帰るまでの数日を

実家で母とゆっくり過ごすのが好き

 

 

 

あと何回母の手料理がいただけるだろう

今はまだあたりまえに台所に立って

あれこれ美味しいごはんを作ってくれるし

ごはんも一緒に楽しく食べれる

 

元気でいてくれて本当にありがたい

 

 

 

 

 

 日本にいる間に

甘いトウモロコシ食べて帰りたいと思ってた

でもトウモロコシの旬って夏だったのね ザンネン

 

 

たまたま母が店頭で見つけたそのトウモロコシは

皮もヒゲも生き生きとしていたんだって

 

なーんにも言わずに知らぬうちに美味しく茹でて

用意してくれてあった2本のトウモロコシ

 

食べたがってたから 

ちょうどあったから買ってみたのと

シーズン終わりのその88円のコーンは

甘くてとっても美味しかった

母の思いの入ったトウモロコシはより格別だった

 

母 ありがとう照れドキドキ

 

 

 

娘として

母の料理を楽しむ時間

 

娘に

食事を作ることを楽しむ母

 

 

 

 

あと何回こんな時間が持てるかなぁ

かけがえのない時間

 

 

 

 

 

ある日

テレビを観ていた80すぎの母が

競馬中継にチャンネルを変えた 

 

へえ 競馬好きなの?

 

と聞いたら 

賭け事としての競馬には興味を持っていないそうだ

 

純粋に馬の美しさが好きだから

競馬のテレビ中継で

馬を眺めて楽しんでいると言っていた 

 

 

 

翌日

 いつもとは違うさんぽコースと言って母を連れ出した 

目的の駅まで徒歩10分

乗り換え1回乗車時間15分 

駅から競馬場まで徒歩5分

 

合計 片道30分(うち徒歩15分)

 

 

できるかな?

すべては母の体力次第

やれるとこまでやってみよう

 

 

 

 

 

同居している弟(長男)が

え お姉ちゃんとバーバで競馬場行くの?! 

うそデショww と

驚き隠せず笑っていた

 

 

バーバのことよろしく頼むね

あまり無茶させないでね、老体だから

どこかに置き忘れて来たりしないでねと

 

(-_-;) はいはいw

 

 

 

 

 

 

たまたま

プレミアムフライデーとかで入場無料だった 

 

 

飾りがクリスマスみたいでとっても綺麗ねと母

 

 

 

 

 

狭いレース場だなあと思った場所はパドックw

 

 

パドック (Paddock

競馬の競走の前に競走馬を見るための場所

 

 

パドックで馬を眺める時間を一番喜んでました

 

 

 

 

 

馬券が空を舞い

耳にペンをはさんで声を荒げ

競馬新聞片手にカリカリしてるひとたちが

大勢いる場所なのかと思ってた

  

酔っぱらいとか ガラの悪い人とか

痰をぺっぺと吐くような人とか

ワンカップ飲んで酒臭いひととかいるのが

競馬場だと思ってた

 

もちろん白熱する大きなレースの時は

そんな姿もあるだろう

 

 

 

 

でも

ぜんぜん違った

 

 

 

 

清掃が行き届いていて

キビキビして小綺麗な気持ちよい場所だった

 

若い人も小さな子を連れた親子連れもいた

仕事帰りに寄るひと

週末のデート、家族連れの行楽で

訪れる人の姿

 

年齢層が思ってた以上に若くて驚いた

 

っと言ってる側の人間2人を

足して2で割ったら67歳

バカ 爆

 

 

 

 

 

警備員さんも 食べ物屋さんも

とても親切で礼儀正しく 

どのひとも本当にやさしかったなあ

 

何か食べたい

という母

 

何が食べたい?

「やきとりとか」

 

は?w オーケー

(珍しいこと言うから吹いてしまった)

 

 

 

サワサワ気持ちの良い秋風が吹く夜 

空席があちこちにある客席は

年寄り連れにはありがたかった 

 

焼き鳥食べたがった人は

ほんの一口二口食べただけで終わってしまった

おなかいっぱいだという

 

塩焼きを注文したのだけれど

とっても美味しい焼き鳥でしたよ^^

 

母のことだからきっと

私が空腹なんじゃないかと思って

気を回したのかなと思いました

 

グレープフルーツサワーは私

母は温かい飲み物

 

足元おぼつかない人連れてて気が張ってるからか

酔いが回るのがいつになく速かった 笑

 

 

 

 

 

警備員さんが教えてくれたおすすめスポット

馬がいちばん近くに見えるスタンド席に座った母は

 

 

 

 

 

土煙あげ 地を鳴らし

ライトを浴びて駆け抜ける

美しいサラブレッドを間近で見て大喜び 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自宅に帰って来て腕に目をやったら

 1万歩を軽く超えていた 

 

母の歩幅に合わせて歩いていた1万歩は

私の歩幅で5~6千歩ぐらい 

 

 

 

競馬場について来るぐらいだから

元気な年寄りとお思いだろうが足腰は驚くほど衰えている

 

座卓から立ち上がるのにさえ時間がかかる筋力の衰え

小さな歩幅で母は 私に迷惑かけないよう一生懸命歩いていた 

 

私はそんな母に合わせゆっくりゆっくり歩いてたつもりだったが

普段男性より歩くのが速いと言われている歩幅なので

気を抜くとあっという間に母の姿は数メートル後ろに離れていた

 

 

ねえ そろそろ

シルバーカートあるとよいかもよ

安心してもうちょっと遠出が出来るようになるよと言ったら

 

「あんなのカッコ悪いから嫌」だという

(;´д`)トホホ  

 

 

代わりに母は

今でも自転車を押して歩くのが好きだ

数年前 ペダルを踏みそびれて転倒

顔面を強打しその時に前歯を壊して入れ歯となってしまった

 

以来

彼女は自転車には乗らないけれど

カゴに買い物を入れたり 袋をハンドルに下げて

押して歩くのにたいへん重宝している

+

年寄りくさくないから好きなんだとさ 

 

(;・∀・)ハハ なるほろ

 

 

 

 

 

 

競馬場を出て

駅へ向かって歩く5分ほどの帰り道で

 

脇道から奇声と叫び声をあげながら

意味不明な言葉をまくしたて続けてる男性が現れた

あたりが暗いから姿もよく見えずなおさら怖い

 

 

小さなカートのようなものを

ゴロゴロ鳴り響かせたその男性は

後方から同じ方向に向かってきていた

いまにも追いつきそうな気配

 

ヒィィィィィィ

怖っ!!!

 

母は私の1mほど後ろを 

マイペースにのったりのったりと歩いていた

 

どんな変質者かと思うと

おそろしくて後ろなんて振り向けないw

 

近頃の日本は見知らぬ人に

いきなり刺されるニュースが増えている

そんな人だったらと想像してなお凍てつく

 

 

母は冷静 

私もいちおう冷静w

 

 

交差点で信号待ちをしていた時

その男性の声がついに真後ろから聴こえてきた

 

 

ドキドキドキドキ

ヒイィーーーー!!!

 

 

っと

その時青信号に変わった

まとまった数の人々が交差する

 

信号を渡った母と私は

声の主が向かっている方向が

私達と違う方向へ進んで行ったことを確認し

ホッと胸を撫でおろし立ち止まり

それから駅へ向かった

 

 

奇声とゴロゴロが

道をはさんだ向かい側から響いて聴こえてきた

周囲の人がギョギョっとした表情で目線を向けていた先に

その人は歩いていったのだろう

 

誰にも何もなくてよかった

 

 

 

夜9時近くなると母の1日は閉店となる

頭の中は停止 

足は木の根のようになり

丸太のように一歩も動けなくなってしまうという

9時が就寝時間だ

 

 

帰り道は全部下り坂だから楽よと言う母

 

え? 全部下り?そうゆうものだったっけ?

 

案の定

下ればかならずどこかで登るわけでw

おかしいわねえと言いながら

母は上り坂を歩いた

 

がんばれ!

あともうちょっともうちょっと

 

数秒遅れて 

がんばれ!っという声が

ガランとした車道から聞こえた

 

高校生ぐらい

二人乗りの自転車

金髪の少年が彼女を後ろに乗せて

上り坂をうなりながら立ちこぎしていた

 

 

娘:「あそこにも、ひとり頑張ってる子がいるね」

 

母: 「あらほんとw」

 

 

上りきって小さくなってゆく

かわいらしい二人を眺めながら

タイムリミットまで残り30分を前に

ギリギリ帰宅

 

 

エベレスト登頂達成おめでとう

果敢なチャレンジに挑んだ母上さまの寿命は

さらに1年半は伸びましたわよ!

娘に言われた母は

少女のような満面の笑顔で喜んでました

 

 

 

楽しかったこの日のことは

今後 母が競馬中継を見るたびに

脳裏を横切るのだろうな^^

 

 

 

 

 

その翌日 台風のような娘はハワイ島へ帰って行きましたw

 

 

 

つづきはのちほど

 

 

それじゃーね

 
 
 
 
にゃ