日本の賃金が

30年続いているデフレのせいで、

諸外国との格差が広がり、 

日本は貧しくなったという記事を

目にすることが多くなった


外国に行けば

日本の2倍、3倍の収入になると、

マスコミは囃し立てている。

それにつられて、

海外へ出稼ぎに行こうと考える人も

増えているようだ。


思い返せば、こんな話は昔もあった。


古くは明治時代からの

ハワイや南米、北米への移民。

戦前の満州開拓団。

戦後も南米への移民は続き、

それに加えて

在日朝鮮人と日本人妻の

北朝鮮帰還事業というのもあった。


日本では未来がないと

海外へ活路を求め、

一時的には日本より

豊かな暮らしができた人もいるが、

結果的には成功より失敗のほうが

多かったのではないか。


海外移民は

成功者の話が大きく取り上げられるが、

その陰には挫折した人々が山ほどいる。


特に悲惨なのは、

戦時中に敵性国民として

強制収容所に入れられた北米移民。


さらに悲惨なのは、

敗戦とともに

ソ連軍に虐殺・蹂躙された

満州開拓団。


そして最も悲惨なのは、

「地上の楽園」

という謳い文句に騙されて

辛酸を舐め尽くし、

二度と日本へ帰れなかった

北朝鮮帰還者。


もちろん、

日本より海外で働くほうが

能力を活かせるなら、

そうすればいい。

日本より自分に合っている国があれば、

そこに住んだほうが幸せだろう。


しかし、ただ単に

「給料が高いから」

という理由だけで海外へ行っても

満足感は得られないと思う。


今の日本は、

かなり恵まれた国だ。

普通に働いていれば、

生活に困るということはない。

病気になっても

保険でカバーできるし、

どうしようもなくなったら

生活保護もある。


もちろん、

派遣などで

生活が苦しい人もいるだろうが、

そういう人は、

そもそも海外で職を得ることは

難しいのではないか。


海外で働こうというような人間は、

よほど能力や才能があるか、

あるいは、

よほど食い詰めて、

どんな仕事でもいいから金が欲しいか、

両極端だと思う。


普通の人間は、 

特に内向的な人間は、

日本で地道に働いていればいい。


幸福というのは、

金だけで

得られるものではない。

安心や安全、

人間関係、

サービスや便利さなど、  

総合的なものだ。

今の日本は、総合的に、

かなり優れている。


徒らに他を羨むことなく、

自分に自信を持ったほうがいいと思う。