以前も取り上げた日曜朝のテレビ番組「ぼくらの時代」。19日放送の回も示唆に富んだ発言があったので、また取り上げてみたい。

 

この回の出演者は、お笑い芸人パックンマックンのパトリック・ハーランさん、同じくお笑い芸人の厚切りジェイソンさん、そしてハーフタレントのsherryさんの3名。

当然、共通のテーマは「外国人芸能人」。パトリックさんも厚切りジェイソンさんもアメリカの名門大学出身という高学歴の外国人タレントで、非常に鋭い視点で「日本」や「日本の芸能界」を語っていた。

 

その中で、パトリックさんが「当初は外国人としての扱いに不満があった」と語り始めた。「最初の頃は、自分がやりたい仕事に対して、なかなかオファーがないことが最初は不当な扱いを受けていると感じていた」という。

 

しかし、彼はこう考え直したそうだ。

「よく考えてみると、自分はアメリカで生まれ育ったから、子どもの頃から日本のカルチャーを体感していない、昔の日本の出来事や空気感を共有していないので、普通の日本人タレントのような“共通の土台”として知っているべきことを知らないことが多い。だから、日本人タレントには任せられても、私には任せられない仕事があるんだ」と。

 

パトリックさんは、最初は「不当な外国人扱い」だと感じていたことが、じつは仕事を任せる上で当然の取捨選択だったと分析し、理解したと言う。

 

そこで、パトリックさんは「では、自分はそんな中で何ができるか?」と考え、「“共通の土台”が必要な知識人枠には入れないけれど、外国人だからこその視点で話題を引き出す役はできるのでは」と思ったという。

「今から“共通の土台”を積み上げることはできなくても、天井を高くするのは自分次第でどうとでもなる」パトリックさんは笑いながらそう語っていた。

 

今、「自分が良い仕事に恵まれていない」と思っているとしたら、もしかするとそれは仕事の振り分けを決定する人に「この仕事をする上で、この人は“絶対不可欠な土台”が不足している」と取られている可能性もある。

また「良い人間関係に恵まれない」と思っているとしたら、それは周囲の人に「一緒に仕事をする上で、この人は“絶対不可欠な土台”が不足している」という評価なのかもしれない。

 

自分の不遇や不当な扱いに不満を感じる前に、もう一度、自分を見つめ直し、周囲や仕事相手から見た自分が「必要不可欠な土台を持っているか」「その土台を知ってもらい、認めてもらう行動をしているか」ということを自問自答してみる。

その結果、今の自分を客観視して評価し、今の自分の足りない部分に気づくことができるかもしれない。

 

アメリカ生まれアメリカ育ちのパトリックさんや厚切りジェイソンさんの日本語は流暢で、しかも日本人以上に日本を客観視できていて、その空気感をウィットに富んだ例えで話していた。生まれも育ちも日本である我々も、そんな彼らに負けてはいられない。