こんにちは。茨木元町どうぶつ病院、獣医師の青木です。

今回は若齢の猫を中心に時々見かける、鼻咽頭ポリープについて簡単にご紹介します。

 

耳の診察をしていると、「外耳炎がなかなか治らない」「よくなったと思ったらすぐ再発する」という主訴で連れて来られることが多いです。

アメリカンカール。特徴的な耳の構造から外耳炎になりやすい。

 

大体はミミヒゼンダニや細菌、マラセチアといった感染性の外耳炎や、アレルギー性の外耳炎なのですが、時々「鼻咽頭ポリープ」が影響している場合があります。

 

鼻咽頭ポリープとは耳管(耳と鼻をつなぐ管)や中耳(鼓膜の内側すぐ)などから発生する、腫瘍(がん)とは異なる塊状病変で、先天性(生まれつき)のことが多いとされます。

耳側に出てくる場合と喉側へ出てくる場合があって、耳道内へ出ると鼓膜を損傷し、難治性の外耳炎の原因となっていることがあります。その場合はもちろん中耳炎も伴います。なお、喉側へ出ると息苦しさの症状が出る場合があります。

 

   

 

写真は外耳炎が良くならないという主訴で来院された若齢の猫の耳道内です。

はじめは液状の膿が溜まっており、ビデオオトスコープを用いて何度か洗浄を行ったところ、写真(青マル部)のように耳道内を占拠している塊状病変が見つかりました。付着部を確認すると中耳へとつながっており、鼓膜は消失していました。病変を摘出し、病理組織検査を依頼したところ鼻咽頭ポリープとの診断でした。

鼻咽頭ポリープがある状態ではそれより奥を清浄化することができなくなります。点耳薬を使って外耳炎が一時的に良くなったように見えても、奥に感染が残ったままのためすぐに再発していたものと考えられます。

 

繰り返す外耳炎でお困りの方は、一度当院へご相談ください。

 

獣医師 青木