突然校長から、「隣の小学校の先生がエリカに美術について教えて欲しいと電話があったよ」と言われた。
※隣の小学校とは、去年の12月にシリア難民の子どもたちに向けて出張授業をしたところ。
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その日は偶然にもリファーが休み、美術の授業はなくなったので、その件について話してこようと思って小学校へ突撃訪問しに行った。
ここの校長、アマーニー先生はヨルダンの教育をきちんと客観視できていて、先進的なお考えをお持ちのとても尊敬できる人。
先生方も、教育実習生もアマーニー校長先生を尊敬してる、好きだと言っているから間違いない。
私がヨルダンの教育や学校運営について問題意識を抱えている事柄を、だいたい同じく抱えているという貴重な人物。
例えば…
*ヨルダンの幼稚園、アラビア語とか勉強ばっかりでアカン!もっと遊びを取り入れないと。
*情操教育は大切。美術は心を表現することができる。
*主任レベルの中間管理職がいないから、校長にしわ寄せが全部いって仕事量半端ない。
誰かが誰か殴ったとか誰がエスケープしたとか鉛筆がなくなったとか何でもまず校長室に言いにくる。
*女の子だからって、将来の夢を持たせたい。家にいるのが当たり前だなんて思って欲しくない。
今日ちょっと話しただけでもこんなに共感する話題がでてきた。
* * *
さて、アマーニー校長先生に
「うちの校長から、聞いた件ですけど…」
と言うと、間髪入れずに
「うちの教員で、美術について教えて欲しいっていう人がいるんだけど…どうかしら?」と。
小学校の美術の授業は時間割には組み込まれているものの、担任も教え方がわからないことが多くほとんど存在しないのが現状。
そんな中、教えて欲しいと名乗り出てくれたマナール先生、3年生担任。
私より年上、40代(予想)のベテラン教員。
日本だったら間違いなく主任レベルだろう。
ベテランにも関わらず、年下の若造の私に教えて欲しいと言う姿勢…年功序列でプライドが高いアラブの世界ではほんまに珍しいこと。
何だか流れに任せて、急遽美術の授業をすることになってしまった。
3年生の教室に入るなり、子どもたちは私を見てポカーンと…
何人か、「ミスエリカ…!?」と私のことを知っているおチビもいた。
どうやらお姉ちゃんが中学校にいるらしい。
お家で私のことが話題にあがってるんだな~と思うと嬉しい。
しかし、私は今手ぶら。
道具も何もない。
子どもは運良く紙と色鉛筆なら持っている。
さて…何をしよう。
無茶ぶりされたいきなりの授業にあたふたしたものの、子どもの前に立つと先生スイッチがつく私。
我ながら瞬時に思いついた導入はなかなかだったと思う←
マナール先生も後ろで私の授業をメモしながら聞いてくれた。
* * *
マナール先生の素敵なところは、意欲が高いことはもちろんのこと、子どもたちを決して否定しないこと。
子どもが”見て見て!!”って持ってきたどんな絵に対しても”へルー!”(素敵ね~いいね~)と声かけをするところ。
簡単なようでそれがヨルダンでは珍しいのだ。
子どもたちはマナール先生が大好きなんだろうなと感じる1時間だった。
また次週も授業をすることになった。
この続きはまた明日~