ポルシェがフォルクスワーゲン(以下VW )を傘下に治めたのは以前このブログでも記した通りです
。 そして、 5 月 6 日にポルシェと VW が合併するというニュースがリリース されました。
ところが、 VW は 5 月 17 日にポルシェとの合併協議を中止したと発表 しました。そして、VWのスポークスマンは「我々は先週末に、合併を進める上で必要な基本的な条件をポルシェが満たしていないことを認識した」として、「協議が継続されるかどうかは全く分からない」 と先ず述べました。
加えてVWは「ポルシェは両社合併に向けた戦略を持っておらず、自分たちがどこに向かおうとしているのかをはっきりさせる必要がある」と指摘 し、これに対してポルシェはコメントを拒否 しました。 これはどうみてもフツーの、親会社(ポルシェ)と子会社( VW )のレスポンスとは思えません。いったいどうしたんでしょうか?
VW の前 CEO はフェルディナント・ピエヒ氏 です。ピエヒ氏がフォルクスワーゲン・ビートルの産みの親であるフェルディナント・ポルシェ(以下 F ・ポルシェ)とファーストネームが同じであるのは決して偶然ではありません 。なぜならピエヒ氏は F ・ポルシェの長女ルイーズ・ピエヒの次男、つまり孫にあたるからです 。
それゆえピエヒ氏は当初ポルシェで働いていましたが、ポルシェが上場する際にポルシェ一族は株主ではあるものの、経営から手を引くこととなり、ピエヒ氏も同社を去って、 アウディの役員となりました。彼はその後親会社であるフォルクスワーゲンの CEO に就任、現在は同社の監査役会の会長かつ大株主 です。監査役会といっても侮るなかれ。日本と違いドイツの監査役会は取締役を任免する権限を持っています。 それゆえ監査役会を置くことを嫌い、有限会社の形態をとる世界的大企業も多いくらいです。
一方ポルシェの監査役会会長はヴォルフガング・ポルシェ氏 。彼はポルシェ社を設立したフェリー・ポルシェの 4 男で、ピエヒ氏の従兄弟 にあたります。ポルシェ家とピエヒ家の総資産は 4,000 億ドル( 38 兆円!)に達するといわれ 、傍からみれば華麗なる一族以外の何ものでもありません 。ところが、ピエヒ氏はポルシェ家のメンバーとの関係は以前から良好でないとされています。 ポルシェ社から追い出された格好のピエヒ氏にとってポルシェ家に何か感じるものがあるのかもしれません。
未曾有の経済危機でポルシェも多分にもれず販売不振に陥るだけでなく、金融機関からの借入金の再借入交渉にもたついています。 資金繰りに以前ほど余裕のなくなったポルシェは VW の資金に頼ろうと合併を模索しましたが、このありさま。 しかもポルシェはドイツ政府に金融支援を求めたところ今週になって拒否されています。 ドイツ政府によると破産法適用が噂されるGM 傘下のオペルや苦境に陥っているドイツの他の企業の支援に余念がないのでポルシェに支援をしている余裕はないとしています。
子会社である VW からポルシェに対して逆に買収提案がなされたともされていますが 、両者の「小競り合い」にこれからも注目したいと思います(・∀・)