20代から30代の死因トップが「自殺」という現実を、今、静かに見守りたい。此を声高に叫ぶ時、自殺志願の若者達に自殺行為を不覚にも煽る結果とならないかという言説が罷り通る世の中の実現化こそが、望ましいのではないか。
    少子高齢化社会の現状を踏まえて筆者も含めた社会が、若者達の自殺に歯止めをかけるのは至極当然である。高齢にあたる老人を介護する若者達の減少こそが、社会に歪みを齎す原因となっているのも又事実。然しこの若者達の自殺を防ぐ為に、政府がどんな手法で望むかを少し手繰り寄せてみよう。
    例えば「命の紐」。かつて電話線という存在が自殺防止に一役買っていた事に鑑み、現代社会にもこの自殺防止対策に力を入れる事が極めて有効だと思える。コミュニケーション能力が希薄な現代の若者達に、自らが自殺の原因を探るよりもその道のオーソリティーに解決法を教授して貰う事の方が、如何に大切かを力説したい。
    そして地域社会が、率先して自殺志願者を暖かく見守る共生社会の実現こそが望ましい。其処には過労や生活困窮、そしていじめ等という自殺の原因を根絶する為に、現代のコミュニケーション能力の希薄さを克服するヒントが隠されている気がする。
    以上のように、IT社会の技術を最大限に生かしつつ地域に密着した自殺防止の方法を考察する時、此が極めて緻密な頭脳と清廉な肉体を伴った作業であるかを、熟知せねばならぬだろう。
    「人が人の命を助ける」事を前提にした議論の活性化こそが、この「自殺減へ若者対策強化」にとって枢要な言説である事を肝に銘じて政府に告げたい、筆者の此は実に細やかな提言ではある。
(了)