初めて来た美術館。ママと手を繋いで歩く。
受付で、パパがおじさんと話をしている。
私…早く中を見て回りたいのに。
「ねえママ、先に見てきていい?」
「え?先に見てくる?いいけど…美術館の中では静かにしてるのよ?」
ありがとう、と一言だけ残して
イヴは歩き出す。
(どんな作品があるのかな)
しばらく探検してみると、
大きな魚みたいな絵があった。
「えっと…深海の、なんて読むんだろう」
難しくて読めない漢字があった。
ほかにも頭のないマネキンとか
大きいバラの花とか
溶けた人形みたいな作品があったけど
この魚の絵がいちばん気になる。
ちょっと…怖いなあ。
ポケットにはこの前、誕生日にもらったレースのハンカチが入っている。
それを強く握りしめて
また美術館の中を歩いて回る。
二回に行くと、とても大きな絵があった。
題名は…また読めない漢字。
【……の世界】
これもすごい不気味。
「うわ…っ」
なんで…?
いきなり証明がチカチカと点滅する。
もうパパとママのところへ戻ろう。
私は急いで階段を降りた。
下の階について、受付に向かうと
そこにパパとママはいなかった。
「どこいっちゃったの…?」
そしてふと気づく、
さっきまで賑わっていた美術館には
自分以外に人がひとりもいなくなっていた。
(パパ…ママ…どこいったの?)
1階をくまなく探し、再び二階へ登る。
けれど、どこを探してもパパとママも
ほかの人も見つからない。
「…っ」
【……の世界】
その絵から、青い絵の具がたれていた。
私は怖くなって後ずさる。
一度深呼吸をしてその絵の具を見ると
「下の階?」
何か文字が読み取れた。