ウイルスの影響で稽古ができなくなってから早3か月。
仕事もテレワークが続き身体はなまるところまでなまってしまった。
自宅で多少は稽古するものの、天井の低い我が家では膝立ちで振るくらいしかできない。
先生もいかがお過ごしだろうかと気になるものの、ご自宅に伺うにもこの状況ではそれもやりづらい。
すると、久方ぶりに先生から着信があった。
「元気してるかい?まだ自治体から正式な連絡はこないけどそろそろいつ稽古再開になってもおかしくないからね。
再開したときに刀まともに振れないようじゃ困るよ。
素振りくらいはしっかりやっといてってことで今みんなに連絡して回ってるからね!」
先生ももう御年85。
この長い稽古自粛期間の間に、身体も精神も衰えてしまわれるのではないかと心配していたが、まったく余計な心配だったようだ。
電話先から聞こえる声には活力が感じられる。
安心するとともに、危機感がわいてくる。
刀よりもギターを触る時間のほうが圧倒的に増えていたこの自粛期間だったが、このような連絡を受けては刀を振らねば!
と久々に長時間の素振りをしてみる。
3日間とれない筋肉痛に襲われた。
これは思ったよりも芳しくない状況だ。
身体のなまり具合もさることながら、これだけ筋肉痛になるということは刀の振り方が力任せになってしまっている。
これでは稽古再開後に説教されてしまうのは間違いない。
ギターに浮気しすぎた・・・。
緊急事態宣言も解除されそうな今、いつ稽古再開となってもいいようにしっかりと素振りだけはやろうと気合を入れる。
刀に付いた古い油も取り除いて手入れしてやろうと思い立ち、今回は打ち粉を使って手入れした。
打ち粉は細かい砥石であるため、打ち粉での手入れをやりすぎるのはよくないという話をよく耳にする。
打ち粉を使わない手入れ方法は幾通りかあるが、私は普段ベンジンを使っている。
しかしやはり、打ち粉での手入れというのは何か心が引き締まる感じがする。
どうなるかはまだ分からないものの、稽古再開の日は徐々に近づいているとみていいだろう。
初心者というのは吸収する速度も速いが、いったん遠のくとそれを失う速度も速い。
私がどれほどを失ってしまっているかはまだ分からないが、変な癖を抜くためのよいリセットだったとポジティブに捉えてまた居合と向き合っていきたい。
日々、精進。