サーブール・ズル・アクターフ(15)

 サーブールは死ぬまで熱狂的なアラブの殺害と、アラブの指導者の肩甲骨の破壊に忙殺され、これが彼らが彼をズル・アクターフ、「双肩の男」と呼ぶようになったゆえんである。何人かの歴史家は、サーブールはアラブ人に大殺戮をもたらし、アラブ人が入った土地、とりわけファールスに隣接する地域、アルバハライン、アルヤマーマから彼らを追い出したあとシリアにまで進出し、さらにローマ帝国の国境地帯にまで侵入したと言及している。彼はローマ人の秘密を探り、彼らの街と軍勢の規模についての情報を収集するため、ローマ領に侵入することを考えていると彼の側近に明らかにした。こうして彼はローマ領内に入り、長い期間にわたってあちこちを徘徊した。カイサルが盛大な祝祭を催し、この祝祭に参集するよう全住民に命じたとの知らせが彼に届いた。そこでサーブールはその集まりに参加し、カイサルを自分の目で見て、彼の容姿をよく知り、彼が祝祭でどのように行動するか確かめるために、乞食に変装して出かけて行った。しかしサーブールの正体が発見されて彼は逮捕され、カイサルは雄牛の革で彼を包むように命令した。