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ポリフェノールってなぁに?

変色系異物に関係する成分、ポリフェノール

こんにちは、異物検査員です。

最近、変色系の異物調査が連続してやってきたので、実験実験また実験、の日々が続きました。
そのことでポリフェノール、フラボノイド、アントシアン、アントシアニンなどのお勉強をしたので、
今回は、ポリフェノール類についてお話しようと思います。

変色系の異物の原因としてポリフェノールが関わるものは多くって、
ざっと上げるだけでも次のような事例があります。

  • ブルーベリーケーキの一部が緑色に変色した。
  • ムラサキイモを使ったケーキ、お饅頭、今川焼きが全体的に緑変しちゃった!
  • カシスソースを使った生菓子に緑色のカビが見える。
  • 赤キャベツ、キャベツの根、カリフラワーの茎が青色をしている。
  • 紅しょうがが紫色になってる。
  • 大根を切ったら中がうっすらと青い。
  • 枝豆のゆで汁がピンク色になった。
  • サトイモのゆで汁がピンク色になった。
  • 紅茶が黒くなった。
  • 紅茶が青くなった。
  • 緑茶が紫色になった。
  • サツマイモが緑色になった。
  • ナスを水に漬けて置いたら、水の色がうっすらと赤くなった。





ポリフェノールって何?
さてさて・・・ポリフェノールって健康に良いらしくって、最近では普通に耳にする言葉になりましたが、
そもそも、どういうモノなんでしょう??

実は、ポリフェノールは、 「ポリ - フェノール(類)」 。
単純にこういう構造をもっているものを、すべてポリフェノールとまとめて言っているだけなんです。

ちなみに、
ポリっていうのは、たくさんあるよ~ という意味の接頭語です。
フェノール(類)っていうのは、「そういう名前で括られる化合物」 があって、
しかもそれが何種類もある・・・って想像してくださいね。

以下、頭の中でイメージしやすいように、ちょっと乱暴だけども記号にしちゃいます。

  例えば、○、△、□っていう3種類のフェノール類があったとすると、
    ○△・・・・・・ポリフェノール。    △□・・・・・ポリフェノール。
    ○□・・・・・・ポリフェノール。    □○△・・・・・ポリフェノール。
  全部ポリフェノール!!(※1)

というわけで、ポリフェノールという名前はたくさんの種類をひとまとめにしたもの、つまり“総称”です。




(※1)
・・・すこしでも化学を勉強したことがある方は、この説明に対して 「???」 となるかも。
これはあくまでポリフェノールってたくさん種類があるんだよ、っていうイメージを
お伝えするためのものだから・・・

それぞれのポリフェノールの構造を見ていくと、
単純に2つ以上のフェノール類がくっ付いたというものでもないですもんね。
それぞれの化合物の詳しい構造は、その他のサイトや本を参照にしてもらえるとありがたいです。

それから、ポリフェノールのフェノールと、
単品のフェノールは同じものではありませんから注意してくださいね。
ポリフェノールのフェノールは、「フェノール類」という意味で、
ベンゼンやナフタレンなどの芳香族環に水酸基(-OH)を持つ化合物群を指します。
単品のフェノールはベンゼン環に水酸基を1つ持っている化合物のことだけを指しますから、
フェノール類の中に、フェノールも含まれているわけなんですが、
単純にフェノールがポリプロピレンのように連続して並んでいるものではありません。
ポリプロピレンと同じように捉えていると、イメージしにくいですよね~ポリフェノールって。

でも、こういう話は頭が痛くなっちゃうので詳しいことは割愛しまっす!





だから~ポリフェノールって何?
ポリフェノールは「ポリ - フェノール(類)」っていう構造を持っている化合物の総称ということですが、
これ、現在分かっているだけでも5000種類もあって、
新しい化合物も続々と見つかっているみたいです。

これらのポリフェノール化合物はほとんどの植物に含まれていて、
植物の色を左右するという役割を果たしていることが多いんです。
その他に、食品の渋味や苦味の原因となることもあります。

そういうわけで、もともとポリフェノールには色が関係するものが多くあって、
昔から色を出す商品・・・化粧品とか香料とか食品とかに用いられていたんですけどね、
1992年(ほんの15年前!) に出された報告 ↓ がキッカケで、
全世界から注目を浴びる物質となってしまいました。





「フランス、ベルギー、スイスなどの人達ってさ~、

肉とかフォアグラとかチーズとかバターとか生クリームとか、

高脂肪の食材をたくさん食べるのに、心臓病とか動脈硬化とかになりにくいんだよね!


それって、赤ワインを飲むからなんじゃね?」



・・・で、赤ワインに注目して実験を行った結果・・・

『赤ワインに多く含まれるポリフェノールに、
動脈硬化や脳梗塞を防ぐ抗酸化作用やホルモン促進作用を向上させる力がある』 と発表。






この報告以降、この現象は「フレンチパラドックス」として世界的に広く認識されることになり、
日本でも赤ワインが大人気に。
一大ポリフェノールブームが巻き起こり、現在でもそれは続いています。

つまり、ポリフェノールというのは色が付いているものが多くて、5000種類もあって、
抗酸化作用があるといわれている体に良い物質らしい・・・ということになります。





ポリフェノールの種類
そんな5000種類もあるポリフェノールですが、
ポリフェノールの構造を持つ化合物には様々なものがあります。

  • フラボノイド類
    • カテキン
      お茶に多い物質。殺菌作用があり、血中コレステロールを低下させると言われています。
    • アントシアン
      「酸性溶液中で赤色、アルカリ性溶液中で青色を呈するような色素」の総称です。

      • アントシアニン
        ブドウやムラサキイモ、ブルーベリーなど、赤紫色をした果実に多く含まれている色素成分です。
    • タンニン
      紅茶、赤ワイン、柿などに含まれる渋味成分です。
      カテキン同様、殺菌効果があります。
    • ルチン
      そばに多く含まれる成分です。
    • イソフラボン
      大豆や大豆加工商品(豆腐、納豆など)に含まれる成分です。
      若返り効果があるんじゃないかと期待されてます。

  • フェノール酸類
    • クロロゲン酸
      コーヒーに多く含まれる成分です。ゴボウやサツマイモにも多く含まれています
    • エラグ酸
      イチゴやラズベリーなどに含まれる成分です。美白効果があると言われています。
  • リグナン
    ゴマに多く含まれる成分です。セサミンが有名ですよね。
  • クルクミン
    ウコン(ターメリック)に多く含まれる成分です。
  • クマリン
    サクラの葉、パセリ、モモ、柑橘類に多く含まれる成分です。
    桜餅から感じられる独特の甘い香りをしています。
    軽油識別剤として、灯油及びA重油に添加されているそうです。



・・・そんな感じで、ポリフェノールと一言で言っても、
フラボノイドはあるわ、アントシアニンはあるわ、クロロゲン酸はあるわ・・・
たくさんの化合物が含まれているのが改めてわかります。




変色に関わるポリフェノール
この中で、変色系異物の原因としてよく聞くのが、
フラボノイド、アントシアン、アントシアニン、クロロゲン酸です。

それぞれについては、また別枠で書いてみたいと思います。
長くなりそうだし・・・すでに長いし・・・。

あ、そういえば、クロロゲン酸については既に書いてます → 「サツマイモ・ゴボウ・ウドなどの緑変現象





植物から見たポリフェノールの役割
リンゴを切ると、表面が茶色に変色しますよね。これもポリフェノールが関与している現象です。
これ、植物側から見ると、防御反応とみることができるようです。

植物の細胞が傷つけられると、細胞の中にある組織が流れ出ちゃいますよね。
また、傷が付くと、そこから細菌やカビに感染しちゃうこともあります。
そこで、植物は緊急処置として、キズが付いたところに褐色の防壁を作るらしいんです。

その時できるのが、ポリフェノール。
フェノール類が酵素によって酸化重合して、褐色のポリフェノールを合成するらしいんですよ。

リンゴだけじゃなく、野菜や草花の切り口が茶色になるのは、
植物の防御反応でポリフェノールが作られているということらしいんです。

今のところ褐変の際に合成されるポリフェノールとしてはタンニンとかクロロゲン酸が有力のようですが、
これって、人間で言う「かさぶた」みたいなものなんですねぇ・・・。







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