◇日々雑感「読心術を養う時、どんな職業にもつけるという過信について」





 正しき作法とは、あらゆる分野に於いて基本となるもの。それは宗教的見地からも窺えるもの。なぜ正しき作法について唱えるかと謂えば、もしこの境地を知らぬ人間がこの世から消えてしまえば、邪悪さに塗れた人間の横行が防げると言うこと。

 心理学を持ち出せば、所謂、表層の装いや振る舞いからその人間の特性を知るよりも、読心術を養う方が得策と言うもの。そこに潜在意識を探るテクニックがあれば、彼(カ)の人は立派な心理学者として通用するのです。

 この点から窺うと、読心術はあらゆる職業病となるが、それを医師の頭脳に埋め込めば、彼の仕事も軽量となるでしょう。

 これを犯罪心理学と結びつければ、自分の身を守る処世術の学びとなります。それは犯罪を防ぐ職業には、全き必需品ともなるでしょう。

 読心術とは人の内省を読み取る方法を身につけることですが、何よりもその前に善と悪を汲み取る矯正が大切です。つまり正しきモラリストにこそ、その能力が備わるのが最も相応しいのです。

 それは、ある選民意識をもった統率者より選ばれた優秀な人々が備えるもの。このナチズムにも比すべき結束力の強い紐帯で結ばれた、所謂、共同体の出現こそは科学の発展により寄与される現代の正義です。読心術は科学の範疇に入るもの。

 読心術が如何に世の中を変えるかは、備わる人の良し悪しによります。それを正しい方向に導くには、それを必要とする共同体が必要です。謂わば善行を促す、その共同体とはまさしく公安、つまり警察官。

 彼らに備わる読心術は、世界の法則を回復させます。悪辣に塗れた人間を改心させるには刑務所が必要なように、世界の正しい法則を蔓延させるには、この読心術は警察官には必携の武器となるでしょう。

 警察官とは、そんな世界の法則の回復に役立つ優秀な人材です。彼らと共有する都市空間に悪は存在しないのです。全てが自由、然しその自由の中身が健全であればあるほど、善悪の峻別がつけられる倫理観を持った、まさに彼ら人格者が必要となるでしょう。

 そんな人格者の横行は、平穏無事を実現させます。読心術とは、独裁者には不可欠な心理作用です。然しそれを過信すると、とんでもない詐欺に合うこともあるでしょう。

 確かに健全さの促進が、平和な社会の実現に役立つ可能性はあります。要は読心術を良い方向に向かわせる普遍的理性を、無意識で無自覚なうちに担わせることが重要なのです。

 読心術を、正しき方向性で利用することが肝要です。人間の生理とは、殊の他、複雑多岐に渡りますが、そこに道理に満ちた論理を与えることの方が、その人間の欲得を養うと謂えましょう。

 そうなれば、読心術は必要でなくなるのです。悪人を善人に変えることは、組織から逸脱する人間に必要不可欠なこと。

 故に警察官は一度は通るべき道です。自衛官もそう。所謂、管理社会の現代では、このテストに合格した人間こそが、自分の天職とも謂える職業につける制度の必要を、筆者は説きます。

 そんな人間の作る理想郷とは、まさに職業に理不尽な階級をつける悪人の一掃です。たかが読心術というなかれ。読心術は道徳的な関心度を高め、去勢にも似た苦痛を被ったパーフェクト・マンに近い人間の完成を告げるのです。

(了)