後輩の指導にあたる看護師にとって、ミスを指摘したり改善を促したりする場面からは避けられない。しかし、伝え方を一歩間違えると相手の自信を奪い、成長の芽を摘んでしまうことも有り得るため、注意が必要だ。
後輩を一人の人間として尊重し、その尊厳を守りながら正しく導きたいなら、ぜひ自分も相手も大切にするコミュニケーション技法「アサーティブ」を取り入れてほしい。
単に叱るのではなく、事実に基づいた建設的な対話を通じて、何が課題であるかを共有することが指導の出発点といえる。
指導で特に重要なのが、その場の感情に流されず、慎重に言葉選びをすること。
たとえば、「なぜできないのか」という否定的な問いかけは相手を萎縮させ、思考を停止させてしまう。もちろんその際、人格を否定するような表現は絶対にNGだ。
代わりに「どうすれば次は安全にできるか」という未来に向けた問いに変えれば、後輩は自分の尊厳を保ったまま、主体的に解決策を考えられるだろう。あくまで特定の行動や判断に焦点を当てることが鉄則である。
また、一方的に指示を押し付けるのではなく、なるべく相手の言い分や背景にある思いに耳を傾ける余裕も持ちたい。なぜそのような行動に至ったのかというプロセスを理解する姿勢を示すことで、信頼関係が築かれ、相手も言葉を聞き入れてくれるようになる。
後輩が「自分のことを考えてくれている」と実感できれば、指導は単なる叱責ではなく、自分を成長させる貴重な助言へと変わるのである。
そのためにも、厳しさの中にも敬意を込めることを意識したい。そんな思慮深い関わりを積み重ねれば、後輩は安心して学び、看護師として着実に成長を遂げることができるはずだ。
看護師に限らず、職場の後輩教育はなかなか難しいものだ。誰だって憎まれ役にはなりたくないし、だからといって甘やかしてしまえばいつまでたっても仕事を覚えてもらえない。
そこでまずは、指導すべき後輩の性格を把握するところからやってみてはどうだろうか。
個々の性格が違うのは当然のことで、同じことを言ってもすぐに理解できる人もいれば、じっくり取り組むことで理解し、いったん理解したら素晴らしい仕事をやり遂げるというタイプの人もいるだろう。
また、言葉の捉え方も人によって多種多様だ。先輩だからと言って上から目線で命令するように接すると、反発され人間関係がうまく行かなくなってしまうということもある。
そのため、まずは相手との距離を縮めすぎないようにし、客観的に判断してみてはどうだろう。
仲が良いのはいいことだが、慣れあいのようになってしまうのは職場では厳禁である。そして教育すべき後輩の性格をよく理解したうえで、指導法を考えるのだ。
反骨精神が旺盛だったら、多少厳しく接しても問題を乗り越えて成長できるだろう。逆に褒めることが成長につながるという者も少なくはない。
職場は決してひとりで働く場ではないので、どう指導するかによって周りの雰囲気に影響するということもある。もちろん、自分自身の評価にも関係してくるだろう。
そのため、あまり急がず少し距離を開けたところから客観的に相手の性格を理解し、それに合った教育を行うということを、指導者である先輩ナースとしては覚えておきたいものである。
なお、後輩教育の際に筆者が参考にしたサイトがあるので、URLを貼っておく。
>>http://kohaikyoiku-nayami.com
