著:藤原 祐 挿絵:kaya8
「煉獄姫」
煉獄―――。
現世の一つ下の階層に位置する「異世界」。
その世界に漂う大気は有害であり、その一方では人の意志の干渉を受け、森羅万象遍く全てへと変化する特性を持つ。
すなわち、煉獄から取り出した毒気から、万物を創成する技術を人は「煉術」―――そしてそれを扱う者を「煉術師」と呼ぶ。
瑩国―――。
煉術に依る産業革命で他国より一歩先んじ、その技術をほぼ独占している島国。
象徴王制をしき、政治を貴族院と国民院に委ね、王宮を中心に四つの街区で構成される街・・・瑩国の首都である匍都(ハイト)。
その王宮に建つ塔の地下深くに、一人の少女が幽閉されていた。
呪われた娘・・・アルテミシア。
その身の奥深くに煉獄へと繋がる扉を孕み、常に煉獄の毒気を纏う為、近付いた者全てを死に至らしめてしまうが故に、瑩国第一王女としての権利を剥奪されていた。
日の差さぬ地下世界で生きる少女も、時折外出を許可される。
煉獄の毒気を意に介さぬ少年従者フォグと共に、王家の密命を受けて。
体内より湧き上がる毒気を用いる、「煉術師」として・・・。
新作ですねぇ。
作者としては、デビュー作以来のファンタジー。
それも、純然な異世界物は初めてではゴザイマス。
とは言え、何処か欧州は倫敦を彷彿とさせる雰囲気が・・・。
かなり不遇な状況で育てられたヒロインと、それに傅く従者が主人公なのですが、なんだろう・・・。
正直、デビュー作の様な毒々しいネガティブさが、作品を重ねるごとに希薄になっている気がするんです。
まぁ、鬱々とした性格が合うようなお話でも無いから、仕方が無いのかも知れませんが。
煉獄の設定も、やや無難な感じでは有ります。
錬金術をモチーフにして、毒気を魔力に、煉術を魔術とすれば、近世魔術モノとしてもイケそうですね。
ドラマや人間関係など、描写面でのレベルは高いので、二巻以降が楽しみであります。

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