元々日本刀には興味があったので、最近は分厚い書籍を買って読んだりネットで調べたりで日本刀にまつわる様々なことを少しずつ勉強中。
日本刀について調べていると、今現在でも広く使われる言い回しに刀由来のものが思ったよりもたくさんあることに気づく。
相槌を打つ、鎬を削る、反りが合わない、付け焼刃、折り紙付き、元の鞘に納まる、焼きを入れる
などなど他にも多数。
その中で気になった言葉が一つ。
『切羽詰まる』
Googleでこの言葉を検索してトップに出てきた語源由来辞典なるサイトの記述を転用すると、こう説明されている。
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【意味】
切羽詰まるとは、物事がさしせまって、どうにもならなくなること。
【語源・由来】
「切羽」とは、日本刀の鍔(柄や鞘に接する部分)の両面に添える薄い楕円形の金物のことで、これが詰まると刀が抜けなくなる。
窮地に追い詰められた時に切羽が詰まると、逃げることも刀を抜くことも出来なくなるため、為す術が無くなる意味となった。
また、切羽の語源は、「狭鍔(せつば)」または「副鍔(そえつば)」の転といわれる。
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切羽が詰まると刀が抜けなくなる。
ちょっと待って、本当にこんなことが起こるのだろうか?
少なくとも検索のトップページに出てきたサイトではこぞってこの説明がされていた。
普通、刀は鯉口にハバキが接することで鞘から簡単に抜けないようになっている。
ハバキが機能しないほど鯉口が緩くなっていたとしても、鯉口よりも大きい上に楕円形をした切羽が全く形状の違う鯉口に詰まるようなことが実際に起こりえるのだろうか。
100歩譲って切羽と鯉口が同じ形状だったとして・・・あんな薄い金具がぴったりはまっただけで刀が抜けなくなるものなのか。
模擬刀とはいえ実際に刀の体をなしたものを使って稽古している身からすれば、そんなことがあるようには思えない。
そもそも何百年もの間引き継がれ武士の魂とまで言われるようになった物に、刀が抜けなくなるほどの欠陥・リスクのある部品を使わんだろと。
切羽は、鍔がカタつかないように鍔の両面に添える薄い金具。
鍔とハバキの間、そして鍔と柄の間に入れるもの。
切羽を正しく詰めている状態では鍔がぐらつかずに固定されるということになる。
つまり鍔の立場からすると、切羽が詰まっていると遊びが無くなり身動きできなくなる。
この状態を指して、どうにも身動きできなくなるような状態のことを切羽詰まると言うようになったのではと思う。
こうして切羽の本来の役割を考えれば、切羽が詰まっていることは本来良い状態だ。
それに対して切羽詰まるという言葉はネガティブな状況で使う言葉であるため、語源解釈に齟齬が生じてしまっているように見える。
居合をはじめてなければ、切羽詰まるの語源解説を疑問に思うようなこともなかったと思う。
面白いもんですね。
日々、精進。