さ、今日の一冊は、
著:甲田 学人 装絵:三日月 かける の、
「夜魔-奇-」です。

甲田学人の最原点であるこの本は、
ハードカバーにて発刊された、「夜魔」の文庫化作品です。

とは言っても、この一冊に全てのお譚が纏められている訳ではなく、
メディアワークス(MW)文庫と分冊と言う形になるようです。
怪談性の高いものをMW文庫の方へ収録、
幻想性の高いものを電撃文庫に纏めたそうです。

とは言っても、そこは甲田学人の紡ぐ幻想世界。
間と言い、尺と言い、伝奇の名に恥じぬ恐ろしさ、悍ましさを内包しています。
また文庫化にあたり、書き下ろしを一篇収録して、
より濃密な世界を織り上げます。
収録作品は、
罪科釣人奇譚-トガツリビトキタン-

薄刃奇譚-ハクジンキタン-

魂蟲奇譚-コンチュウキタン-

桜下奇譚-オウカキタン-

現魔女奇譚-ユメマジョキタン-

以上の五篇。
私が個人的に好きなのは、
薄刃奇譚と、書き下ろしの桜下奇譚の二篇。
薄刃奇譚は、背筋が寒くなるような悍ましさを
桜下奇譚は、有りがちな桜の怪談を、甲田学人のテイストで味わう、
恐ろしさの詰まった作品です。

さて、このシリーズに必ず登場する二人。
”夜闇の魔王”『神野(三郎)陰之』と
”魔女”『十叶詠子』。
彼等はMissingにも登場する人物であり、
夜魔に於いては、主要人物の前に顕れ、導く、
狂言回しの役を担う。
また、Missingに登場する彼女と違い、
「見えるだけ」の少女で有るが故に、とても純粋に思えた。
しかし絵師の力で神野は、とても美しい青年に描かれている。
想像していた彼は、もう少し能面じみた化物だったのだが…。