奏遇-SOWGUW- / Gossip

奏【そう】
君主に申し上げる(奏上・奏請・奏聞・上奏)。楽器をならす、かなでる(奏楽・演奏・合奏・伴奏)
遇【ぐう】
出会う(遭遇・千載一隅)。ある程度で人に接する(待遇・厚遇・優遇・礼遇・不遇)

突然その遭遇はやってきた。ミカの目の前に謎の少年が現れたのだ。しかし、彼女は少年との遭遇が、これから起こる出来事の序曲にすぎないことを知らない……。
---『ムーンライトシンドローム完全ガイドブック』より引用---

●ストーリー
 翌朝。ゴミ出しを母親に頼まれ、遅刻するミカ。放課後、カヅキとお互いの両親について話す。ミカは庶民っぽい自分の両親を嫌だというが、カヅキはミカの両親を羨ましいという。カヅキの両親の関係は冷えきっており、世間体を気にしている仮面夫婦らしい。ミカはカヅキに何か面白い話が無いかと尋ねる。カヅキの話では、さっき廊下ですれ違った化学の広瀬の様子がおかしかったという。ミカは広瀬の噂の真相を探るべく、ユカリとチサト達の居る三年生のクラスへ向かう。その途中、廊下でアリサに呼び止められた。「ミカ、明日の約束、ちゃんと覚えてる?10時に霜北待ち合わせだからね!」ミカは3年生の教室に行くと、チサトだけがいた。チサトに広瀬の噂話を持ちかけるが、「これから特別講習だからユカリに聞いてみたら」と言われてしまう。気を取り直してユカリを探しに行くミカ。ユカリは屋上に寝転がり、特別講習をサボっていた。ミカも横に寝転び、二人で空を見上げる。ミカはユカリに広瀬の噂を調べようと持ちかけるが、「あたしの事は巻き込まないで。調査するなら一人でやってよ」とあしらわれてしまう。1人で化学室へ行くと、ミカは様子のおかしい広瀬を目撃する。再びユカリの元へ行き、ユカリを連れ出す事に成功したミカ達は化学室へ行く。ドアの隙間から中を覗くと、広瀬がウロウロした後、大慌てで化学室から飛び出して来た。後を追いかけると、広瀬は猛ダッシュで男子トイレへ駆け込んで行った。飽きれたユカリはミカを置いて何処かへいってしまった。退屈なミカは家へ帰ろうとするが、ラクロス部員に見つかり、部活へ強制参加させられてしまう。部活が終わった後、部室で着替えていると、部員の話し声が聞こえてきた。「昨日のニュース聞いた?死体の首だけが発見されなかったっていう話らしいのよ」その瞬間、部室が暗くなり、モノクロな空間に切り替わっていた。部室には自分以外は誰もおらず、カギも窓も開かない。「おーい、誰か」と呼びかけると、「ここには誰もいないよ」と言って、突然、白髪の少年がミカの前に現れた。
白髪の少年にミカに忠告しにきたのだという。「これからミカのまわりで色々な事が起きると思うよ。もうあらかじめ決まっている事なんだ。ミカは傷つき疲れ果てて苦しむけど、でも大丈夫だよ。僕はミカの魂を救いに来てあげたんだよ」
そう言うと白髪の少年は姿を消し、部室も部員も元の状態に戻っていた。


●白髪の少年のセリフ
「ミカの事なら何でも知ってるよ。多分ミカよりもね。それともミカが何も知らなさすぎるのかな。忠告しに来てあげたんだよ。世の中には目に見えない大きな力があってね、大きな流れには逆らえないようにできてるんだ。みんなね、自分の意志で動いてる様なこと言ってるけど、結局はそうするように仕向けられているんだよ。人間は弱い生き物でね、ひとりじゃ何もできないんだよ。自分で何を決めたらいいのか、何をしたらいいのかさえ解らない。だから、欠点だらけの人間は超越した存在に身を委ねて、救いを求めたがるんだ。人に決められた方が楽だからね。結局、自分達の方がコントロールされたがってるんだよ。これから、ミカのまわりで色々な事が起きると思うよ。もうあらかじめ決まっている事なんだ。そう、あの時から。あの時に運命が決まった……。ミカは傷つき、疲れ果てて苦しむけど、でも大丈夫だよ。僕はミカの魂を救いに来てあげたんだよ。肉体が滅びても魂だけは不滅だからね。死を冷静に受け入れた時に、すべての罪は許されて、魂が地上から解放される」


●わかる事
・母親にゴミ出しを頼まれるミカ
・カヅキの両親は不仲でカヅキは家を出たがっている
・明日はアリサと霜北で10時に待ち合わせ
・チサトもユカリも受験生になり、去年のように放課後の探索に付き合えなくなっている
・化学の広瀬は何かと問題のある教師
・5階へ行こうとすると先生に注意される
・先生にユカリの居場所を尋ねると「ユカリは受験生なんだから邪魔するなよ」と注意される
・B2へ行こうとすると『立入禁止』
・用務員室前にアラマタ
・ミカはラクロス部だがやる気なし
・ラクロス部は部員が少ないので合宿は強制参加
・クラブで焼身自殺した高橋キミカの頭部だけが行方不明らしい
・白髪の少年のBGM、怪しくていい曲、でも怖い
・白髪の少年はミカ以上にミカの事を知っているらしい
・人間は弱いから超越した存在(すなわち神)にコントロールされたがっている
・ミカにこの先起こる事は、あらかじめ決まっている事である
・ミカの運命は「あの時」決まった
・白髪の少年はミカの魂を救いにきた

●感想
・後半の『開扉』『慟悪』に向けての伏線回という感じ
 (カヅキの家庭事情、何かと問題のある広瀬、ラクロス部合宿、行方不明のキミカの首、ミトラがミカを救いに来た、等)
・白髪の少年の言う「あの時にミカの運命が決まった」の「あの時」は『陰約』で起こったミカの死と、ミカを生き返らせる為にリョウと契約した時の事とも考えられるし、キョウコが死んでしまったからその代わりとしてミカが選ばれた事かもしれない
・「みんなね、自分の意志で動いてる様なこと言ってるけど、結局はそうするように仕向けられているんだよ」のメタ感。

 その後の展開や攻略本での設定、未公開シナリオなどの事を考えると、結局ミトラはミカを光の中へ導くためにやってきていただけだったのかな?それをリョウやチサト達が拒んだから、こじれてしまった?どのみち、必ず死んでしまうミカ。「妖精のイタズラ」が発端なら、ミカが幸せな人間だから妖精が嫉妬して、魔法の粉をふりかけられてしまったとも考えられるかも?


2020.02.26 加筆・修正

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●『ムーンライト・シンドローム』が好きすぎて、雛代に住んでてミカの事も見た事あるような気分で書いた長編小説です。
「ムーンライト・シンドローム 慟悪スピンオフ」
https://www.pixiv.net/series.php?id=942840