10年以上も田舎に返ってないから
もうすっかり忘れたな
覚えてるとしたら…
親父の三回忌に実家に戻った時の味ぐらいだけど
親父が脳梗塞で一命を取り留めた時に、お見舞いに行った時から
おふくろの味は変わったよ
『身体の為に…』
と、味付けという味は本当に薄くなってて
味噌汁を飲んでも味噌の味がしないくらい薄い味だったよ
実家に居ても、なんか食べた気がしなくてね
だから、おふくろに
『俺がみんなの分を作るから』
と言って料理してたよ
一発目は自慢の天ぷらを揚げる為に冷蔵庫を開けたら…
野菜の場所にジュースしか入って無くてね
『母さん
何で野菜のところにジュースしか入ってないの

野菜が無かったら、野菜の天ぷらが挙げられないじゃん
』
と、おふくろに言ったら
『野菜なんか畑に行けば、いっぱいあるだろ
』
と言われ
畑の存在をすっかり忘れてた俺
酪農家で土地は広いから
作れる野菜は全部作ってたな。
俺が幼少の頃から
ジャガイモ・トウモロコシ・キャベツ・白菜・大根・ニンジン・茄子・キュウリ・ピーマン・かぶ・さやえんどう・ホウレン草などの畑だけで、
東京ドーム2個分の広さは間違いなくあったはずだよ
自給自足で作ってるんだけど
『町の人にあげるんだ
』
と言いながら、結構な面積で作ってたよ
なんせ、俺の田舎の面積の単位は坪とか反じゃないんだよね
一丁(100メートル四方)が単位で
3丁の畑とか6丁の畑とか8丁の畑とか、よく言ってたから
こっちに初めて来た時に
坪の単位が分からなくて
恥ずかしい思いをしたことがあったよ
おふくろに
『3丁の畑にジャガイモがあるし6丁の畑に行けばカボチャがあるよ。山に行けばニンジンもあるし…』
と言われた時、
不思議と何年経っても、3丁が何処で6丁が何処の畑か分かる俺が居たのは我ながら感心したかな
俺が高校の頃までは、山を含めて土地が53丁有ったことは覚えてるよ
それでも、あの頃は中規模農家だったな
実家に帰るたびに、山が整地され牛が放牧されてたけど、
大きな桜の木
と大きなドングリの木だけは伐採されて無くて嬉しかったよ。
兄貴に
『桜の木とドングリの木を残してくれてありがとね
』
って言ったら
『あの二本の木は俺達の成長を見てきてくれてたから切れないよ
子供の頃みんなでよく遊んで木だから…』
と言ってくれた兄貴の思いには感謝だったな
特別に祭ってる訳でも何でもない普通の桜とドングリの木なんだけど…
御供えのように天ぷらを置いたら
親父が生きてた頃に餌付けしたキタキツネに持って行かれてしまったよ
おふくろが
『あのキツネ…、母さん方が行っても出て来ないから、その辺に餌を置いて行くんだけど
父さんの姿を見ただけで、父さんの傍まで来てたんだよ。
あんたのことを知らないキツネが…
よく近くに来たもんだね』
と言ってたけど…
親父が餌付けしたキツネかどうかは
俺には分からないよ
気合いを入れて16人分の天ぷらを揚げた時は
さすがに自分で作った天ぷらが食べられなかったな
完全に油の匂いにやられてね
なぜか俺一人でお茶漬けを食べたよ
みんなに
『料亭の天ぷらみたい
』
と言われた時は嬉しかったけど
我が子達だけは、いつものように食べてたな
やっぱり…
『美味しい
』
って言ってくれたら作り甲斐があるよね
なんかタイトルからかけ離れたけど
天ぷらてキタキツネのタイトルにすれば良かったかも
まっ
いっかあ


もうすっかり忘れたな

覚えてるとしたら…
親父の三回忌に実家に戻った時の味ぐらいだけど

親父が脳梗塞で一命を取り留めた時に、お見舞いに行った時から
おふくろの味は変わったよ

『身体の為に…』
と、味付けという味は本当に薄くなってて

味噌汁を飲んでも味噌の味がしないくらい薄い味だったよ

実家に居ても、なんか食べた気がしなくてね

だから、おふくろに
『俺がみんなの分を作るから』
と言って料理してたよ

一発目は自慢の天ぷらを揚げる為に冷蔵庫を開けたら…
野菜の場所にジュースしか入って無くてね

『母さん



野菜が無かったら、野菜の天ぷらが挙げられないじゃん

と、おふくろに言ったら
『野菜なんか畑に行けば、いっぱいあるだろ

と言われ

畑の存在をすっかり忘れてた俺

酪農家で土地は広いから
作れる野菜は全部作ってたな。
俺が幼少の頃から
ジャガイモ・トウモロコシ・キャベツ・白菜・大根・ニンジン・茄子・キュウリ・ピーマン・かぶ・さやえんどう・ホウレン草などの畑だけで、
東京ドーム2個分の広さは間違いなくあったはずだよ

自給自足で作ってるんだけど

『町の人にあげるんだ

と言いながら、結構な面積で作ってたよ

なんせ、俺の田舎の面積の単位は坪とか反じゃないんだよね

一丁(100メートル四方)が単位で
3丁の畑とか6丁の畑とか8丁の畑とか、よく言ってたから
こっちに初めて来た時に



おふくろに
『3丁の畑にジャガイモがあるし6丁の畑に行けばカボチャがあるよ。山に行けばニンジンもあるし…』
と言われた時、
不思議と何年経っても、3丁が何処で6丁が何処の畑か分かる俺が居たのは我ながら感心したかな

俺が高校の頃までは、山を含めて土地が53丁有ったことは覚えてるよ

それでも、あの頃は中規模農家だったな

実家に帰るたびに、山が整地され牛が放牧されてたけど、
大きな桜の木

兄貴に
『桜の木とドングリの木を残してくれてありがとね

って言ったら
『あの二本の木は俺達の成長を見てきてくれてたから切れないよ

子供の頃みんなでよく遊んで木だから…』
と言ってくれた兄貴の思いには感謝だったな

特別に祭ってる訳でも何でもない普通の桜とドングリの木なんだけど…
御供えのように天ぷらを置いたら
親父が生きてた頃に餌付けしたキタキツネに持って行かれてしまったよ

おふくろが
『あのキツネ…、母さん方が行っても出て来ないから、その辺に餌を置いて行くんだけど
父さんの姿を見ただけで、父さんの傍まで来てたんだよ。
あんたのことを知らないキツネが…
よく近くに来たもんだね』
と言ってたけど…
親父が餌付けしたキツネかどうかは

俺には分からないよ

気合いを入れて16人分の天ぷらを揚げた時は
さすがに自分で作った天ぷらが食べられなかったな

完全に油の匂いにやられてね

なぜか俺一人でお茶漬けを食べたよ

みんなに
『料亭の天ぷらみたい

と言われた時は嬉しかったけど

我が子達だけは、いつものように食べてたな

やっぱり…
『美味しい


って言ってくれたら作り甲斐があるよね

なんかタイトルからかけ離れたけど

天ぷらてキタキツネのタイトルにすれば良かったかも

まっ



