米国人評論家で大変な親日家である通称"テキサス親父"ことトニー・マラーノ氏。彼と彼の活動のサポート役であるテキサス親父日本事務局の藤木俊一氏は、米国ホワイトハウスに対して、昨年末よりカリフォルニア州・グレンデール市の慰安婦像の撤去を求めるネット署名活動を敢行。短期間の厳しい条件の中、期限までに見事に10万筆もの署名を達成した。この署名活動の背景にあったもの、そして成功に導いた彼らの「作戦」とは何だったのか。藤木俊一氏にご寄稿いただいた。

 

 

昨年10月、韓国政府によるフランス〈アングレーム国際漫画祭〉への慰安婦問題の出展に対抗するため、日本からの出展を模索していた「論破プロジェクト」の藤井実彦代表より、テキサス親父との連携を持ちかけられました。

 テキサス親父は、以前、慰安婦問題の真相に触れた動画を作っていましたので、もし、アメリカ人であるテキサス親父が、自身がこれまで調査した「アメリカ公文書」など様々な情報を元としてこの問題を語れば、日本側の主張をさらに強固な物に出来ると確信し協力体勢を築く事になりました。

 しかし相手は韓国政府です。いくら民間の私たちが「事実」や「史実」を突きつけても到底不利な状況にあります。この状況の打開のために、更なる後押しが必要と私たちは考えました。

 その後、藤井氏と私はテキサス親父の住む米国テキサス州へ飛び、現地に約1週間程滞在。その間に慰安婦像の建てられたグレンデール市や像の建立を否決したブエナパーク市へ現地調査を行い、この中で、米国ホワイトハウスの署名サイト〈We The people〉に「カリフォルニア州グレンデール市に韓国人によって建てられた慰安婦像を撤去しろ!」と言う請願を行うのが、後押しに繋がるアイデアだと結論づけました。

 テキサス親父日本事務局では、過去に「日本海呼称問題」や「竹島問題」でこのホワイトハウスの署名活動を行いましたが、3万5千筆くらいの署名を集めるのが精一杯であり、最低ラインを10万筆に設定されている現状ではクリアには非常にハードルが高く、これを如何にして克服するかが最重要課題となります。

 資金も力も政府からのバックアップも無い中で、署名を完遂するには、まず合法的なやり方をもって韓国側に火を付け大炎上させて、それが日本に飛び火すると言うシナリオが必要でした。そこで考えたのが「写真一枚で韓国を大炎上させる作戦」だったのです。

 その作戦とは、グレンデール市にある慰安婦像に目鼻口をかいた紙袋を被せ、それを揶揄した写真をネットに拡散。それによりいわゆる韓国の「火病」を発生させて、韓国世論が炎上すれば、日本でも話題になり10万筆の署名も夢ではないというものです。

 私たち3人は現地に行き、計画通りに慰安婦像に袋を被せてそれを画像に納め、テキサス親父が自身のFaceBookにアップすると、予想通り韓国側にすぐに引火しました。そして、日を追うごとにその炎は燃え上がり、韓国中のテレビ番組、新聞、その他のメディアが一斉に「米国と日系の極右が慰安婦像に酷い事をした」などと報じ始めました。更にはテキサス親父と私には韓国から「殺害予告」なども多く送られるようになり、その数は2人で5千通にもなりました。

 この火の粉が日本に飛んでくるには、多くの時間を要しませんでした。5日後くらいには日本でも韓国メディアの反応が伝えられ、多くの日本人が知る事になりました。このタイミングでテキサス親父は「待ってました!」とばかりにホワイトハウスへの請願を開始したのです。

 それでも10万の壁はそうたやすいものではなく、我々は寝る間も惜しんで出来る限りの広報活動に全力集中しました。

 そうした動きの中、この署名活動の存在を知った産経新聞がこれを報道してくれました。すると署名数は一気に増加し、その他にも藤井厳喜先生のラジオ番組や上念司さんによる「日本文化チャンネル桜」での署名活動に関する非常に的確な情報拡散が後押しをしてくれました。

 さらにこれを知った日本の方々が自発的に支援活動を進めてくれました。動画の作成が得意な方は、広報動画や署名のやり方について説明する動画を自主制作してYouTube などにアップし、また絵を描くのが得意な方は、チラシやウェブ用バナーなどを作るなどしてこの活動を支えてくれました。元旦から数日間、靖國神社前で広報活動をしてくれた方々もいました。そこへは片山さつき議員などから直接激励もあり、現地メンバーの大きな支えとなったようです。このようにして活動の輪がどんどん大きくなっていきました。多くの日本人が各々の出来る事を駆使して、真剣にこの活動を盛り上げてくれたのです。

 その甲斐あって、デッドラインである1月10日を待たずして10万筆の署名を集めることに成功しました。テキサス親父は今回の日本の皆さんの努力を称え、「日本人を誇りに思う」と声明を出しました。

 今回の署名活動を通じて、まだまだ、慰安婦問題には様々なハードルがあり、その最も大きなハードル、というよりも「障害」が、相手側の論拠になっている「河野談話」であると強く感じました。

 一方で、多くの日本人が問題に気づき、韓国による「ディスカウント・ジャパン」に対して言うべきことを言う姿勢が形成されつつあると思います。そして15歳から94歳までの方々に署名を頂き、本当に多くの方々より激励のメッセージを頂戴した事は、日本の戦後はそう遠くない将来に終わるのではないかとさえ思える出来事でした。

 最後にインターネットについて。今回の署名の為にパソコンを初めて購入したと言う若者や高年者もおられました。更には署名活動をNHKまでもが取り上げたことは、既にネットがオタクだけでなく一般人のためのものであり、また既存のメディアをも脅かす存在になってきたことを強く感じさせました。

 

<新しい歴史教科書をつくる会 会報誌『史』3月号

「慰安婦の真実」国民運動レポートより転載>