紅海サファリ | 麦茶(日々の暮らし、心)

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今はアラビア半島で生活中です。

先週末はジッダから南へ220kmのところにあるアリース(Al Lith, الليث)という海沿いの小さな町で、二泊三日のジンベエザメと泳ぐイベントに参加してきました。
サウジの大学の海洋生物学研究所が主催する毎年恒例の評判の企画だそうで、ダイブ同好会の方々と家族で参加してきました。
紅海を回遊するジンベエザメの群れが、この時期はこのアリース近辺に来るそうです。

実は私、九年前にもフィリピンでジンベエザメと泳いだことがあります。
タガログ語ではジンベエザメをブタンディン(Butanding)と言いました。
当時、仕事でマニラに住んでいましたが、週末を利用して、ルソン島南部のレガスピ(Legaspi)まで飛び、ドンソール(Donsol)という小さな港町までジンベエザメを見に行きました。
その時は、バンカーボートの舳先に立つおじさんの信じがたい視力と経験でジンベエザメを見つけだし海に飛び込みます。
幸運にもしっかり見つけることができ、一緒に泳げました。
それは、かなり感動の体験だったので、今回は是非、かみさんと息子にもと思いました。
ドンソールは水が大変濁っていて、まぁジンベエザメはプランクトン好きだから、そういう海にいるのだなと思い込んでいました。
ところが、さすがは紅海、かなり透明度が高い。
これはかなりクリアに見えるのではないかと期待大でした。

研究目的でタグがジンベエザメに付けられており、それをリーフにおかれたListening Stationなる機器が感知するため、ある程度、群れがどのリーフの近辺にいるか分かるようです。
とはいえ、リーフ間の距離もかなりあり、海は実に広く、最後は泥臭く目を皿のようにして探すしかありません。

さて初日、天気は快晴。
朝7時に出帆。
全く波のない、べた凪の状態。
海面は水溜りのような光沢です。

そこにマンタが現れました。


マンタを見るのは初めて。
くっきりした黒白模様と肌の滑らかさ、大きさに感動します。
何度目かのチャンスで意を決して飛び込みます。
日頃の運動不足と老化か、なかなか追いつけませんが、それでも深いところへ逃げて行くマンタをしっかり目に焼き付けました。
マンタはあまり社交的ではないらしいですが、満月のせいか凪のせいか、何匹もボートの周辺に現れました。
何だか幸先良さそうだと思ったものの、お目当てのジンベエザメが全く見つかりません。

取り敢えず、リーフでシュノーケリング楽しみ気分転換です。


何でもジッダよりも南にあるため、海水温が二度ほど高いらしく、珊瑚は白化気味ですが、それでも多くの美しい小魚の溜まり場になっていました。


さて、気を取り直して午後。
ダメです、ジンベエザメは出てきません。
明日に賭けるしかないと諦めモードになっていたところ、ボートの周りにイルカの群れに遭遇。


いやはや、入れ替わり立ち替わり10匹くらいいたでしょうか。
その群れが、ずっとボートを追っかけてきます。
実に感動的です。

さて、二日目は若干風があり、海も少し波立っていました。
コーストガードからは昼くらいから悪天候になるかもしれないので、その場合は速やかに戻ってくるように言われた上で出帆です。
程なくしてジンベエザメを発見です。
最初の発見時は飛び込むタイミングを逸してしまい、海の中で見られず。
しかし、すぐにまた発見、飛び込むと同時に、なけなしの筋肉をフル回転させ追いかけます。
そして、しっかりその後姿を見届けました。
フィリピンで昔見たときと比べて、かなり激しい動きをします。
三回目に見つけた時は、浮き輪をつけた4歳の息子を抱きながら、乳酸マックスで追いかけます。
かなりくっきり見えるところまで追いついたのに、いざというときに息子は海の中を見てないっ。
パパとしては最善を尽くしたつもり、、、。

そんなジンベエラッシュがひと段落しリーフでシュノーケリング。


しばらくすると、他のボートからジンベエザメ発見の連絡。
急いでボートに戻り、発見エリアへ移動。
暫くして、すぐ近くに背びれが見えるではないですか。
しかも私の方へ近づいてきたので、迷わずダイブ。
正面から対面です。
黄色い小魚をいっぱい従え悠然と泳いで行きます。
今度はしっかり写真にも収めました。

 


その後、風が強くなってきたため残念ながら早めに岸に戻ることに。
しかし、大満足の素晴らしい週末でした。

帰り道、大きな夕日、薄く草の生えた大地、ラクダを引き連れたベドウィンたち。


悠久のアラビアを駆る恍惚感に涙が出そうになりました。