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(つづき)
アイスランドに到着して最初にすることは、レンタカーの受け取りでした。
15時間のフライト明けだったので、ホテルに一刻も早く入りたいという気持ちが大きく、
もうすでに夜10時を過ぎていたこともあり、焦る気持ちで空港のレンタカーカウンターに向かいました。
カウンターで案内され、送迎車に乗って店舗へ向かう間、格安レンタカーを手配したことをすこし後悔しました。
一刻も早くホテルに向かいたいのに、空港から離れた店舗へ送迎され、そこでまた延々と手続きに待たされるのだろう。
すぐに車を受け取りたいなら、空港でそのまま車を引き渡してもらえる会社にすべきだったのかも。
飛行機を降りて、知らない人の車で送迎されていることに、息子は不安そうでした。
「これからどこに行くの?」
「レンタカーの会社だよ」
「ホテルに着くのはあとどれくらい?」
「レンタカーで車を借りたら、そこからすぐだと思う。」
店舗に到着したら、不安な思いが消えました。
店舗スタッフは、書類を一式そろえ私のサインを書く場所だけ提示して、あっという間に手続きを終えました。
他の車はびっしりとフロントガラスに霜が降りていたのですが、
手配された車は、ほかに並んでいたどの車とも違って、しっかり温まっていかにも準備万端でした。
こんな夜遅い時間なのに、私たちの到着時間に合わせてしっかり用意してくれていた
スタッフの方々の気持ちが伝わってきました。
聞けば「この営業所は24時間営業だから、夜遅い時間でもいつもと変わらず対応しているよ」とのこと。
すぐにキーを受け取ることができ、荷物を車のトランクに詰め込んでいると、
空港から送迎してくれたスタッフの男性が、声をかけてきました。
「アイスランドは初めて?」
「はい、初めてです。思ったとおり、寒いですね。」私は答えました。
「今日は寒いから、このあとオーロラが見えそうだよ」
「え?そうなの?」
男性はとても楽しそうに、空を眺めました。
空にはたくさんの星が広がっていて、いよいよアイスランドに到着したんだな、と改めて感じました。
「予報では3時ごろらしいよ」という男性。
「私たちは到着したばかりで、眠くてたまらないから…3時まで起きてるのは無理かな」
「旅行を楽しんでね」そういって、私と息子を笑顔で送り出してくれたスタッフに、
私たちは帰りもまた、出会うことになります。その話はまた後日。
今回の話は、そのあと向かったホテルでのお話。
レンタカー会社の男性スタッフがあまりにも流暢な英語を話すので、
アイスランドは英語圏なのかと一瞬勘違いしていたのですが、
ホテルに到着してフロントで、まったく聞き慣れない「こんばんは」らしき挨拶を聞いて、
アイスランドにはアイスランド語があるんだった、そうだった、と思い出しました。
到着したときに案内してくれたホテルのスタッフも、完璧な英語でした。
遅い時間にも関わらず、とても丁寧で明るく、しかもあらゆる手続きを迅速に対応してくれました。
おかげで、その日は部屋に入って二人ともすぐに爆睡。
次の日の朝、フロントを見かけると、別のスタッフの方が対応していたのですが、
夕方になるとまた、到着したときのスタッフがいて、今度は英語で「こんばんは」と声をかけてくれました。
その挨拶を聞いて、私は彼にある相談を持ち掛けました。
私は今回の旅の目的のひとつ「ブルーラグーン」に行くために、
日本でいろいろ調べて予約が必要だと知っていたのですが、
旅行日程の中で希望する日時には、満席で予約を取ることができず、
そのままアイスランドに来てしまっていたのでした。
その日、予約もなくブルーラグーンに向かってみたのですが、入り口から先は「予約あり」の人しか入れない状況。
当日券の発売はなく、諦めてそのまま別の温泉取材に向かい、帰ってきたのでした。
「滞在中の予約は、毎日満席なんです。どうしたら、滞在中にブルーラグーンに入ることができるでしょうか」
私のつたない英語の質問に、彼は「これは100%というわけではないけれど」と前置きをしてからこう言いました。
「ブルーラグーンは、毎日予約で埋まっていて当日券はほとんど出ない。
ただし、当日キャンセル分がでた場合、空き枠分の追加予約を毎日午前中に受け付けているらしいので、
まずは明日、予約の空き枠があるかどうか、午前中にウェブを確認してみるのがいいと思う。」
彼はもちろん英語で。私のつたない英語に、流暢な英語で私の知らない「裏技」を教えてくれました。
次の日の朝、私はさっそく午前中にウェブを確認して、午後の追加予約枠を発見し、いそいで予約。
その日の午後、私たちは念願のブルーラグーンを体験することができたのでした。
ブルーラグーンの体験談については、これまた後日ゆっくりと。
ブルーラグーンから帰って来て、フロントでまた彼を見かけたので、
「ありがとうございました。おかげで今日、ブルーラグーンに入ることができました」と報告。
あらためて感謝の気持ちを伝えました。
「私のつたない英語を理解して、あなたが流暢な英語で教えてくれたから、とてもよく理解できました。
アイスランドの人は、みんな英語がとても上手ですね。助かりました。本当にありがとう。」
そのときの彼の言葉が、衝撃的でした。
「そういっていただけてとても嬉しいです。でも、僕は申し訳ないと思っています。
僕は日本語が話せないから。僕が日本語を話せたら、もっときっとわかりやすく伝えられるのに。
だから、あなたが英語を話してくれてこちらこそ助かりました。ありがとうございます。」
この言葉に驚きました。
アイスランドの深いおもてなしの心を感じた瞬間でした。
「日本語を離せなくてごめんなさい」彼はそういったのです。
その後知ったのは、アイスランドでは観光業に従事する人たちは、基本的に英語が話せるということ。
それだけの教育と研修を受けた高学歴の人が多いということ。
旅行者の理解できる言葉で接することが、観光業のサービスとして重要だと考えていることが、彼の発言からうかがえました。
来てくれてありがとう、その気持ちがなければ、彼の心理は生まれないと思います。
アイスランドがここ数年、旅行先として愛されている理由もわかる気がしました。
きっとアイスランドの人々の多くが「来てくれてありがとう」の精神を持っているのでしょう。
そのフロントのスタッフは、夜のシフトを担当していたため、ホテルに戻ってくる夕方の時間に、いつも笑顔で迎えてくれました。
話は飛んで、最終日。早朝出発なので、早めにチェックアウトをすべきかどうか、前日の夜にフロントで相談したところ、
「ぼくは夜のシフトだから、早朝のその時間もフロントにいるし、その時間にチェックアウトすることは問題ないですよ」
とのこと。朝4時出発なので、フロントに人がいなくて困ったらどうしようと思っていたのですが、彼がいると聞いて安心しました。
そして朝4時前。
フロントでチェックアウトをしているときに「これ、もしよかったら」とボックスを渡されて、また驚きました。
早朝出発であることを、昨晩の私の質問の際に知って、朝食のお弁当を手配してくれていたのです。
日本でも、朝食用のお弁当を手配してくれるサービスはたまにありますし、
海外でも、グレードの高いホテルで事前に聞かれたり、お願いすることはあります。
いずれにしても、基本的には「こちらからお願いして、可能なら作ってもらえる」というサービスなので、
「頼んでもいないのにボックスを渡すなんて」と思う方もいるのかもしれませんが、
早朝出発であることを知って、頼まれていないけれど手配してくださった彼の気配りに、
私はあふれるような安心感と優しい気持ちを、心の底から感じたのでした。
いま私の中にある、アイスランドという国の優しさや温かさといったイメージは、
今思えば、だいたいそのホテルのスタッフが対応してくれたときに感じたものだったのだと思います。
滞在中、小さな子どもを連れた旅行ファミリーをたくさん見かけました。
アイスランドが子どもを連れて旅行しやすい場所なのは、優しく温かいまなざしを、多くの場所で感じられたからだと思います。
日本はおもてなしの国、といわれるしその通りだと思っていますが、アイスランドのおもてなしの心は、私の想像を超える深さでした。
ということで、次回はアイスランドの温泉の話、、、に行く前に、
そもそもなぜ私が子連れで旅をしているのか、お話したいと思います。


