ここ数年の円安で、国際的に見た日本の賃金は下がり続け、アメリカの半分、韓国以下となっている。「安い日本」、「日本人は貧しくなった」と嘆く記事があふれている。最近、賃上げをする企業が増えて、名目賃金が上がっているものの、物価の上昇に追いつかず、実質賃金は下がり続けているので、「豊かさが実感できない」という声が多い。


ただ、バブル時代を経験した者として言わせてもらうと、あのバブルの時ですら、ほとんどの人が「豊かさが実感できない」と言っていた。

「給料は高くても物価が高すぎる。特に地価が高すぎて、マイホームも買えない」と、今とは真逆の理由で不満を叫んでいた。

その後、バブルが崩壊し、地価が下がり、デフレで物価も下がり、給料も横ばいになった。望みどおりの結果になったのに、まだ文句を言っている。


「物価は下がって、給料が上がればいいんだ」と言いたいのだろうが、そんな都合のいい話はない。経済の法則に反している。

物価を下げるのは個人の力では無理だろうが、給料を上げるのは個人の努力で何とかなる。給料は「上がる」ものではなく、「上げる」ものだ。資格を取得し経験を積んで、転職するなり起業するなりして上げればいい。


「豊かさが実感できない」と言う人は、マイナスの面ばかり見ているからだと思う。全てにおいて完璧は望めないのだから、こういう人は、どんなに恵まれた環境にあっても不満を言うだろう。


私は年収500万足らずの日本語教師だが、特に自分を「貧しい」と思ったことはない。贅沢はできないが、普通に暮らしていく分には不満はない。

衣食住に困らなければ、十分豊かな生活だ。足りない点は、自分の努力で何とかしていけばいい。


今ある物に感謝して、さらによくしていこうと考えるのはいいが、自虐的になって周りに不満をぶつけているようでは、いつまで経っても豊かさなど実感できないだろう。