木は決して、隣の木と背比べをしようとはしない。ただ静かに地中に根を張り、季節が巡るたびに、自分のペースでゆっくりと葉を広げていく。そんな姿を見ていると、毎日を急ぎすぎている自分にふと気づかされる。もっと肩の力を抜いて、自分の身体の声に耳を傾けてもいいのだと。

 

だから最近、下半身の服を選ぶときの基準は「いかに締め付けないか」に変わった。

 

【やわらかニットタッチ ハイウエストドロストワイドパンツ】

 

この深いブラウンのワイドパンツは、名前の通り、まるで柔らかなニットのように身体に寄り添ってくれる。ウエストのドローストリングは、ただのデザインではない。その日の体調や気分に合わせて、ほんの少しだけ緩めたり、結び直したり。たったそれだけのことで、一日の快適さは驚くほど変わる。

 

立ち上がったときのシルエットも、計算されている。ハイウエストが腰まわりを優しく包み込み、ゆったりとしたワイドな裾が、重力に逆らうことなくすとんと真っ直ぐに落ちていく。脚の形を無理に拾わないから、鏡の前で立ち止まる時間も減った。その代わりに、歩き出したときの布の揺れが心地よくて、つい遠回りして帰りたくなる。

 

派手な色も、目を引く装飾もない。でも、履くたびに「ああ、今日はこれでいいんだ」と、心の奥がすっと落ち着く。誰かの目にどう映るかよりも、自分の内側にある静かな心地よさを信じたい日に、そっと手を伸ばす一本。