真夏の事件簿（30年振りの再会）

ICUで治療後、警察官が事情聴取に来た

看護師さんから『大丈夫ですか？』と伺いを立てられたけど

警察官が来ることは既に覚悟してたし

俺も事実だけは伝えたいから了解したよ


二人の足音が聞こえ俺の右横で立ち止まり

警察官は、俺のフルネームと生年月日を言い出した後…

『初任科〇〇期２組の〇〇さんですよね？』

と言うから驚いた

『えっ誰』

って聞いたら当時、同じクラスのＨ君やった

お互いに『まさか、こんなところで会うとは』と思ったんやけど

俺にはＨ君の面影が無いから分から無かったよ

ましてや、うっすらとしか見えてないから尚更分からんかった

Ｈ君には、ノートに間取りを書いて、俺ができる精一杯の状況説明をしたよ

事情聴取の後

『こっちに、同じクラスの奴や同期が何人か居るからなんか有ったら俺に相談に来なよ』

と、帰り際に言ってくれたＨ君の言葉には救われた感じがしたよ


そして、どれぐらい時間が経ってたかは分からないけど

『また警察の人が来てる…
さっきも来たのに、患者さんは大丈夫かなぁ？

なんで、ICUにこんなに来るのぉ？？？』

と言う看護師さんの声が聞こえてね

俺も『またか』とは思ったけど、やらかしたことがデカイから仕方ないと思ったし

Ｈ君は当直担当で来たから、新たに刑事が来ても不思議じゃ無いと思ったよ

で、看護師さんが、また伺いを立てにきたので了解して再度事情聴取


今度も二人の足音が聞こえ今回は俺の左横に立ち止まり


Ｈ君と全く同じことを言うから驚いた

そして

『俺のことを覚えてる？』
と、刑事のNちゃん

『覚えてるけど、Ｈ君と同じで面影が無いから分からん』

と言ったら

NちゃんもＨ君同様、『お前は、あんまり変わらないから直ぐに分かったよ』

と言うんよ

30年振りの再会の挨拶を簡単に済ませ、

NちゃんにもＨ君と全く同じ説明したよ

その後、NちゃんもＨ君と似たようなこてを言って帰ったけど

Ｈ君もNちゃんも機動隊に異動して来なかったから、警察学校だけの付き合いなんだよね

ホンマに、こんなところで30年振りの再会をするとは思いもよらなかったな