:南井 大介  挿絵:大槍 葦人

「小さな魔女と空飛ぶ狐」





広大なグランシア大陸の西方領域西端に位置するサピア共和国は、

革命を行った共和政府派と旧体制の復権を求める王党派に分かれ、

国を二分する内戦の真っ只中にある。

それぞれの側に大国が力を貸し、血で血を洗う戦闘は終わりを見ない。


その王党派側を支援するレヴェトリア皇国の義勇兵軍団、通称「アドラー軍団」には狐の字名を冠した飛空士がいた。

クラウゼ・シュナイファー、夜間戦闘の専門家で、その戦術や飛び方から「小狡い狐野郎」、「狐の様に抜け目がない」と言う誹りや穿った評価から、狐と呼ばれるようになった―――は、人を傷つけることを嫌い、可能な限りの撃墜の機会を味方に譲る事で、その罪悪感から逃れようとしている。

夢は教師になることで、予備役になりたいと願っているのだが、その類まれなる技術の為に前線で働かされていた。



・・・のだが、“サピア内戦解決の切り札”とされる重要人物の補佐を、ある日突然命じられる。

その重要人物の齢は16、名門ラムシュタイン家のお嬢様で、国の最高学府を11歳と言う年齢で卒業した天才である。

少女の名前はアンナリーサ。

わがまま放題の彼女だが、その実力は確かなものでもあった。

しかし、彼女の巻き起こすトラブルをクラウゼは乗りきれるのだろうか。


時を同じくして共和政府派を支援するヴェストニア共和国でも、一人の狂科学者がその力を発揮し始めている。









面白かったですね。

戦争と言う重いテーマを正面から受け止めて、明後日の方向へ投げ返したら、こんな感じになるのでしょうか?(いや、判らんか。)

ラノベ=ファンタジー=ヒロイックサーガと言うパターンを極力排し、現実に沿った戦争を描いたお話ですね。

これが、正面から受け止めた部分。

明後日の方向へ投げ返す部分、これは二人の科学者のことですね。

一人は“魔女”アンナリーサ。

もう一人はヴェストニアの“狂人”アジャンクール。

この二人の発想は、舞台となるであろう時代(現代歴史に沿うならば、第二次大戦直前頃)を超越し、様々な発明を生み出していきます。



けれど、お話の核は戦争よりも、その戦争に関わる人々にあります。

アンナリーサの、アジャンクールの、クラウゼの、それぞれの立場や状況、想いを丁寧に描いた作品ではないでしょうか。

大槍葦人氏の描くイラストも、この世界を美麗に彩っています。

・・・ここだけの話、この方の過去のイラストって、私の肌に合わなかったんですよね・・・。


ソレはさておき、アンナリーサとクラウゼの邂逅のシーンは、お気に入りです。

頭でっかちの耳年増な少女の初な反応が、とても愛らしいと思ったのは私だけではないでしょう。





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