ずっと眠ったままのようにも思えてしまう伊吹ですが、当然起きているときと寝ているときだってあり、ハッピーオーラ満開なときも、ご機嫌ななめの時だってあります。
ご機嫌斜めな理由はいろいろとあるのですが、ざっくりと言うと
・吸引してほしいとき
・身体、顔の向きが気にくわないとき
・オムツが汚れているとき
・お腹がすいたとき
・お腹がいっぱいなとき
吸引やポジショニングはさておき、他の赤ちゃんと同じように不快を感じて教えてくれます。
基本的には大きく表情も変えられないし、もちろん声を出して泣くことも出来ません。
じゃあどうやって伊吹の不快を感じとれるのかというと、それは数値だったり、ほんの少しの表情の変化だったり。
オムツ替えんかい と眉間にシワをよせてくる時だってあって、これがまたなかなか渋かわいい←
でもいぶちゃん、どんなにプンプンとご機嫌ななめのときだって、抱っこをするとあら不思議、ほっぺたをピンクにさせてとっても穏やかな表情になるんです。
抱っこが嫌いな赤ちゃんなんて一人もいなくて、あたりまえに伊吹も例外なく、抱っこが好きなんだなぁとうれしかったり。
意識がない状態だ、植物状態だと言われ、でもそれがいつからかそうではなくなって…
同じような子をもつ家族なら分かってもらえるかと思うけど、この子は何も感じていないのではないか?本当に伝わっているのかな?とそう思った時期もありました。
そうではないとはっきりと気づいたのは、おそらく生後3ヶ月頃。
気管切開と胃ろうの手術が成功した、それ位こ頃からだったと思います。
それまでは挿管されていたため自由に抱っこも出来なかったし、呼吸器に繋がれる我が子を抱っこすることは、始めはとても勇気のいることで。
どこか痛くないのかな、しっかりとポジショニングされているベッドの方がいいに決まっていると、抱っこをすることに後ろ向きだった時もありました。
勇気を出して抱っこをしてみても、数値を落としてアラームが鳴ってきたりと、すぐにベッドに戻さなくてはならなくて…
抱っこしたいのに、したくない。
とにかく伊吹には苦しい思いをさせたくなくて、積極的に抱っこを勧めてくる看護師さんたちに、内心うんざりしたこともありました。
4ヶ月の頃だったと思うけど、どうしても小さな痙攣が治まらなくて、いよいよダイアップの出番かなというときに主治医が
『これは伊吹ちゃんの寝ぐずりかもしれません。抱っこすると落ち着いていくかも。』
なんて言い出したものだから目が点になって。
トントンと寝かしつけながらしばらくすると、痙攣も止まり心拍を落として、ぐっと深い眠りへとおちていきました。
そっか、いぶちゃんだってうれしいとき、悲しいとき、たのしいとき、怒りたいとき、甘えたいときだってあるよねと
鈍器で頭を殴られたように、私の中で確実に意識が変わった瞬間でもありました。
それまでも一日中話しかけ、きっと伝わっているはずだと信じていたけど、母と子はきっと繋がっているんだからと、それはどこかスピリチュアル的なものであって、何の根拠も自信もないものだったから…
でもその日を境に、現実味をおびて大きく変わった毎日。
1ミリの変化も見逃すまいと、五感をフルに使って伊吹を感じるように。
そして伊吹もまた成長とともに、いろんなことを教えてくれるようになりました。
何かしらの手続きの度に必要な主治医の意見書。
それを見ると意思疎通困難から始まり、本当にこれ以上の最重症はありませんとでも言わんばかりの厳しい単語たちがズラリと並んでいるけれど…
それでもいぶちゃんはやっぱり、
抱っこがお好き
なんにも意思疎通困難なんかじゃないよ。
抱っこが好きなのも、お腹がすいたときも、オムツを替えてほしいときだって、ママには分かる。
呼吸器に繋がっているからぎゅっと強く抱きしめることは出来ないけれど、感じる我が子の重みと温かさがありがたくて嬉しくて、涙が溢れてくる毎日です。
いぶ、抱っこするとあんなに穏やかで柔らかい表情。
今ではいぶよりもずっとずっと、ママの方が抱っこだいすきになったよね。
おうちに帰ってきたら、毎日自由に抱っこが出来るなんて、そんなの夢みたい。
その夢が叶うと信じて、まだまだパパもママも頑張るからね。