2020年の春、わたしは高校2年生からの夢であった作業療法士になることができました。総合病院に就職して急性期病棟に所属して、自分の興味のある分野を見つける…!私には目標がありました。


しかし、その目標はあっけなく壊されてしまいました。コロナによって。

感染対策のためリハビリ室の使用禁止、フル装備での介入。そしてスタッフの移動による感染防止のため限られた病棟専従。これによって私が総合病院に就職し、目標としていたことはできなくなりました。


病棟専従により、元々3人いた急性期病棟の同期の中で私だけ違う病棟になりました。次第に2人がしている患者さんの情報共有の会話に参加は出来ず、孤独感を感じるようになりました。


そしてプライベートではコロナにより趣味活動の停止。友人、家族とは会えない環境。


それでも楽しかったです。患者さんと関われる喜び、徐々にできることが増えていく達成感、辛い中でも充実した日々でした。


そんな毎日の中でも私を苦しめたのが、先輩との人間関係が築けていない中で仕事をすることでした。先輩が自分のことをどう思っているのか分からない…病棟に同期はいないことから相談は常に先輩にしなければいけない。


また、元々人前だと緊張してしまうタイプの性格の私。新人は安全のため、指導のために最初の数ヶ月は先輩同伴のもとリハビリを実施するのですが、私はそれを恐怖に感じてしまう。見てもらっているのではなく監視されていると思い込み、失敗したらどうしようという緊張。さらには期待の新人と言われ頭が良いと言われ、余計に失敗できないプレッシャー。


コロナという異例の事態に、病院は常に張り詰めた状況でした。毎日更新されるコロナ情報、どんどん厳しくなる感染対策。その一方で新人の早期稼働率は求められる日々。


朝早く出勤してカルテを隅々までチェックして、ミスしないように気を張り詰めて。休みの日は誰とも会えず、頭の中は前日やり残した仕事はないか考えて…


気がついたら出勤日も休日もずっと仕事のことを考えていてました。

そして、常に不安になっていました。

次第に、朝出勤すると動悸がするようになって、食事が取れなくなって、夜も眠れなくなって、周りから痩せた?と言われるようになりました。

半年で-10kg。それでもそのときはあまり危険を感じていませんでした。むしろ、落ちていく体重に達成感も感じていました。日常のストレスから唯一解放されるのが、更新されていく体重の数値でした。


そんなとき、たまたま予定になかった人のリハビリを急遽苦手な先輩が指導についてくださるときに担当することになりました。


"目の見えない人を車椅子に乗せること"

これがきっかけでした。目が見えない理由は何なのか、普段どれくらいのことを自立して行えるのか、コミュニケーションは取れるのか、まっさらな情報の中行うことになりました。事前にカルテで情報収集はしっかりしておくタイプの私にとってはとても緊張することでした。


でも、今まで新しく患者さんを担当することはあったし、目の見えない人を介助することもありしました。新人の私でもやるべきこと事態は難しいことではなく、そのときも無事に失敗もすることなく、車椅子に乗せることが出来ました。


でも、わたしは終えた途端にその場に泣き崩れました。苦手な先輩が見ているのに加え、そのときたまたま居合わせた看護師さんが 3.4人くらい見守る中での仕事。

"見られる"ことが恐怖のわたしにとっては、とても耐え難い状況でした。


終わった途端に、入社からずっと張り詰めていた緊張、不安、吐き出せなかったものがすべて糸が切れたように溢れ出てきました。息も出来ないくらい泣きました。その後はそのときには信頼できるようになっていた直属の先輩から早退するように言われ家に帰りました。


そして、その日をきっかけに、私は職場に行くだけで動悸がするようになり、何をするのも緊張し仕事どころではなくなりました。そして、その先輩から心療内科の受診を勧められました。