壁相手に肩を温めて
彩ちゃんの正面に立つ
久しぶり...ここに立つのは
「みるきー本気でこい」
「分かってる」
手を抜くことはしない
彩ちゃんに失礼やから
「ふぅ...」
シュッ!!!!
「うわっ!!!」
コロコロコロ...
「...」
「クソッ!!」
すごいな彩ちゃん
落としたけど
1度は受けてた
体も安定してる
ホンマに頑張ってくれたんや
「ふぅ...」
シュッ!!!!
「フンッ!!!」
コロコロコロ...
「ってぇ...ハァハァ」
(彩さん大丈夫ですか?)
(彩さん!!)
「来るな!!」
お腹のあたりを押さえてる
きっと痛めてるんや
そこまでして何で...
「はっ...」
彩ちゃんの顔が
昔のバッテリーの顔に見える
聞こえる...聞こえる
消えろ、消えろ、消えろ...
「もう...いいかな」
「頑張れ頑張れ彩!!!!」
「菜々ちゃん...」
(...彩さーーーん!がんばれ!!)
(絶対とってください!)
(ここで取らなきゃ男じゃねぇー!)
部員の子が叫び出す
私の心の声を打ち消すほど大きく
彩ちゃんは1回面をとって
ニッって笑った
「女だわアホ
みるきー」
「...」
「どうしたい?自分は」
「...」
真っ直ぐな目でそう問いかけて
彩ちゃんは面を直して
腰を下ろした
自分はどうしたいって...
それは...
(お願いします!)
(才能ちゃう!!)
(任せろ)
彩ちゃんといたいよ...
「彩ちゃん」
「ん?」
「ぜーったい
取って!」
「...しゃーないな」
「ふぅ...」
シュッ!!!!
「オラォァァァァァー!!!」
ガシッ!!!
「え」
(あ)
(うわ)
(マジで)
「と、取れた」
「彩ちゃん...」
「よっしゃぁぁぁぁぁー!!!」
「ホンマに...取った」
「みるきー!」
「はい」
「私の勝ちや!
アンタは文句なしに
ここにいろ!」
「...うん!」
ギューーーーッ!!
「え、お、おおいっ////」
「彩ちゃん...」
(うわぁー彩さん)
(プレイボーイ〜)
「だから女やわっ!
っ...てててて」
「彩ちゃん?」
「ちょっともう...休憩」
バタンッ!!!
「彩ちゃん!彩ちゃん!!」
「あーあ無理しすぎたんやな
一年生!
彩保健室まで運んで
みるきーは付き添いな?」
「うん、わかった」