:藤谷 ある  挿絵:

「白衣の元繰術士と黒銀の枢機都市」




十六年前、木更津市を襲った大災厄。

悪性腫瘍と呼ばれることになる異性空間の発現。

それは一瞬にして木更津市全域を覆い尽くし、全てを蹂躙する。

以後、その空間内は人が二度と踏み入ることの出来ない場所となり、その代わりに闇に属する生き物たちがその場の住人となる。

闇生物―――。

多様な蟲の姿を持つ彼らは、人の力では対処出来ない防御力を誇り、その数を増やしては人を襲う事を繰り返す。



だが、人もまた新たな力を手にして、闇生物を駆逐する。

元繰術士―――、闇生物を倒すことの出来る「元繰糸」を操る事の出来る者を指す・・・を、中心とした闇生物掃討の為の拠点、多層構造海上枢機都市を建設した。



人類防衛の為に東京湾上に築かれた砦にある、退闇士管理養成校の生徒である玖珂狛矢は、調査活動中に一人の少女を助ける。

闇生物によって、確かに死んでいるように見えた彼女の名前は四十崎士央。

彼女はなぜか、狛矢を監視すると言って彼の部屋にいついてしまう。

奇妙な同居生活を続けるうちに、明らかになる士央の秘密。

闇生物と人間の戦いを左右するといわれるモノの正体とは・・・。

彼女は一体何を隠しているのだろうか。







どこか茫洋とした雰囲気の主人公と、謎だらけのヒロインのおはなしです。

厨二病臭さがあふれる、魂を揺さぶる作品と言えば良いでしょうか?(褒め言葉)

気持ちは判るんですが、漢字で表した名前にカタカナでルビを振りすぎるとこうなるんだ、と言う見本市な気がします。

上に記した闇生物(ヴァイラス)、元繰糸(スレッド)元繰術士(スレッドスピナー)、多層構造海上枢機都市(ハーモニカ)、以外にも色々出てきますが、同じように漢字で表しているのに、そのまま読んだりするとか、若干統一感に欠けた設定な気がしました。

全体的にはドラマティックですし、少年誌系の熱さも有り、なかなか良いのですが、若干強さのインフレを起しかねない危険性を孕んだ作品だと思いますね。

好きなタイプの話なので、続刊が有るならば、どのようにお話を進めるのかが楽しみです。





白衣の元繰術士と黒銀の枢機都市 (HJ文庫)/藤谷ある

¥650

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:さがら 総  挿絵:カントク

「変態王子と笑わない猫。」



頭の中身が煩悩まみれな高校二年生、横寺陽人。

ひょんなことから“笑わない猫像”に祈ったら、常に本音がダダ漏れてしまう、建前のない人間になってしまう。

人生における最大級のピンチを救ってくれたのは、表情ゼロな筒隠月子。

彼女もまた、“笑わない猫像”に祈った一人だった。

彼女が失ったのは感情表現。

無表情で仏頂面となった彼女の助けを借りながら、陽人は本音と建前を取り戻すため、歩くセクハラと化しながら、自分と逆を願う人を探しに出る。



そして見つけた一人のお嬢様。

告白してくる相手をこっぴどく振っていくのだが、その首元には見覚えのあるチョーカー・・・?

いや、首輪の姿が。

これってやっぱり・・・と、結論づけた二人は、協力してアニマル喫茶に行ったり、水着を買いに行ったり、お嬢様のペットになったり・・・ってあれ?



目的を追いかけているんだか、見失っているんだか判らない中で、変態王子の字名を戴いた陽人は、果たして失ったものを取り戻せるのか?

爽やかな変態と、冷ややかな少女のドタバタが今、幕を開ける―――。








本屋さんのおすすめということで、購入してまいりましたが、素直にオモシレー!です。

基本、一人称小説ですが、くどい描写はなく、あくまでも爽やかです。

変態トークもどことなく爽やかで、逆に違和感を覚えるほどでした。

というか、水着姿の少女を見るためだけに、陸上部で頑張るとか、何か使い道を間違ってるようにも思えるんですが・・・。



金色の帯に、著名な先生方の“絶賛”コメントも載っていて、それに見合うパワーを持った作品だと思います。

読後のホンワリ感は保証できる作品ですので、よろしければぜひ。





変態王子と笑わない猫。 (MF文庫J)/さがら総

¥609

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:秋田 禎信  挿絵:山田 外郎

「ベティ・ザ・キッド(下)」




父親が殺された理由を求め、父親の仇を追って砂漠を旅する、エリザベス・スタリーヘヴン。

彼女は賞金稼ぎのキッドを名乗り、ロングストライドの行方を追う。

ウィリアムとフラニー、それに砂ペンギンを旅の道連れとして。



だが、復讐に彩られていたはずの旅の中で彼女たちが得た真実は、その航路を大きく変化させる。

かつて父親がたどり着いた「ヘヴン」。

「砂漠の解答」だと言われるその場所へ導かれ行くベティたちだったが、ロングストライドや政府軍もまた、それに思惑を抱いていた。



ベティの旅は、どの様な解答を出すのだろうか―――。






はい、終幕です。

一度読んだだけでは、消化しきれませんでしたが、もう一度読み返すことで、なんとなく答えが出たような気がします。

とはいえ、最後の方はやや中途半端だった気がします。

詰め込みすぎてやや駆け足になった挙句、ページ制限に引っかかった感じかなぁ?

それが、読み終えた時の消化不良につながったのかも。

まぁ、シャマニとか、ある意味哲学的な内容が加わった事も理由な気がします。

小難し過ぎるのは苦手なんですよ。



・・・オーフェンも読んでたけど、今更もう一度最初から読みなおそうとする気にはならないですねぇ。

次はどんな作品が出てくるのでしょうか・・・?





ベティ・ザ・キッド(下) (角川スニーカー文庫)/秋田 禎信

¥800

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