的のようです。
ところでこのカタラーゼ試験ですが、反応が微妙になるときがあります。
例えば、炒め物の料理の中に虫が入っている場合のカタラーゼ試験結果はとても微妙。
炒め物って、強火で早く調理をするし、いつも中華なべやフライパンを動かしていたりするので、虫の中にまで熱が加わっていないことがあるのです。そうすると、虫は炒められているのに、カタラーゼはそのまま変わっていなくて、カタラーゼ試験で気泡がでてきちゃいます。こうなると、加熱されているかどうかがわかりません。
加熱料理が腐ってしまった場合もわかりません。
腐る、ということは、表面や内部に細菌や酵母などが繁殖したことを意味します。細菌や酵母にもカタラーゼが含まれている種類がたくさんあるので、虫は加熱されて気泡が発生しないのに、細菌から気泡が発生したりして・・・。虫には気門といって空気の出し入れをする器官がありますが、そこから細菌が虫の中に入っちゃうこともあるし。この場合は、判断できなくなることがあります。


★マメ知識★
カタラーゼ試験は専門家に任せましょう
カタラーゼ試験はオキシドールをカタラーゼ試薬の代用品として使うことができますが、一度やってしまうと、酵素カタラーゼが変質して、分解する力がなくなってしまいます。また、オキシドールを髪の毛につけると脱色してしまうように、本来の色が抜けてしまうことも多く、一度きりの試験なのです。異物検査員も、この試験については、最後の最後に行います。
異物が加熱されているかどうかを調べたい場合には、自分で行わず、専門家に任せたほうが確実です。
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