東山植物園、星が丘門から入場
トンネル状の入口、小さなお子さんは、少し恐く感じるかも知れません。
(最寄駅、地下鉄東山線の 星が丘 )
化石風オブジェの、壁面
ゲートを出ます
化石探索を終え、ここからが植物探索です。
前日新聞紙上に(地元・中日新聞)、東山動植物園のキキョウの花の画像が掲載されていました。
2021年7月17日、午後2時頃に、東山植物園(名古屋市 千種区)に着きました。
キキョウなど、美しい花たちを楽しもうと、出かけました。
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東山植物園(東山動植物園/最寄駅:地下鉄、東山線の東山公園前駅)は、名古屋の東側の東山丘陵にあります。
広い植物園で、敷地面積は日本最大級です(植物園は27ヘクタール、隣接する動物園を加えると計59.58ヘクタールあります/ディズニーランドの敷地面積は46.5ヘクタール)。
植物園は高低差があり(小山という感じですが)、園内を一周するには、40~50分程かかります。
隣接する動物園では、イケメンゴリラのシャバーニ、愛らしいコアラなどが迎えてくれます。
(植物園と動物園は、一般道でへだてられています。いったん入園していれば、“動物園に行きます”“植物園に行きます”と出入口で伝えれば、再入場チケットがもらえます。中学生以下は入場無料です)
キキョウ(桔梗/キキョウ科 キキョウ属 多年草)
生薬名:キキョウ(桔梗) ※根を用います。
昔は「朝貌(あさがお)の花」と呼ばれたキキョウ。
つぼみは風船のようにも感じるもので、バルーンフラワーと呼ばれてもいます。
秋の七草(おみなえし・すすき・ききょう・なでしこ・ふじばかま・くず・はぎ)に数えられるもので、それはかって多く見られたという意味なのですが、日本の野山ではもうほどんど、目にすることが出来なくなっています。
開花後にはまずオシベが元気よく展開し、しばらくするとそれは失われ、続いてメシベが成熟します。
画像のものは、オシベが枯れて無くなった状態のものです(開花してからしばらくたった)。
薬用ニンジンのように太る根を、薬として用います。
◇民間薬的な用いかた
ノドが腫れて痛むとき
キキョウの根3gを1日量として煎じて(またはキキョウの根2gに、他植物のカンゾウ(甘草)3gを加えて)、1日2回・口内に含んでから、ゆっくりゆっくり飲みます。
化膿性の腫れ物が痛むとき
キキョウの根1g、シャクヤクの根とキジツをそれぞれ3gを、粉末にして混ぜ合わせ、1回量2~3gを取って、卵の黄身1個分を加えてかき混ぜ、白湯で飲みます。1日に1~2回飲みます。
漢方でも、ノドの薬とします。単独でも用いますが、肺熱(ノドの痛み、発作的に続くセキ)を抑えるセッコウとあわせることが多いものです。
鉱石なので重いセッコウを、その薬理作業を、ノドへと持ち上げるために必要な、『 船楫(せんしょう/ふなかじ)の剤 』として重要なものです。
(船のかじを取るように、薬効を、目的の身体部位まで導く)
【キキョウ(桔梗) 性味:苦・辛、平 帰経:肺 薬効:止咳・袪痰・排膿】
【キキョウを含んだ漢方薬: 銀翹散(ぎんぎょうさん)、参蘇飲(じんそいん)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)】
キキョウの花、昼下がりの日差し
キキョウの花、青き昼下がり
コウホネ(河骨/スイレン科 コウホネ属 水生の多年草)
生薬名: センコツ(川骨) ※根茎を用います。
中国ではコウホネを生薬としていませんが、近縁種を「ひょう蓬草(ひょうほうそう)」として用います。
水中に根を降ろす、水生植物です。
花茎を垂直に伸ばし、先端にひとつの花を咲かせます。
花は小さな黄色花、木道の近くに咲いているものを、じっくり見ることが出来ました。
アイヌ民族は、白い地下茎を採って、アク抜きしたあと乾燥させ、保存食としていました。
(水に浸けてもどし、汁の実などとして利用/カバトと呼びます)
【センコツ(川骨) 薬効:利水・活血(痛み止め)・強壮】
【センコツを配合した漢方薬:治打撲一方(じだぼくいっぽう)、実母散(じつぼさん)】
コウホネの花
東山植物園、合掌造りの前の道
合掌造り
金沢の大学に行かせてもらいました。学生寮で暮らしていました。名古屋まで、自転車で帰郷したことがあります。
合掌造り集落が点在する国道156号線、忘れられない風景。
合掌造り
水車小屋
涼しげな里山風景
ヤブカンゾウ(藪萱草/ススキノキ科 ワスレグサ属 多年草)
生薬名、野菜名:キンシンサイ(金針菜) ※開花前のつぼみを用います。
オレンジ色の花は、遠くからでも目立ちます。それは夏の太陽の色、湧きたつ熱量の色。
一日花と思っていました。2日、3日咲いているものもあるようです。
ワスレグサ(忘れ草)とも言われますが、それはこの花を見ると、「美しさに時を忘れ、見入ってしまう」との意味でつけられています。
八重の花びらを持つヤブカンゾウは、実を結ばない植物です(八重のものは、多くは実を結ばない)。
中国では萱草と呼び、金針とも呼ばれます。金針菜(きんしんさい)は、このツボミを採ったものです。食材とされ、料理に使われます。
生で食べると、甘くて酸っぱみがあるものです。
ケイトウ(鶏頭、鶏冠/ヒユ科 ケイトウ属 )
生薬名:ケイカンカ(鶏冠花) ※花を用いる。
花壇などでよく見る植物、ケイトウ。アジアやアフリカの熱帯地方を原産として、日本には奈良時代に、中国を経由して入って来た植物です。
ニワトリの赤いトサカを思わす花から、ケイトウ(鶏頭・鶏冠)と名づけられました。
個性的な面を持ち、移植を嫌がり、種は陽の当たる場所では発芽せず(嫌光性)、やせた土壌を嫌います(アルカリ性を好む)。日本では観賞用とされますが、アフリカや東南アジアでは花や葉を食用にするため栽培します。
【ケイカンカ(鶏冠花) 性味:甘・渋、涼 帰経:肝・大腸 効能:収渋・止血・止痢・止帯】
ノゲイトウを セイソウシと呼び薬草とします。しかし、ケイトウの種子が市場に出ていることもあります。
【セイソウシ(青子) 性味:苦、微寒 帰経:肝 効能:降圧・明目・止痒】
オミナエシ(女郎花/オミナエシ科 オミナエシ属 多年草)
生薬名:ハイショウ(敗醤) ※根のついた全草を敗醤または敗醤草と、根だけを敗醤根と、呼びます。
秋の七草に数えられるオミナエシが、咲いていました。それは、青空に、黄色を突き出す花。
射るような日差しの7月にも、小さな秋が生まれ始めているのです。
日当たのよい草地を好み、かって日本では数多く見られたものですが、今は残念ながら、ほとんど見ることが出来ません。
花をいけておくこともあり、かすかに甘い香りがします。
花は、日本的と言える繊細な野花の美しさ。しかし いけておいてから時間がたつと、香りが変わり、醤油が悪くなったものを思わすものになります。
そのため、オミナエシをハイショウ(敗醤)と呼ぶことがあります。
オミナエシは、ハイショウ(敗醤)の名で、生薬にされています。
薬効は、クールダウンに働くもので、熱性感染症の各不快症状などに用います。
またこれは、虫垂炎(盲腸)の時に用いられたもの、軽度ならこれだけで治療が出来たとされるほど。「腸癰(ちょうよう)の要薬(ようやく)」と呼ばれます。
【ハイショウ(敗醤) 性味:辛・苦、微寒 帰経:胃・大腸・肝 効能:清熱解毒・排膿】
【ハイショウが用いられる漢方薬: 苡附子敗醤散(よくいぶしはいしょうさん)など】
オオハンゲ(大半夏/サトイモ科 オオハンゲ属 多年草)
カラスビシャクに似た花を咲かせる、同じサトイモ科の植物が、オオハンゲです。
花は緑色、小さなひしゃくのような形で、長い触覚を伸ばしているような奇妙な形です。
これは、カラスビシャクの漢名をハンゲ(半夏)ということから、つけられた名前です。
「大(きい)」の名がつけられるように、(カラスビシャクよい)大ぶりで、特に葉に大きなものが混じります。
日本では本州中部から琉球列島にかけて、見ることが出来ます。地下に、小指の先程の(第一関節まで)大きさの球茎が出来るのも特徴です。
(カラスビシャクと違い、ムカゴが出来ません)
オオハンゲの花
オオハンゲの葉
ずいぶん大きな葉です。
トンボ
トンボ
糸のように細いトンボ。
オニユリ(鬼百合/ユリ科 ユリ属 多年草)
生薬名 : ビャクゴウ(ユリ) ※地下の鱗茎(りんけい/球根)を用います。
大きな花・オレンジの花色は、遠くからでもよく目立ちます。
美しいと感じる、夏のユリの花・オニユリです。
オニユリは、葉の脇などに、黒い小さな珠(直径5mm程)になるムカゴを多くつけ、それが、地に落ちれば、種の代わりになり、芽を吹きます。このオニユリは、種を作りません。
オニユリ・ヤマユリ・ササユリの球根には苦味が少ないので、昔は食用・薬用にされています。
(現在、オニユリは栽培され、年末には鱗茎が野菜として販売されます。 ヤマユリ・ササユリは自然の中で株数が激減し、大切に保護されるようになっています。自然に生えているものを、掘り採らないようにしてください。お願いいたします。)
薬にするときは、ビャクゴウ(百合)と呼び、その球根(鱗茎)を用います。おもに、肺の機能向上のくすりとします。
【ビャクゴウ(百合) 性味:甘・苦、微寒 帰経:心・肺 効能:潤肺・止咳・安神】
【ビャクゴウが配合される漢方薬: 辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)など】
ヒゴ シオン(肥後紫苑/キク科 シオン属 多年草)
茎には短毛が生えていて、茎はあまり枝分かれしません。九州は阿蘇・九重地域だけに見られる種類です。
ミソハギ(禊萩/ミソハギ科 ミソハギ属 多年草)
ハギに似た花の姿で、ミソギ(禊)に使ったので、ミソハギ(禊萩)の名がつけられたと思われます。
和歌山県日高地方では、この草をミソギと呼んでいました。お盆に飾る花として、全国で広く用いられ、ボンバナ・ボングサと呼ばれることも多いものです。
下痢止めに
1日分として、乾燥した全草(千屈菜)10gを水400mlで、液量半量になるまで煎じ、3回に分けて服用します。
⇒ 7月の 東山動植物園 ② に つづく
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⇒ 5月の 東山 動植物園(2021年)を みる
⇒ 3月の花、東山植物園(2021年) を みる
⇒ 2月の花、東山植物園(2021年)を みる
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