実習生受入れの企業様へのお願い)
実習生は遠い外国から来ています。当然、慣習や習慣が違います。
彼らにとって、春節(旧正月)は、家族と一緒に過ごしたいと熱望しています。
しかしながら実習生たちは日本に居り、それが叶わないのが現状です。
そこで企業様にお願いがあります。せめてこの日だけは、特別に休みにしたり残業はさせないようにしたり、何か食べ物の差し入れをしたりして、彼らに「体・心の休みの時間」を与えてやってください。
中国の春節(旧正月)は、今年は2月3日(木曜日)です。
中国人にとっては、年に一度の「お祝い日」を大変大切にしています。中国人はこの日だけはどんなに遠くても、家族みんなでテーブルを囲み、お祝いをする習慣を持っています。
春節には、家族親戚が集まり新年を祝い、除夜の夜には一家がテーブルを囲んで座り、「年夜飯」(ニュンイエファン)を食べます。この夜のメニューは大変豪華で魚料理も出てきます。魚料理を出すと、毎年裕福になるという大変おめでたい意味なのです。
新年と旧年が真夜中(子の刻)に時刻に交替するという意味は、「交子」いい、発音は(チャズ)とする。これが餃子(チャズ)と同じ発音なので餃子を食べます。餃子を食べなければ年を越せないと言われています。
日本は?)
新しい年の12分の1が過ぎました。経営者の感覚では、「経済状況は依然厳しいが、少し落ち着いてきた。」と言うところではないでしょうか。
大半の企業では、あと2ケ月で新年度になり、新しい計画案を策定している時期になると思います。
そこで日本のおかれている問題点を少し抽出してみました。
日本は、現在次のような問題を抱えています。
老齢人口割合の増加
まず、昨年10月1日現在の推定では、高齢者の全人口(127,771千人)にしめる割合は、全国比は平均21.5%であります。
生産年齢人口(仕事が出来る人口)は、64%で非生産人口(働くことが出来ない人口)は36%であります。
(詳しくは下記)
http://www.pref.ehime.jp/050keizairoudou/060koyoutaisaku/00002141021211/kourei10.pdf
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2008np/index.htm
64%(生産人口)が36%の非生産人口を養わなければならないことになります。
現に、年金給付が50兆円を突破し、GDP(名目国内総生産)10%を超えています。1.8人で1人を支える非常に厳しい状況です。こうなると、人口だけで見ると、必然的に日本の国が弱体かすると考えられます。
生まれるか新商売)
一方、このことにより老人を対象とした直接的、間接的ビジネスガ生まれてくると考えることが出来ます。例を挙げると、直接的には老人介護関係の業種、医療などでありますが、間接的には健康食品、紙関係(オムツなどの需要)、旅行などが出てきています。
円高について)
日本の円は、対ドルの外国為替相場で大きく見ると、81円から87円位を推移しており、新年度を迎えたから円安になるとは考えられません。この理由は、借金で生きている米国(赤地国債)は経済が少しはよくなる事情があっても、好景気になることは考えられません。
また、ユーロ(ヨーロッパ、イギリスを除く)、は、ユーロ圏内に問題を抱えている国が多い(スペイン、ポルトガル、ギリシャなど)、このため垂れ流し状態のドルの行く先は、仕方なく円・元に向かってきています。そうすると必然的に日本の円が強くなっている傾向があるからです。
円高は、次のようなことが既に起こっていますが、なお一層これが加速すると考えられます。
加速のパターン)
(1)円高になると、当然輸出産業が痛手を受け輸出しにくくなる。
(2)輸出産業が痛手を受けると、これを製造する産業が痛手を受ける。
(3)デフレとして跳ね返ってくる。(円で買う物が安くなる)
(4)一般国民は、物が安くなりラッキーと考ますが、一方賃金も当然安くなります。
(5)製造業では、安くなった材料(輸入)であっても、製造コストが高くなり「勘定にあわない」状態となります。
(6)企業の防衛手段として円高で海外の物が安いのですから、これを利用して海外に製造拠点をつくることになることになります。
(7)海外に製造工場をつくると、製造業で働ける人口は減少する。
(8)「産業空洞化」なお一層加速され、日本では働くところが少なくなることになります。
生産人口が必要)
これらの対策として企業は、次のことが求められることになります。
日本人だけでは、能力のある労働者不足で製造業は成り立つことが困難となり、「外国人労働者」や「外国人実習生」の導入をすることが、一層求まられるのではないでしょうか。
規制と自己責任)
過去に衰退した産業を思い浮かべてください。
その衰退の原因は、上記のように余りに安全・安心を求める余り、極めて厳しい「規制」が多くあります。
例を挙げると、最近の一番良く分かるのが、武富士、東京スター銀行など「貸金業界」は壊滅状態です。これを推進したのが、当時の大臣与謝野金融大臣でした。
日本は、安全・安心のための厳しい規制の余りに、「自己責任」という考えを欠如させてしまい、これが日本人の心にも浸透し「日本標準」出来あがっています。
諸外国では)
中国、米国何処の外国に行っても自己責任が求められます。外国と交渉するときは、最悪の「日本標準」が出てきます。外国との関係で、問題提起された場合など「その外国人が悪い」「あいつが騙した」「何人が悪い」など汚い言葉を吐き自分を正当化しようとします。
しかし、相手国の慣習や習慣を熟知し、「国際標準」身につけ交渉の舞台に着かねばならないものです。言い換えれば、「自己責任でしなければならない」、「人を見て法を説け」であり、このことを棚に上げ「自分の愚かさ」をさらけ出す事が多々出てきます。
この「愚かさ」「バカ」を、国を挙げて内外に宣伝した象徴は「尖閣列島問題」であります。今、日本にとって必要なのは、政治家やひ弱な官僚の言うことでなく、「国の存立要件を原点」に戻り考えてみる必要があります。
日本・中国・米国関係経済事情)
元は、昨年末1ドル6.6元を突破し上昇をしています。これは、上昇していると言うより人為的に上昇させたという意味の方が正しいでしょう。
理由は次の通りであります。
(1)中国は昨年(10年)、巨額の黒字貿易収支に対し米欧から批判を回避する措置
(2)中国のインフレを抑制するためなどがあります。
(1)の要因は誰でもが理解できることですので、ここでは解説は省きます。
(2)に要因については、日・米・欧は金融の緩和により、世界的に金余り現象が続いています。特に
米国は空前の金融緩和政策を取り、これが莫大な投機資金となり中国や開発途上国に流れ込んでいます。人民銀行が元を支えるため市場介入を実施しています。そうすると外貨が元に変わり、中国国内で「金余り現象」を生み出しています。市中に回っている人民元が55兆円(日本75兆8千億円、前年末比16.7%増)となり、紙幣の印刷能力にも不安(印刷会社6社で製造)が出てきている位であります。
このだぶついた「金余り現象」は、中国国内の物価の上昇をさせています。(前月号に記載)
反対に元を上昇させれば、金の流れ込み、インフレを抑えられるというのがこの理由です。また、投機資金の流れ込みもおさまるのです。しかし、不動産の急速な下落、輸出産業に対する悪影響などの要因があり、調整が非常に微妙であります。
人民元で直接投資)
中国本土の企業が海外に直接元決済で投資について、人民元立ての決済を一部解禁しました。
解禁した対象は北京、上海、広東省など貿易決済が元で認められている銀行、企業であります。
これによって、海外の企業買収が出来るようになりました。
中国の投資)
中国の海外への直接投資が前年に比べ36%増となり、599億ドルと過去最高を記録しました。
従来海外からの投資先として「受け入れる側」だったが、海外に投資をする側としても急速に存在感を示すようになりました。
投資先の業種は、資源エネルネルギー関係の大型買収(スペインのレプソルなどブラジル権益)、国別では香港、オーストラリア、東南アジア諸国連合、であります。これまで少なかった日米欧も急速に伸びている。今後、技術を求めて日米欧と対外投資を強めることになろう。
日本・中国)
中国の内需で稼ぐ日本企業、現在まで中国進出と言うと、中国に部品や原材料を輸出し安価な労働力を使って、現地生産された最終製品を逆輸入するという構図で成り立ってきました。ところが、中国の内需が旺盛になり現地生産、現地販売と違った変化が見られます。また、現地で生産し東南アジア輸出するという変化も見られます。日本本社へは、現地法人の配当という形になり従来から様変わりしてきました。対中国の所得収支での昨年1月から6月では、4050億円の黒字となっています。これは5年間で倍増した額と同じであります。
続く・・・
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記:国際ビジネス情報協同組合 新聞編集部