チロシンの黒色変色
カニが黒い!
こんにちは、異物検査員です。
年末年始にかけてちょっと忙しくて、久々のブログ更新です (^-^;
これからもよろしくお願いします♪
さて今日は、「カニにカビが生えていた」というクレーム事例のご紹介です。
← カニの甲羅にカビ?
黒くて点々としていて、パッと見た目、確かにカビのように見えます。
上の写真はカニの甲羅の部分ですけど、たまに身の部分が茶~黒くなっていたり、
重油が付いてるんじゃない?と思うほど、中身が真っ黒ベチャベチャになっていることもあります。
その他に、異物検査員は、
ウニの塩蔵ビン製品から"虫の卵のような丸い形をした黒い粒々”を見たことがあります。
これらはすべて、チロシンの化学反応 によるものだったんです。
チロシンって何?
チロシンっていうのは、アミノ酸の一種。
チロシンは、魚の塩蔵品や乾燥品、醤油のモロミ、タケノコなどに多く存在し、カニにも多い。
だからカニの苦情の原因になります。
水に溶解しにくい物質なので、塩蔵品や乾燥品など水分の少ない条件になったりすると、
結晶化しちゃって析出することがあります。
チロシンて白いんじゃないの?
ところで以前、異物検査員はこのブログで、
「チロシンが析出して白いカビのように見えることがあるよ」 と書きました。
(→チロシンの針状結晶)
だから、チロシンってのは白いものじゃないの?と思われる方もいるかもしれません。
ここが曲者です。
もともとチロシンてのは白いんです。
でも、チロシンがある条件下でどんどん変化していっちゃって、最終的に
メラニン
になることがあるんです。
メラニンってのはご存知の通り、髪の毛や皮膚の色に関わる茶~黒褐色の物質です。
つまり白いチロシンが反応しちゃって黒いメラニンに変わってしまうんですね。
カニの黒変について
カニの黒変は、甲羅でも中身でもどちらでも起こります。
チロシンからメラニンンになる場合、最初の過程に酵素反応が必要になるので、
ボイルすることで黒変を防ぐことができます。
でも、メラニンは死後6時間程度で作られちゃうもの。
取ってきたばかりのカニじゃない限り、難しそうです。
あと、冷凍するのも1つの手なんですけれど、
この場合は解凍している時に反応が進んでしまって、
「冷凍していた時には普通のカニだったのに、解凍すると黒くなっちゃった!」
ということもあります。
冷凍生カニの場合は、冷凍したまま加熱調理するか、
なるべく速やかに解凍して食べると良いでしょう。
食べても大丈夫?
メラニンはシミやそばかすの原因になってるし、皮膚ガンを想像させるし
あんまり良いイメージは少ないですけど、実は大事な物質。
紫外線から私たちを守る為に人間の体の中でも作られるものなんです。
日焼けというのは、紫外線の影響を少なくする為の防衛作用なんですね。
メラニンを作れない個体をアルビノといいますが、アルビノは紫外線を吸収できないので、
太陽光線による細胞のダメージを防ぐ事ができず、皮膚ガンになり易いそうです。
だから、上の写真のようにカニの甲羅に出現して、中身が普通だった場合は、
カビじゃないことを確認できれば心配いりません・・・が、
例えば、茹でたカニを冷蔵庫に入れておいたら黒くなったとか、
時間が経って出現してた場合や変な臭いがしたり味がおかしい場合は、
細菌が繁殖していることもあるから怖いですよね。
また、カニの中身が黒くなってると、気持ち悪いし不安ですよね。
そういう場合は食べない方が良いでしょう。
少しでも不安があったら捨ててくださいね。
心理的な不安は結構侮れないものですからね~
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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★マメ知識★
メラニンとは
メラニンとは、皮膚・毛・目の網膜などに存在する黒褐色の色素のこと。メラノサイトというメラニンをつくる細胞から作られます。
メラニンの役割は、皮膚や髪の毛の色を決定することと、紫外線を吸収・散乱させて、細胞が受けるダメージを最小限に留めることです。
ちなみに、シミやそばかすは、メラノサイトが影響を受けてメラニンを作り続けるようになってしまい、黒いメラミンがどんどん生成することによって生じるようです。
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