「敦子、指は大丈夫そう?」
高橋が不安そうに聞いてくる。指をこすり合わせてみた。
「傷は開いてないから大丈夫だよ。少ない投球数で済んだのが幸いだったよ。これもともちんが最後まで粘ってくれたからだね!」
一足先に先ほどの疲労を取ろうとストレッチを繰り返かえしてる板野に目を向ける。
「いえいえ。でもあんなに辛いなら目立たなくていいから、もうピッチャーは結構です。」
冗談混じりで答えている所をみると思ったより大丈夫そう。実際今日勝てたのは、板野のおかげだといってもいい。それにしても…
「なんで私は殴られたの?」
先ほど柏木に殴られた事が未だに理解出来てなかった。それを教えてあげるのは簡単な事だが、柏木に恥をかかせることになる。
「生意気だから」
「態度がでかいから」
「気に食わなかったから」
「おい…峯岸、小嶋、高橋、お前らちょっとこっちこい。」
あの熱戦を終えても暴れまわるほどの元気を持ち合わせている一年生達に、指原と北原は呆れていた。
「さっしー、クタクタなのって私だけなのかな…?」
「ううん、今すぐベットに倒れてしまいたいぐらいの疲労があります。」
松井が呆れながらも騒ぐ前田達を鎮めるように、パンパンっと手を叩き注目させる。
「さっさとクールダウン済ませて学校に帰るよ!!来週の試合の為にミーティングするんだから」
松井の声が届いたのか、次第に片付けを済ませる前田達。さっきの腹いせに高橋が前田に小突かれているのは誰も触れなかった。
「それにしても今日は燃えたね。青春!って感じがしてさ~。」
「確かに。最後のバッターに柏木さんが回って来た時なんて、傷の事なんて頭からすっ飛んじゃったもん。」
学校でのミーティング終わりに肩を並べて帰る高橋と前田。今日の試合を思い出すと興奮が蘇ってくる。それでも、疲労感は消えたわけではない。
「そういえば、次の対戦相手聞いた事ある??えっと~…」
「敦子、ちゃんとミーティング聞いてた?」
「…うるさい。」
高橋は呆れながらも次の対戦相手校を教えた。
