伊吹は産科医療補償制度の対象分娩となります。


生後1ヶ月頃にその制度を知り、対象分娩となるいくつかの条件を満たしていることを確認してから、ソーシャルワーカーさん(以下MSWさん)に書類一式を取り寄せてもらいました。


生後6ヶ月を過ぎないと書類に記入できる段階に入ることができないので、それまでは特に何も動いておらず、


6ヶ月を過ぎてから主治医が意見書などを書き始めてくれましたが、ただの意見書とは違い相当難しい内容のものらしく、ご多忙の中苦闘されながら生後7カ月を過ぎた頃に申請が完了。


そして生後11カ月が経ち、審査受理の通達が届きました。





本来なら1歳を超えてからの申請になりますが、極めて重篤だと判断される場合には生後6ヶ月からの申請が可能になるそうです…


同じ境遇の子どもをもつママさん達はみんなご存知のこの制度ですが、世間ではほとんど知られておらず、もちろん私もそれまで自分には無縁の事だと思っていました。






私は胎盤剥離による新生児重症仮死で伊吹を出産しましたが、この “ 早剥 ” も分娩トラブルに該当します。


今さら産院にどうのこうの言うつもりもなく、1ミリたりとも思っていないのかと言われれば嘘になるけど、こればっかりは私自身に起きた事なので仕方なかったんだともう割り切る事にしています。


でも中には100%産院に非があるとしか言いようのない分娩トラブルも数多くあり、ずっと苦しく悲しい思いをされているお母さんがたくさんいます。


ただでさえ大変な精神状況の中、産院との長引く裁判や抗争を避けるために作られたのがこの “ 産科医療補償制度 ” 。






産科医療補償制度協会というものがあり、国内のおそらくほとんど?全て?の産院が毎月保険料とするお金をここに納め、この対象分娩となるお産が起きてしまった時には、その家族への賠償金を肩代わりしてもらう。


まさに産院が加入する保険であり、この制度に助けられるのは私達家族だけではなく、産院側もまた同じという事です。






介護や看護の基盤を整えるための準備支度金に加え、さらに毎年補償金が支払われます。


MSWさんいわく私達のように子どものために新築を考える家族も少なくなく、そうでなくとも家のリフォームや車の購入に充てたりと、そのために支払われるのが準備支度金だそうです。


毎年支払われる補償金は、母親が働きに出られない分など、いろんな面を考慮されて試算された金額。





とはいってもきっと、このお金を手放しで喜んで受け取る家族なんてたったの一例もいないと思います。


多額の金銭を受け取ることに複雑な気持ちと何か違和感を感じながらも、いろんな葛藤を乗り越えてそこに辿り着く。


“ 貰えるものは貰わないと ” という割り切った考えに行き着くまでも、長い時間を要しました。






本来は産院とやり取りをしながら進めていく申請ですが、また気分の上がり下がりを味わうのが嫌だったので、私は今の病院のMSWさんに手続きの全てを一任しました。


このブログの検索ワード解析で、産科医療補償制度というワードで辿り着いてくれた方も何件かあったので、書かなきゃ書かなきゃと思っているうちに時間だけが経ってしまい… 


リアルタイムではなくとも、何年後かにこの記事に辿り着いた方でも、何かの参考になればうれしいです。


もし今は、不安で不安で仕方がなく真っ暗闇のトンネルの中にいるという方でも…


きっと大丈夫、いつか必ずそのトンネルを抜け出せる日がくるはずです。


こんな私でもそうだったから。


今日も同じ空の下で頑張っている沢山の家族に、感謝とエールを



{96B9F752-988D-45A7-AB38-A93E788B974A}