第78回秋季栃木大会 振り返り
1回戦の振り返り
1回戦はノーシードの学校により争われた。部員数の減少に苦しむ高根沢、さくら清修が久々の白星発進で2回戦へ。鹿沼東・壬生・今市の連合チームは烏山を破り1勝を挙げた。足利大附や幸福学園、白鷗大足利といった私立勢に加え、上位常連の宇都宮商や宇都宮南が盤石の勝利で2回戦に進出した一方で、矢板中央が鹿沼に10-6で敗れ初戦突破ならず。鹿沼が乱打戦を制し2回戦進出を決めた。
【ピックアップゲーム】
真岡・交流戦のリベンジならず
8月に行われた交流戦で白鷗大足利に惜敗した真岡。秋季大会1回戦でも白鷗大足利との対戦となったが、大差で敗れる結果となった。試合は初回から真岡打線が白鷗のエース・毛利虹太朗を捉え先制。前半は真岡有利な展開で進んだが、中盤から先発したエース・佐藤堅心が足の痛みにより思うような投球が出来ずに降板。結果7-1での敗戦となった。
真岡は試合では敗れたものの、エースの佐藤中心に将来性のある面白いチームだ。春季大会や夏の選手権大会での活躍にも期待できる。
2回戦の振り返り
2回戦からはシード校が登場。優勝候補の一角であった文星芸大附は昨年春の準優勝校・宇都宮商を9-0と圧倒的な強さで破り3回戦へ。もう一つの優勝候補・國學院栃木は足利大附に先制点を許したが、持ち味の強打を発揮し逆転勝利。作新学院や佐野日大、昨秋準優勝の宇都宮工も2回戦を突破した。シード校が盤石の勝利を挙げるその一方で、今夏優勝の青藍泰斗が幸福学園に敗戦。青藍は9回までリードするが、投手陣の乱調もあり白星を献上した。強肩強打の注目捕手・平林を擁する白鷗大足利は石橋に逆転負け。県立校同士の対決では宇都宮、栃木、鹿沼が強打を見せつけ快勝。シードの栃木工も盤石の勝利を収めた。
【ピックアップゲーム】
春、夏の挽回が期待される足利大附
交流戦では石橋に7-0で完敗した足利大附。完封負けを喫したこともあり、打線に大きな課題ありと思われたが、國學院栃木を相手に初回から鮮やかに3点を先制。相手先発投手の甘い球を見逃さず次々と外野へ強い打球を運んだ。試合は惜しくも敗れたものの、夏に向けては上位校の脅威となる存在になりそうだ。
3回戦の振り返り
8強入りをかけた3回戦。シード校8校中7校が準々決勝進出を決め盤石ぶりを見せた。2回戦で青藍泰斗を撃破した幸福学園は打線好調の鹿沼打線を1点に抑え、打線は10得点で快勝し準々決勝へ。21世紀枠を占う上で重要なゲームとなった宇都宮と栃木工の対決は栃木工に軍配。経験豊富な2年生を多く擁する栃高は佐野日大に喰らいつくが惜しくも惜敗した。作新学院、文星芸大附、國學院栃木は盤石の試合運びでコールド勝利。2年連続の決勝進出を目指す宇都宮工は黒磯に逆転勝利。106回選手権王者の石橋は小山西に辛勝で準々決勝へ駒を進めた。
【ピックアップゲーム】
注目のゲームは栃木工に軍配
「勝者は21世紀枠の推薦にグッと近づく」そんな前評判がチラつくなか行われた県立校同士の対戦。栃木工は2028年に市内3つの高校との統合が決まる中、野球部は県大会上位に常に食い込む活躍を見せる。対する宇都宮は県内No.1の県立進学校。今夏はベスト8に進出するなど文武両道を実現している。そんな2校の対戦は序盤で栃木工が試合を決める展開となった。栃工は3回、鈴木のタイムリーで先制すると、この回4安打3得点で試合流れを掴み取る。さらに3回にも2点を追加し栃工が一気に宇都宮を突き放す。なんとか食らいつきたい宇都宮は中盤で2点を返し追い上げを見せたが、前半の失点が致命傷となり追い上げも虚しく敗戦。勝った栃木工がベスト8進出を決めた。
準々決勝の振り返り
準々決勝は4試合中3試合で県立校が私立校に挑む構図となった。文星芸大附は栃木工に一時同点に追いつかれたものの、中盤に突き放す試合巧者ぶりを見せ勝利。初の準決勝進出をかけた幸福学園は昨年準優勝の宇都宮工と対戦。中盤で奪った2点を守り抜いた幸福学園がチーム史上初となる準決勝進出を決めた。106回選手権決勝と同一カードとなった石橋vs國學院栃木。106回選手権決勝のリベンジに燃える國學院栃木が試合終盤で突き放しリベンジを果たした。作新学院と佐野日大の私立校同士の対決では作新2点リードで迎えた5回裏、佐野日大が集中打を見せ4得点。佐野日大が逆転勝利で優勝候補の一角であった作新学院を撃破した。
【ピックアップゲーム】
幸福学園、チーム史上初となる準決勝へ
近年着実に力を付け上位に進出している幸福学園。前チームでもユニオール、エミールら外国人留学生を擁し8強入りを果たすが準々決勝の壁に阻まれた。しかし遂に、偉大な先輩たちが越えられなかったベスト8の大きな壁を新チームが打ち破った。準々決勝の相手は昨秋準優勝の宇都宮工。この試合でもエース・三角晃平が好投を見せた。最終回に一打サヨナラ負けのピンチを招いたが、野手陣が冷静なダブルプレーで凌ぎ勝利。チーム史上初となる県大会ベスト4進出を決めた。盛り上がる応援席とは裏腹に、選手たちは勝利の瞬間も冷静な表情を見せた。
準決勝の振り返り
勝てば関東大会出場が決まる準決勝。第1試合では快進撃を見せる幸福学園が優勝候補筆頭の文星芸大附に挑んだ。試合は文星に対し幸福学園がしぶとく喰らいつく展開となった。幸福学園は1点を追う5回裏、佐久川のソロ本塁打で同点に。同点に追いつかれた文星だったが、動じることなく6回表にエース・津久井のタイムリーですぐさま勝ち越し。粘る幸福学園に対し、文星は9回表にもダメ押しとなる3点を追加し幸福学園を退け準決勝進出を決めた。
第2試合では佐野日大と國學院栃木が激突。前評判通り準決勝まで勝ち進んできた國學院栃木に対し、昨秋優勝の佐野日大が立ちはだかった。國學院栃木はこの試合で4失策。守備の乱れから得点を許す苦しい展開となった。國栃は8回に農作のタイムリーなどで3点を追加し2点差に迫ったが、反撃も及ばず敗退。勝利した佐野日大は相手の隙を見逃さず順調に加点。守りでは注目のエース・鈴木有を中心に鉄壁の守りを見せた。
決勝戦のハイライト
文星芸大附 3 - 4× 佐野日大
文 星 000|010 |020|0 |R3
佐 日 100 |000|002|1× |R4
決勝戦は今年も清原球場を舞台に行われた。県内屈指の投手力を誇る佐野日大と、好投手・津久井雷仁を擁する文星芸大附が激突。白熱した投手戦となった。試合は初回から動く。文星の先発・津久井雷仁が準決勝からの連投もあってか、制球が定まらないところを佐野日大打線に捕まり1失点。しかし津久井は2回以降立て直し8回まで好投を見せた。津久井の好投からリズムを掴んだ文星は5回に澁谷のタイムリーで同点に追いつくと、7回には高田がレフトオーバーの2点タイムリーを放ち勝ち越しに成功する。文星2点リードで迎えた最終回。秋季大会連覇を目指す佐野日大が意地を見せる。佐野日大は先頭の青木がヒットで出塁すると、代打・小島颯人がタイムリースリーベースを放ち1点差。さらに相手投手のワイルドピッチの間に小島がホームへ生還し同点。佐野日大が土壇場で同点に追いつきタイブレークへ突入する。試合の流れを完全に掴んだ佐野日大は10回表の文星の攻撃を0点で抑えると、10回裏、2死満塁で代打・小和田和輝がサヨナラタイムリーを放ち逆転サヨナラ勝利で秋季大会連覇を果たした。
まとめ・・・
佐野日大の2年連続優勝で幕を閉じた秋季栃木大会。戦前は「國學院栃木、文星芸大附の2強」そんな噂が飛び交った中での佐野日大の優勝。佐野日大は8月の交流戦から凄まじい成長力で優勝まで漕ぎ着けました。今回の優勝は本当に努力の賜物だと思います。佐野日大は秋季関東大会でもベスト4に進出する輝かしい成績を残しました。これにより翌年のセンバツ甲子園出場へ大きく前進ました。佐野日大の優勝までの軌跡、関東大会での活躍はセンバツ出場が確定したらまとめようと思います。タレント集団と呼ばれ戦前の評価が高かった文星芸大附、國學院栃木は守りに課題を残す結果となってしまいました。両校ともに甲子園で勝つポテンシャルのある素晴らしいチームだと思いますので、春に成長した姿を見せてくれることに期待しています。そして今大会初の準決勝進出を果たした幸福学園。ベスト4進出により21世紀枠栃木県の推薦校にも選出されました。少ない人数ながらも試合を熟すたびに成長する選手たちを見て、夏にどんなチームが出来上がるか非常に楽しみになりました。県立校にも期待のチームが溢れています。8強入りの栃木工をはじめ栃木、宇都宮、小山西、真岡らは夏に上位を狙えるチームだと思っています。この秋に観戦できなかった黒磯、大田原も非常に楽しみなチームです。高校野球はオフシーズンに突入しました。来春どんな戦いが繰り広げられるのか今から既にワクワクしています。
秋季栃木大会 〜写真で振り返る熱戦〜
【優勝を決めた佐野日大】
【文星芸大附・津久井雷仁】
【佐野日大の注目1年生左腕・沖崎翼】
【文星芸大附のスーパー1年生・蛭田詩音】
【佐野日大、俊足巧打の櫻岡稜万】
【佐野日大の絶対的エース・鈴木有】
【作新学院・澤村友真】
【宇都宮工・注目の4番・田島駿】
【幸福学園の絶対的エース・三角晃平】
【栃木工・注目打者の高久大輔】
【文武両道の宇都宮、2季連続の8強ならず】
【好ゲームを見せた小山高専】
【宇都宮南・稲葉登柊】


















