ヒジュラ暦九年、アブー・バクル、巡礼を先導(13)

 また神は、タブークの任務について言及され、使徒がビザンチンに立ち向かうように呼びかけた時、いかにムスリムたちがその重圧に圧倒されて、敵に立ち向かうことの困難さを誇張し、一部の者たちが不満を抱いたか、そして使徒が彼らをどのように叱責したかについて啓示された。神は、「信仰する者たちよ、あなた方はどうしたのか。アッラーの道のために出発せよ、と言われた時、地に低頭するとは」(三八節)から、「かれは痛ましい懲罰をもって懲らしめ、他の民をあなた方と代えられる」(三九節)を経て、「たとえ、あなた方が彼〔使徒〕を助けず、不信心の者たちが彼を追放して、彼がただ一人の同志〔アブー・バクル〕と、二人で洞窟にいた時、アッラーは彼に勝利をお授けになった」(四〇節)、までを啓示された。

 ここで神は、神の使徒に語りかけられ、偽善者に言及して、「もし間近に利得があり、また旅も短いならば、彼らは必ずあなたに従ったであろう。だが彼らには、道のりがあまりに遠いと思われた。間もなく、彼らは、アッラーにかけて誓う。できることならば、あなた方と一緒に出征したのだが。彼らは自分の魂を滅ぼす者である。アッラーは、彼らが、偽っていることを知っておられる」(四二節)、と啓示された。しかし彼らは、任務に就くことができたのである。そして、「アッラーは、あなた〔使徒〕を許した。なぜあなたは、真実を述べる者があなたに明白となり、嘘つきたちが分かる前に、彼らが残留したことを許したのか」(四三節)から、「たとえ、彼らはあなたに従って出征しても、ただ足手まといになるだけである。あなた方の間に騒動の原因を捜し求めてあちこち走り回り、そのため、あなた方の中には彼らに耳を傾ける者も出てこよう」(四七節)までが啓示された。