私はちょうど10年前の今頃、7泊8日の合宿に参加した。

 

 

それは心理学者のカール・ロジャーズが生んだ、「非構成エンカウンターグループ」。

それが何かも知らずに友人のすすめで飛び込んだ。

 

 

参加者全員が三時間黙りこくって始まった、その何でもありで、かつファシリテーターが安心安全を担保してくれる場に衝撃を受けた。

 

 

最初は拒絶反応が出た。

 

なぜ、みんな心の傷や問題を次々と話し出すのだろう。気持ち悪い、とさえ思った。

 

今思えば、自分の内面の悩みの存在をまだまだ正面からは認めておらず、人に話すという経験をしたことがほとんどなかったからだった。

 

 

しかし、8日の間に次第に心をさらけ出さざるを得なくなり、結果的には自分の思い込みに気づいて眼からウロコ、今までの人生観がひっくり返る経験になった。

 

その時に出会った友人とは今も心のつながりを感じる仲だ。

 

 

そして、自分よりも歳上の人たちの深い想いや波乱ある人生を聴かせてもらい、悩んでいるのは自分だけではないと、悩みのスケールや重さも、様々であることを20代も後半にしてようやく知った。

というか、心の底から話す人を見て、そこにその人が生きているのをしっかりと感じられたのだ。

 

 

そして、話していくうちに、一人でに立ち上がるその人の命のちいさな輝きのようなものを目の当たりにした。

 

 

自分と向き合うことで「人の生きる底力」が現れる瞬間だった。

 

人に寄り添って聴いてもらうことのパワーというものを知った。

 

 

 

ただ円になって座る。

 

参加者もファシリテーターも生身の人としてそこで己と、他者と向き合う。

 

その時々で何が起きるかはわからない。

 

問題を解決しようとしない。

 

ただ聴き、待つことで、その人のうちにある、自分として咲く力が出てくる。

 

 

 

こんな関係性や、場が、もっとたくさんあったなら。

 

 

沢山の人が、自分の人生を自分らしく歩きやすくし、豊かな彩りをもたらしてくれるはず。

 

それは広がって、周りの人をも自由にしていく。世の中もよくなるはず。

 

 

その思いは、10年を経て、改めて確信として私の中に花開き始めている。

 

C・ロジャーズの人間観やカウンセリング理論をベースにした、大人もこどもも育ち合う場。

 

そんな場を、作っていきたい。