2022/12/1





ミーティングが始まった。

時間は45分間。



独特な緊張感を感じながら

私は発表時に使用する資料を事前に配っていた。




開始早々、

このミーティングへの思いを

リーダー4人がそれぞれ




『販売の最大化を一番にー』


『カウンターのみんなに落とし込んでほしいー』


『連携できるようにー』


『ルールを今一度再認識ー』




と話し始めた。

そして



『ではカウンターリーダーお願いします。』



とプログラムを進めた。




??


私はオブザーバーという立場だったが、

我慢できず早々に口火を切った。




『まずは、今日いつもより早く起きて、緊張の中での初参加の2人!よろしくお願いします。

今日の為に合間を縫って準備してくれて、本当にありがとう』




まばらな拍手の後

私は続けた。



『とっても有意義な時間になると確信しています。どうか現状や事実を受け止め、建設的に議論していきましょう。成長し続ける〇〇店の為に。』




緊張してる初参加の2人を放ったまま

カウンターリーダーを依頼した側が

つらつらと話し始めたことに驚き、

口を挟むように話した。




おそらくこの時点で私は冷静さを失なっていた。

リーダーの神経を疑い、腹が立っていた。





一方カウンターリーダーの2人の発表は

素晴らしい内容だった。





マネージャー陣も興味深く前のめりで

聞いていた。




良かった。


これできっと、良い方向に向かう。



そう思っていた。





しかし、リーダーからでた意見は

否定した様な言葉ばかりだった。




『でもそれって、暇なら可能だと思うんですけど』


『いや、前に一回やってみたけど難しかった気が』


『なんかあんまりイメージできなくて』


『めんどくさい人(お客様)が来たらどうします?』







すかさず私は、


『思い出して!まずは現状や事実を受け止めてから、ね!』



と伝えた。



が、難しい顔をするばかりで

釈然としない空気だけが漂い、



マネージャー陣も

脇役顔で見守っているだけのように見えた。




カウンターリーダーの1人が

私の耳元で


『結局、何も変わんないんですよ』


と漏らした。



悔しさと

無力さで

私は目の前が真っ白になった。



もう、40分を過ぎていた。



リーダーの1人が

『とりあえずこの時間で何かしらやることは決めたいので、さっき出た中から一つ選びたいと思うんですけど2個目のやつですかね?』

と、決を取っていた。



『そんな決め方で本気で取り組めるの?』

という言葉を私は押し殺して、

流れに身を任せる選択をしていた。



まただ、



私は何も変わってない。

先月の私と何も変わってない。



何も変わってないし、

何も変えられないじゃないか。



と自分を責めた。




その日の午後、

私は吐き気が収まらず、



会社を早退した。





店の外は、

みぞれが降っていた。


体は重く、


傘をさす手は、

感覚が無くなる程に寒かった。






次回、

第6話『停止』

に続きます。