(物語の登場人物)


タルト→ミニチュアダックスの男の子。5才。寝ることとササミジャーキーが好き。飼い主の夫婦に愛されている。根は真面目だが、時折、天然のあざとさを発揮する。草原をかけるシマウマにあこがれている。


犬頭様(いぬがしらさま)→犬の守護神。かの昔、主人を命がけで守り、その功をたたえ、まつられるようになった犬界の英雄。タルトとはひょんな縁で知り合い教えを授けるようになった。


「迷惑は

せんぐりまわり」



犬頭:どうしたのじゃ、タルトよ。考え込んだ様子じゃが。


タルト:僕ね、パパがお仕事から帰ってくると、うれしくってついお顔をなめちゃうんだ。


犬頭:うむ。して、それになぜそんなに考え込んでおるのじゃ?いつも嫌がられてはいないんじゃろ?


タルト:うん。いつもはぼくがかわいいからか「くすぐったいよう」って喜んでる感じなんだけれど、昨日は迷惑そうに顔を背けてきたんだよ。本当は前から内心では迷惑だって思われてたのかな?


犬頭:(こやつ本当に天然なのか?)なるほどのう。パパがお前の「お帰り」の愛情表現を迷惑と思っておるかどうか気にあるのじゃな。これは直接聞くほうが早いのう。


タルト:え?どうやって?


犬頭:簡単じゃ。われはこう見えて神ぞ。一瞬だけお前の声がパパに聞こえるようにしてやろう。


タルト:え!すごい!さすが犬頭様!かっこいい!


犬頭:(悪い気はせぬのう)ではゆくぞ。


パパ:ただいま。あれれ、タルト、元気ないのかな?今日はお顔をなめてくれないぞ?


タルト:パパお帰りなさい♪


パパ:ただいま。って、あれ?誰の声?え?も・し・か・し・て・・・タルトがしゃべってる⁈


タルト:うん、今だけしゃべれるみたいなんだ♪


パパ:え?本当に⁈なんだそりゃ!でも、めっっちゃくちゃ嬉しいよ!


タルト:えへへ♪


パパ:ところで、今日はお顔をなめてくれないの?


タルト:え?パパ、僕にお顔なめられるの、嫌じゃないの?


パパ:いや、全くそんなことないよ!あるはずがないよ!タルトの「おかえり」のおかげで疲れが吹き飛ぶからね♬


タルト:でも、昨日はあんなに顔をそらしてたじゃない?


パパ:ああ、昨日は飲み会の帰りに後輩に誘われて「ネギまみれチャーシュー麺」を食べちゃったからさ。犬にネギは毒って思って、お風呂入って歯を磨くまでは泣く泣く顔をそらしてたんだよ()。そうしてる間にタルトも寝ちゃってたし。それに今朝は早出だったのもあるしさ。


タルト:パパ♡だいしゅき!


ママ:パパ?おかえりなさい。お酒でも飲んできたの?玄関先で寝ちゃって。


パパ:あれ?ただいま。(って、おかしいな。タルトとお話ししてたような・・・)


タルト:(パパおかえり♪)


パパ:おお、タルト!ただいま♪


犬頭:(ふふふ、世話が焼けるわい。)


そして後日・・・


パパ:タルトかわいいよ~。お肉球の匂いかがせてよ~


タルト:(僕、肉球の匂いをかがれるの嫌なんだ。ママの後ろに隠れちゃおっと。)


パパ:タルト~(涙)


ママ:パパ、めっ!


犬頭:(迷惑はせんぐりまわりじゃな)