☆函館スプリントS
【第31回・GⅢ】
函館競馬場・芝1200m(Aコース)
3歳以上オープン/別定/
サマースプリントシリーズ第1戦
◎③アサカラキング
○④サトノレーヴ
▲⑬ビッグシーザー
△⑪ジャスティンスカイ
△⑧カルネアサーダ
自信度:B+
予想は馬体重の大幅な増減の有無による影響、パドックでの状態などを十分考慮の上、馬券は自己責任でお買い求めください。

ついこの間、長い冬が終わって待望のプロ野球が開幕し、桜が咲いて、競馬は春のG1戦線がスタートしたななどと思っていたら。あっという間に野球は交流戦も既に折り返しのカードに入り、競馬は安田記念が終了してG1は宝塚記念を残すのみとなり、明日(6/10)には暦の上での梅雨入りとなる「入梅」を迎える。

ところで、人間は新しい刺激が少なくなると月日の流れを速く感じるようになると言われている。
筆者としては勤務先が買収され(小声)、新たに学び直すことも多く、先週は研修のための大阪に出張に出かけるなど近年の中では割と刺激の多い毎日を過ごしているが、それでもやはり月日の流れるスピードは年々劇的に速くなっているように感じている。
すぐそこに迫っている大好きな「夏」をたくさん精一杯味わって感じられるようにしたい。

先週の安田記念では香港最強馬ロマンチックウォリアーが「モノが違う」とばかりに着差以上の楽勝で優勝。
馬自体のレベルが違うことは承知だったが、現地でそこまで乗り込んできているわけでもなく調教も軽かったため、正直に言えば筆者としては安田記念で嫌って負けたあとに続戦してきたら宝塚記念で大勝負をかける魂胆であった。
雨が降って高速馬場でなくなり、ナミュールやソウルラッシュ、ガイアフォースが来られるような、安田記念というよりは「春の東京版マイルCS」のようなレースになったとはいえ、初めての東京競馬場であそこまで快勝されては、グゥの音も出ない。相手が強すぎた。お見逸れしました。
高松宮記念でもビクターザウィナーが活躍したが、今年は久しぶりに香港競馬のレベルの高さを味わうことになり、サイレントウィットネスやウルトラファンタジーにスプリントG1を持っていかれた頃を思い出し、懐かしくも感じた。

今週は宝塚記念までのG1の谷間の週だが、なんと早くも夏の函館開催がスタート(!)
夏の風物詩サマーシリーズも開幕し、競馬界は梅雨を通り越してすっかり初夏の様相である。笑

毎年恒例、「あの」注意喚起から始めたい。

間違った認識に囚われず、正しい理解に基づいて、我々は「実り多き夏」にしようではないか。

■テーマ

「夏の北海道シリーズ」は大誤解の元!
函館競馬場は「小回り適性」≫≫「洋芝適性」!

■狙い方のポイント

函館競馬場、札幌競馬場。この開催が始まれば、我々競馬界に生きる人間は急に「夏が来た!」と実感するものである。あの風流なファンファーレ。走りこなされて荒れた様子のない青々と広がる洋芝。どこか心地よさを感じる。

「夏の北海道シリーズ」などとまとめたくなる気持ちは分かる。函館と札幌にしか洋芝の競馬場は存在しないのだから、洋芝適性がという話になるのは決して間違いではない。

しかし、そもそも、函館競馬場と札幌競馬場では競馬場の形そのもの自体が大きく違っている。

函館競馬場は超の付く小回りコース。4コーナーの出口はアールがキツすぎて大抵大渋滞が起こり、夏にしか使われず全く荒れていないにも関わらずインにいると詰まって殺されるという現象すら起こる。
対して札幌競馬場は完全な楕円形。大げさに言えばずっと緩やかなカーブを走っているような競馬場で、小回り適性など全く必要ない。

確かに地面は洋芝でそれなりのパワーは要求され、スピードが削がれることは間違いないが、そもそも夏に競馬を使う必要がある馬に絶対的なスピードでなんとかするようなタイプの馬はいない。
そんなことよりも、函館巧者寄りのタイプなのか札幌巧者寄りのタイプなのかに必ず分けられるので、それをきちんと見分けることが必須のセオリーになる。

「夏の北海道シリーズ」は大きな誤解の元である。

まさか東京競馬場と中山競馬場を同じ関東の競馬場だからって同じように買わないでしょう。
中山競馬場と阪神競馬場を同じように直線に急坂のあるコースだからって「坂適性重視のコース」などとまとめないでしょう。それは一部分に過ぎない。
軽くて高速の新潟競馬場と野芝のパワーコースの中京競馬場を同じローカルの左回りコースだからなんて同じように予想なんかしないでしょう。

勉強不足でそんな認識だから「夏競馬は苦手だ」などと言うのである。
筆者は毎年、特に函館開催は大得意で「夏のボーナス開催」だと思っている。笑

函館スプリントSは開幕週。小回り適性があって逃げて強い馬がいたらまず間違いないと思っていい。

■予想詳細

本命はアサカラキング!

読者の方は覚えているかもしれないが、阪急杯で本命にしている。
「大丈夫だ!勝った!」と思ってゴールに飛び込んだその瞬間だけピッタリとウインマーベルにハナだけ差されていた。

三歳馬だった昨年の秋までは中距離を走っていたが、どこかパッとせず7戦2勝。
馬が変わったのは距離を短縮して挑戦したマイル戦。
スピード能力を見せて押し切り勝ちすると、さらに距離を1400mに短縮した暮れのジングルベル賞を圧勝し、スプリンターとしての素質を開花させた。
今年に入っても同距離の準オープン:山城Sも2馬身半の着差を付けて快勝し、三連勝の一発回答でのオープン入りとなった。

ここで迎えたのが上記の阪急杯。初めての道悪競馬となり、阪神競馬場の内回りコースで18頭立ての16番枠。勝ったウインマーベルは最内枠で、3着のサンライズロナウドが2番枠だったことを考えても全く楽ではなかったが、スムーズに先手を取って本当にあわやの見事な競馬であった。
しかし、この「ハナ差2着」が運命の分かれ道で、高松宮記念は除外対象馬の2番目となり、賞金が足りずに出走が叶わない事態になってしまった。

秋のスプリンターズSに向けて仕切り直しの再出発となった福島競馬場のモルガナイトSはついに満を持して更なる距離短縮となる1200m戦への初挑戦であったが、2馬身差を付ける完勝劇。ハイペースで逃げて残すという強い短距離馬らしいパフォーマンスを見せ付けた。

小回りコースへの適性もモルガナイトSの走りっぷりを見ればおそらく十分で、内枠ではあるがスッと先手を取って逃げられそうなこともアドバンテージ。

キズナ(Storm Catを内包)xキングヘイローはまさにスプリンター血統でドンピシャ。低迷する短距離界の救世主になれるかもしれない。

そのためにも、秋に確実にスプリンターズSに出るためには賞金加算は必須であり、重賞のタイトルぐらいは必要。
サマースプリントシリーズ云々ではなく、このレースを取りにきていることが間違いなく分かるほど、調教では抜群の仕上がりの状態を見せていた。

若手の斎藤新騎手にとってはG1タイトルが狙える貴重なお手馬で、こんなところてヘグッては要られないだろう。エスコートに期待したい。


対抗にサトノレーヴ。

歳はアサカラキングの一つ上の代だが、長い休養が二回あってこれがまだ8戦目。
三歳時に3勝・2着1回。四歳時は1戦1勝で、10ヶ月の休み明けであった今年の阪急杯で重賞にチャレンジするとウインマーベル・アサカラキングのコンマ4秒差の4着。現時点での上記二頭との差はまだある形にはなったものの、重賞でも戦えるレベルは示した。

それが次走の春雷Sに繋がり、高松宮記念を制したマッドクールも勝った出世レースを快勝。
「モレイラマジック」もあったが、これでスプリント戦は4勝目。さすが短距離路線で名を馳せた快速馬ハクサンムーンの弟というところを示した。

阪急杯で負けたアサカラキングとはそれぞれ違うレースを勝った上での再戦。今回は主戦の浜中騎手に手が戻り(阪急杯時は小崎騎手が騎乗)、アサカラキングを目標にスパートしてくるはず。渋滞を起こす函館競馬場の4コーナーを上手く捌ければ詰めてくるシーンもあるか。

▲ビッグシーザーは例の葵S(筆者は「次世代の短距離界を救う救世主だ」などと吠え、自信度Sを付けて3着に敗戦)から成績を注視している馬。

淀短距離Sを快勝してオーシャンSでトウシンマカオの2着に入った時にはいよいよ開花かと思いもしたが、まだトップスプリンターと言うにはもう少し時間がかかるかもしれない。

△ジャスティンスカイは初めての1200m挑戦となった前走の鞍馬Sを58kgを背負って勝ちきった事を評価して。

△カルネアサーダは春雷Sの半馬身差4着もいい競馬であったが、暮れのタンザナイトSを逃げて勝っている内容も評価できるだろう。