握手をして、その灰色の瞳を見た。

澄んで、深くて、吸い込まれそうになった。


“灰色のガンダルフ”だ。

ふと『指輪物語』に出てくる魔法使いを思い出した。

私の前にいる彼は、音を生み出し、自在に操る魔法使いだった。


身体のことを、少し詳しく聞いたことがあった。

その状態で、車椅子でステージに現れるのは、正直痛々しかった。

でも、音楽とともに在りたいという思いが、意志が、そうさせたのだろう。


多くの音楽家の胸の中に輝く星。

声を聴くことはかなわなくなっても、これからも輝き続けるだろう。