ベニバナ コウカ 街で見る薬草シリーズ(加藤久幸)

ベニバナの花

(内藤記念くすり博物館/2022年6月4日撮影)

ベニバナは、咲き始めが黄色です。そのうちに紅色が混じり、名前の通りの彩り(紅花)に変わります。

 

 

ベニバナ

( 紅花/キク科 一年草~越年草 )

 「ベニバナは、名の通り紅の彩りを持つ花」とお思いでしょうか?

 いえ、ベニバナは咲き始めは黄色です。

 そして徐々に、黄色から紅色に変わって行くのです。

 

 ベニバナは染料となる植物です。

 布を染め、口紅の原料になります。

 化学的に合成された色素が用いられるようになり、国内でのベニバナの栽培は急速に衰えました。

 

 花は、薬としてもいます。

 種子から採った油が、サフラワーオイル(紅花油)です。

 

※ベニバナは街で見やすい花という訳ではありませんが、お花屋さんで切り花として販売されていることがあります。

 町のお花屋さんで、探してみてください。愛らしい彩りの花です。

 ただ葉にトゲがありますので、手に取るときはお気をつけください。

 

 

◆花言葉:特別なひと、包容力

 

 

 

生薬名:コウカ(紅花) ※管状花を使用

「血流を促進する薬」として用います。

それは具体的には、どんな薬効を示すのでしょう?

 

まず、しみやそばかすの状況を改善します(現代人は血虚の対応も同時に必要)。

そして、「痛みを緩和する(固定性の刺痛/同じ場所がチクチクと針で刺されるように、また疼くように痛む)」という薬効を強く示します。

他に、「腫瘤」「出血(持続性の少量出血)」の不調を示します。

 

 

【 漢方的 効能 】活血化お、痛経、止痛

 性味: 辛・微苦、温

 帰経: 心・肝

 

 

 

 

おもひでぽろぽろ(スタジオジブリ アニメ映画の一場面)

ジブリ提供の、作品静止画。

 

 

おもひでぽろぽろ(スタジオジブリ アニメ映画の一場面)

ジブリ提供の、作品静止画。

 

 

 

おもひでぽろぽ

( スタジオジブリ アニメ映画/1991年 )

 

 この黄色い花から、どうしてあんなに鮮やかな紅色が生まれるのだろう。

 

 キヨ子ねえさんが、悲しい言い伝えを教えてくれた。

 

 昔はゴム手袋のようなものはない。

 

 娘たちは素手で花をつみ、トゲに指を刺されて血を流す。

 

 その血が、紅の色をいっそう深くしたというのだ。

 

 一生、唇に紅をさすことがなかった娘たちの、華やかな京女に対する恨みの声が聞こえて来るような気がした。

 

 ひとにぎりの紅をとるには、この花びら60貫が必要で、玉虫色に輝く純粋の紅は、当時でさえ、金(きん)と同じ値段だったという。

 

※1貫は3.75Kg

 

 

 

 

ベニバナ コウカ 街で見る薬草シリーズ(加藤久幸)

 

Q ベニバナが血流を改善すると言いますが、 何が良くなるのですか…?

 血流悪化の初期は、「肌のつや」なくなります。

 ベニバナが改善するのはさらに血流悪化した状況で、しみ・そばかすが増加し「痛み(チクチク痛)」に困るときです。

 服用を続けることによって、痛みが出ない身体に戻ります。

※血流悪化はまた、「老化進行」の不調だと言えます。

 

 

 

Q ベニバナと同じ「血流改善作用」を示す漢方薬

 折衝飲(せっしょういん)という漢方薬には、ベニバナ・紅花(生薬名はコウカ)が主薬のひとつとして配合されています。

 活血作用を示す漢方薬を2種記します。

 

◆ 折 衝 飲せっしょういん(産論)

 トウニン(桃仁) 苦・甘、平 (破お行血・潤腸通便)

 コウカ(紅花) 辛、 (活血通経・袪お止痛)

 ボタンピ(牡丹皮) 苦・辛、微寒 (清熱涼血、活血散、清肝火)

 ゴシツ(牛膝) 苦・酸、平 (活血袪お、肝腎、引血下行)

 エンゴサク(延胡索) 辛・苦、  (活血行気、止痛)

 トウキ(当帰) 甘・辛、 (補血・行血・潤腸・調経)

 センキュウ(川) 辛、  (活血行気・袪風止痛)

 シャクヤク(芍薬) 酸・苦、寒  (補血・緩急止痛)

 ケイシ(桂枝) 辛・甘、温  (発汗解肌、温通経脈、通陽化気)

 

血虚 血お に用いる代表処方です。

桂枝茯苓丸の、血管拡張・血行促進の作用を強めています。

下焦の血お:下腹部の痛み圧痛・腫瘤・生理不順・不正性器出血などに、下肢の冷えや鬱滞・のぼせ・頭痛などの証候を伴う。舌質は紫や紫斑、脈は渋や弦。

血虚:顔色が悪くつやがない・皮膚がかさかさして潤いがない、爪の色が悪くもろい・目がかすむ・目が疲れる・目の乾燥感・頭がボーッとする・ふらつく・動悸・四肢のしびれ感・筋肉の引きつりなどの症候、女性では月経周期の延長・月経量が少ない・無月経

【 製品 効能 】体力中等度以上で、下腹部痛があるものの次の諸症:月経不順、月経痛、月経困難、神経痛、腰痛、

 肩こり

 

 

◆ 桂枝茯苓丸けいしぶくりょうがん(金匱要略)

 ケイシ(桂枝) 辛・甘、温  (発汗解肌、温通経脈、通陽化気)

 ブクリョウ(茯苓) 甘・淡、平 (利水滲湿、健脾補中、寧心安神)

 トウニン(桃仁) 苦・甘、平 (破行血・潤腸通便)

 ボタンピ(牡丹皮) 苦・辛、微寒 (清熱涼血、活血散、清肝火)

 シャクヤク(芍薬) 酸・苦、微寒  (補血・緩急止痛)

 

婦人の病(腹中の血塊等)・漏下のため作られた処方です。下焦の血おに用います。

下焦の血お:下腹部の痛み圧痛・腫瘤・生理不順・不正性器出血などに、下肢の冷えや鬱滞・のぼせ・頭痛などの証候を伴う。舌質は紫や紫斑、脈は渋や弦。

【 製品 効能 】比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹・皮膚炎、にきび