あいち健康の森 薬草園(薬草・漢方の講演会 加藤久幸) 

美しい青いバラ

 

 

 愛知県大府市・あいち健康の森 薬草園で、薬草・漢方講演会(1時間半)を行いました。

 

 その後に、薬草園で花探しをしました。美しい花たちの姿を、お楽しみください。

 

⇒ 講演内容を みる

 

 

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 あいち健康の森 薬草園(薬草・漢方の講演会 加藤久幸)

薬草園のホール

ここで、講演会の講師をさせていただきました。

 

 

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ホールの前は、芝生広場

 

 

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芝生広場

 

 

 

 

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シャクヤク(芍薬/ボタン科 ボタン属 多年草)  ※生薬名:シャクヤク(芍薬)

 シャクヤクの花が、美しく咲いていました。白いシャクヤクの花と、赤いシャクヤクの花が。

 

 シャクヤクは中国東北部辺りを原産地とする植物で、ボタンより早い時期に、日本に渡って来た種です。花の美しさから、シャクヤクは「花の宰相」と、ボタンは「百花の王」と呼ばれます。

 

 「シャクヤクとボタン、花の印象が似ていて、区別がつかないなあ」という、ぼやき交じりの質問を受けます。

 シャクヤクは草(草本)なので、茎が緑系色です。ボタンは木(木本)なので、茎に樹皮の部分があり茶系色です。

 

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 シャクヤク(外皮を除いた根/白芍)は、補血薬です。これは、「血流を良くする薬」と考えて良いものです。

 

【シャクヤク(芍薬)  性味:酸・苦、微寒  帰経:肝  効能:補血、止痛

【シャクヤクが配合される漢方薬  四物湯(しもつとう)、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

 

⇒ こむら返りによい! 漢方薬・芍薬甘草湯  過去の記事をみる

 

 

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白いシャクヤクの花

この様に、仲間たち一緒に咲いていました。

 

 

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赤いシャクヤクの花

赤いシャクヤク花は、園芸種でしょう。幾重にも重なる花びらが、華麗な印象です。

 

 

 

 

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マオウ(麻黄/マオウ科 常緑小低木)  ※生薬名:麻黄(マオウ)

 原産は中国東北部やモンゴルの乾燥地帯です。日本では自生せず、わずかに薬草園などで見られるだけです。

 トクサやスギナを思わせる地上部、茎がまっすぐに伸びています。

 これは、マオウの雌花です。秋には、キイチゴのような赤いつややかな果実がみのります。

 

 マオウの主成分と言えるエフェドリンは、医系・薬系の学部で一度は学ぶもの。

 それは、1887年に長井長義(ながい ながよし)先生により単離され、構造式が解明された、漢方生薬初のアルカロイドです。エフェドリンは中枢興奮作用を持ち、覚せい剤(メタンフェタミン)を合成する原料にもなります。

 こう記せば、恐い物質と思うでしょうが、漢方薬(マオウを配合したもの)としては、便利に使う事が出来ます。恐いものではないと言って良いでしょう(吉益東洞先生のお言葉通りに)。

 

 カゼ薬の葛根湯に配合され、カゼで寒気を感じた初期の時点で服用すれば、30分ほどで治癒してしまう、速こう薬です。

 必ず熱いお湯で飲み、服用してから身体をあたたかく保つのが(良いのは、おフトンの中に入る)、肝心です。

 マオウの薬効の本質は、温めて「汗を出させる(発汗薬)」という事です。

 

【マオウ(麻黄)  性味:辛・微苦、  帰経:肺・膀胱  効能:解表(発汗する)・止咳平咳・利水消腫

【マオウを配合した漢方薬: 麻黄湯(まおうとう)、葛根湯(かっこんとう) など多数

 

 

 

 

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ハマナス(バラ科 バラ属 落葉低木)  ※生薬名:瑰花(まいかいか)

 日本では、野生種のバラ属では最も花が大きなもので、花姿が美しいです。このように、赤色系の花を見る事が多いです。果実がナシに似ているので、ハマナシ(浜梨)と呼ばれたのが転化した名前とされます。

(日本海沿岸側では鳥取県以北で見られ、太平洋沿岸側では千葉県以北で見られます)

 花から取れるローズ油は、香水の原料にされます(含有成分/シトロネロール、ゲラニオールなど)。根は染料にされます(含有成分/タンニン)。果実にはビタミンCが多く含まれています。

 

 若い頃、オートバイで地域を巡ることを趣味にしていました。

 晩秋、東北地方を巡り砂浜でひとりテントを張った時、つやつやとした夕やけ色のハマナスの果実を見て、心なごませた思い出があります。

 

下痢止め・経血の過多

花びら(乾燥品)2~5gを1回量として熱湯を注ぎ、ハーブティーの様にして、液体を飲みます。

 

疲労回復

熟した果実(黄赤色)を5個、氷砂糖かグラニュー糖150gとともに、1Lほどのホワイトリカーにつけ、1~3カ月保存。1回30mLほどを用います。

 

 

 

 

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ハハコグサ(母子草/キク科 属 二年草、越年草)  ※生薬名:鼠麹草(そきくそう)

 道端・畑地、私が見たのは毎日通勤途中のバス停前で、見られる、いわゆる雑草です。

 しかしこの種は、春の七草の中の、「ごぎょう(御行)」と呼ばれるものです。ひとの暮らしに馴染み深いものであるのは、ゆでると食べる事が出来るためです。外見上は、葉茎が細毛で覆われているように見えるという特徴があります。今は草餅はヨモギで作るものですが、かってはこのハハコグサを用いて作っていました。

 

痰・せきに

全草の乾燥品10gを水400mlで煎じ半量に、それを不調のある時に服用します。1回量20gを火にくべて、その煙を吸っても、痰・セキに良い。

 

 

 

 

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サンザシ(山ざ子/バラ科 サンザシ属 落葉低木)  ※生薬名:山子(さんざし)

 これは西洋サンザシでしょうか、八重で赤ピンク色の花びらが、華麗な印象を与えます。

 サンザシは中国原産で、江戸時代に薬用植物栽培のため江戸・小石川御薬園に入れられたのが、わが国に最初に入って来た理由です。

 秋にサクランボ程の大きさの、リンゴを思わせる小果実をみのらせます。それを、消化を助ける薬として用います。

(画像の八重のものは、きっと、果実はほとんど実らないでしょう)

 

 10年ほど前、中国の杭州に行きました。その時、サンザシの飴(串刺しになった小さなリンゴ飴のようなもの)を露店で売っていました。買ってみたかったのですが、上海への新幹線に乗り遅れそうだったので、買う事が出来ませんでした。写真にだけ収めました。

 亡くなった叔母は中国からの引き揚げをしていました。中国にいる時、サンザシの飴を見て、食べたいとは思ったけれど、生きるか死ぬかの瀬戸際であって、「欲しいとは言えなかった」と言っていました。

 

【サンザシ(山ざ子)  性味:酸・甘、微温  帰経:脾・胃  効能:消食

【サンザシを含む漢方薬  加味平胃散(かみへいいさん)、啓脾湯(けいひとう)

 

 

 あいち健康の森 薬草園(薬草・漢方の講演会 加藤久幸)

サンザシの果実(秋の兼六園で)

 

 

 あいち健康の森 薬草園(薬草・漢方の講演会 加藤久幸)

中国・杭州の露店で見た、サンザシの飴(日本の、リンゴ飴のようなもの)

 

 

 

 

 あいち健康の森 薬草園(薬草・漢方の講演会 加藤久幸)

チャイブ(和名エゾネギ/ユリ科 ネギ属 多年草)

 ひとことで表現すれば、小型のネギです。料理にも使う事が出来ますし、何より花が色鮮やかなので、観賞用と野菜としての実利を兼ねて、庭に植えられる事も多いです。

 野菜として畑に植えられるネギは、花は淡黄色です。花を、ネギ坊主とも呼びます。

 

 

 

 

あいち健康の森 薬草園(薬草・漢方の講演会 加藤久幸)

薬草園の風景

 

 

 

 

あいち健康の森 薬草園(薬草・漢方の講演会 加藤久幸)

 

花束

娘からもらった花束です。道ばたや芝生脇などで摘んだ花で作った、うれしい花束です。

(娘はこの日、講演助手をせず、近くの販売施設・げんきの郷へ行っていました。好きなお菓子を買って食べていました。講演終了直前に薬草園に戻って来て合流しました)

 

 

あいち健康の森 薬草園(薬草・漢方の講演会 加藤久幸)

元気の郷で

講演終了後、近くの施設・げんきの郷でお買い物をしました。

卵の食べ比べセットを購入、名古屋コーチンの卵など3種が入り、食べ比べが楽しいです。

他に、春キャベツ、芋けんぴ、柏もちなどを購入しました